野球は右利き有利のスポーツなのか?
野球を見ていると、ふと疑問に思うことがある。
野球は右利き有利のスポーツなのだろうか。
プロ野球を見ても、内野手のほとんどは右投げだ。
サード、ショート、セカンド。
ほぼ全員が右利きと言っていい。
この事実だけを見ると、野球は右利き有利のスポーツのようにも見える。
しかし、話はそれほど単純ではない。
左打者は本当に有利なのか
よく言われるのが「左打者は有利」という話だ。
理由としてよく挙げられるのは
・一塁に近い
・スイング後の体の流れが一塁方向
・右投手が多い
といったものだ。
しかし、野球を科学的に分析した本を読んだとき、印象に残った記述があった。
出塁率は右打者と左打者で大きな差はない。
つまり、左打者が決定的に有利というわけでもない。
少なくとも「左打者だから打撃で得をする」という単純な話ではないようだ。
左投手はなぜ有利と言われるのか
一方で投手については左利きが有利と言われることが多い。
理由としてよく言われるのが左投手は少ないので打者が慣れていないという説明だ。
確かに少年野球では左投手はかなり少ない。
だから打者が慣れていないというのはある程度は説明になる。
しかしプロ野球では打者は何千球、何万球と球を見る。
映像分析もする。
そう考えると、「慣れていないから有利」という説明だけでは少し弱い気もする。
野球のデータ分析ではプラトーン効果という現象が知られている。
これは簡単に言うと、同じ利き手同士の対戦では投手が有利になるというものだ。
例えば
・右投手 vs 右打者
・左投手 vs 左打者
この場合、ボールが打者から遠ざかる軌道になりやすい。
つまり球が見えにくい。
これが投手有利になる理由だ。
つまり左投手が特別というより、利き手の組み合わせが影響しているということだ。
内野守備はなぜ右利きが多いのか
守備でも利き手の影響はある。
例えば内野手がゴロを捕球して一塁へ送球する場面。
サード、ショート、セカンド。
この動作では右利きの方が自然な体勢で投げられる。
体の向きがそのまま一塁方向になるからだ。
左利きだと体を回してから送球する形になりやすい。
しかし逆のケースもある。
例えばセカンドがゴロを捕球して二塁へ送球する場合。
このときは左利きの方が動作は小さくなる。
体の向きがそのまま二塁方向になるからだ。
つまり守備でも右利きが常に有利というわけではない。
キャッチャーに左利きがいない理由
キャッチャーについてもよく「左利きは捕手ができない」と言われる。
しかしこれもすべてのプレーで不利というわけではない。
例えばキャッチャーが一塁へ送球する場合。
このときは左利きの方が動作は少ない。
体の向きをほとんど変えずにそのまま一塁へ投げられるからだ。
ただし問題は別の場面にある。
キャッチャーが三塁へ送球する場合だ。
例えば
・盗塁阻止
・バント処理
・ランナー三塁への送球
このとき右利きなら体を開く動きと送球方向が一致する。
しかし左利きの場合体を大きく回してから投げる形になる。
そして捕手にとって重要な送球は三塁送球と二塁送球だ。
つまり捕手では右利きの方が重要なプレーで有利になる。
そのため左利きのキャッチャーはほとんど存在しない。
結局、決めているのは「頻度」
ここまで見ると分かるように、野球では右利きが有利なプレーも左利きが有利なプレーもある。
ではなぜ右利き中心のポジションが多いのか。
答えはおそらくプレーの発生頻度だ。
野球で最も多い内野プレーはゴロ捕球 → 一塁送球である。
そしてダブルプレーでも最後は一塁へ送球する。
つまり一塁への送球が圧倒的に多い。
この動作では右利きの方が自然な体勢になる。
だから結果として内野は右利き中心の構造になったのではないだろうか。
野球は右利き有利なのか
ここまで考えると、野球は右利きが有利な部分もあり、左利きが有利な部分もある。
そしてその有利不利は
・プレーの種類
・利き手の組み合わせ
・プレーの発生確率
によって決まる。
だから「野球は右利き有利のスポーツ」とも「左利き有利のスポーツ」とも簡単には言えない。
野球というスポーツは、もう少し複雑な構造をしている。
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