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そうだね、と向き合えなかった夜

いつも彼と過ごす時間を、楽しいものにしたいと思っていた。
非日常の関係だから、楽しくなければいけないと思っていた。

相手の表情が少し曇って見えると、
私は「楽しい?」と確認してしまっていた。

本当は、
「楽しかったね」
「美味しかったね」
自分の気持ちを混ぜて言えばよかったのだと思う。でも私は、相手の快を確かめる言葉を選び続けていた。

仕事が変わり、気が張る時間が増え、
少しずつ余裕がなくなっていった。

そんな中で、私は自分の快・不快を選ぶようになっていたのかもしれない。
恋愛は、癒し合えて、楽しいと心が思えなければ、続かないものだと思う。

そんな中、彼から一方通行のメッセージが続いた。そして今回はじめて、
「やめていい」「もういい」という言葉が出てきた。

それは相手を楽にする言葉だったのだと思う。
でもその時の私は、
それに応える余裕がなかった。

だから最後に彼に使った言葉が、「解放」だった。
それは相手に向けたというより、
張り詰めていた自分が息をするための言葉だった。

いちばん悲しかったのは、
同じ感覚で最後に
「そうだね」と言って終われなかったまま、
彼がいなくなったことだった。

そんな中、ふと昔、失恋した日に出会った人を思い出した。私が聞きたかった言葉を自然に発し、
話すと感覚も考えも、驚くほどブレなかった人。
発展はしなかったけれど、
「こんな人、いるんだ」と知った時間だった。

今夜はまだ、一人でここにいる。
でも、感覚がブレなかった記憶がある。
それだけで、十分なのかもしれない。

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