最高の大阪出張になるはずが・・悪夢に変わった「顔から火が出るほど恥ずかしい話」【告白 #10】
今日は本当にしょーもない話だ。
そのつもりで読んで欲しい。
あなたは今まで、まさに「顔から火が出るくらい」恥ずかしい経験をしたことがあるだろうか?
僕はこの年齢になるまでに色々と失敗したり、馬鹿なことをして山ほど恥をかいてきた。そして、もうこの年になると昔なら恥ずかしいと思っていたことでも、大体のことは何とも思わなくなってきた。
だが、あの時ほど「顔から火が出るくらい」恥ずかしいと思ったことはない。あの出来事を超える恥ずかしさは、まだ味わったことはない。もちろん、今後も味わいたくない。あの出来事は僕のトラウマかもしれない。
あれはもう十数年前の会社員時代のことだ。当時、とある企業のシステム開発を担当していた。その企業は支店が大阪と三宮にあり、新システムの本番稼働を間近に控えていた。
僕は開発者として現地でのセットアップやシステムのレクチャーなどをするため1ヶ月間、大阪の中崎町のマンスリーマンションに住む事となった。
関東在住の僕としては大阪への長期出張は正直嬉しかった。
こんなことを言うと大阪の人に怒られるかもしれないが、関西弁を聞いているだけで何か面白くて、電車や店内の何気ない会話に聞き耳を立てているだけで、まるで漫才を聞いているような気分だった。
何かのTV番組の影響なのか、僕は「大阪の人はボケたら必ず突っ込んでくれる人たち」というまさにステレオタイプの先入観をがっちりと持っていた。つまり、僕にとって「大阪の人 = 画面の中だけで見る芸能人」みたいな感覚だったのだ。
昔から関西弁の語感もなぜか心地よく感じ、僕の前世は関西人だったんじゃないかと思うほどだ。

関西弁への興味もさることながら、やっぱり食い倒れの街に来たのだから、大阪らしいものをたくさん食べたい。
と言うことで、出張初日の晩飯は中崎町にある現地の人から評判が良いと聞いた鉄板焼きの店に入った。
正直、何を食べたかは覚えていないが美味くて満足した記憶はある。海鮮系とネギ焼き?モダン焼き?なんかそんな感じだったと思う。
そして、食べ終えてカウンターの席を立った時である。
隣で食べていた若い女性が僕を見て、まあまあ大きい声ではっきりと
「でかっ!」
と叫んだのだ。
僕は185cm100kg超とまあまあ、縦にも横にもでかい。座っていた時にはあまり目立たなかったのかもしれないが、立った瞬間に際立ってしまったのかもしれない。
もちろん、その女性とは面識もないし、お隣の席のよしみで食事中に会話をしたわけではない。まったくの他人である。
こんなことは長年、住んできた関東では1度も経験した事がない。それが大阪の初日で起きたのだ。
急にそんなことを見知らぬ女性に言われた僕はとっさに上手い返しもできず、恥ずかしげに気持ち悪い愛想笑いをするくらいしかできなかった。
こんな時、関西男子はどんな風に切り返すのか教えてもらいたい。(我こそはと思う関西男子はコメント欄へ)
でも、内心では
「これこれ!これが大阪人のツッコミや〜!」
と謎の関西弁を呟いていた。やっぱり大阪の人は思ったことを口にせずにはいられないツッコミ体質なんだと確信した。
こうして、美味いものを食べ、大阪人の初ツッコミをいただいて満足した1日が終わった。
明日も良い日になりそうだ。そう思いながら僕は眠りについた。
── この時はまだ。
翌朝は三宮支店へ行かなければならなかった。三ノ宮駅までは大阪駅からJR神戸線新快速で行く事ができる。
大阪在住の人なら分かると思うが、大阪駅なら中崎町から歩いていける距離である。しかし、まだ周辺の地理に慣れていない僕は迷って遅刻するのは避けたいと思い、地下鉄のOsaka Metro中崎町駅から東梅田駅まで行って、そこから大阪駅へ歩いていく経路を選択した。
中崎町駅から東梅田駅の乗車距離はたった1駅で時間にして1分しかない。
初めての大阪の朝の通勤ラッシュの体験だ。駅につき階段を降りてホームに出る。どの辺の車両に乗るのがベストなのかは特に考えず、そのまま階段を降りてすぐのホームで電車を待つ。
しばらくすると電車が来ることを知らせる警告のチャイム音が鳴る。このメロディーも僕の地元で使う路線のそれとは違い、とても新鮮だ。それだけで僕は今、大阪にいるんだ!大阪楽しい!とまだ2日目ということで旅行気分がほんの少しだけあった。
列車が到着して乗り込む。まあまあ混んでいるが、都内の殺人的な満員電車を経験したことのある僕からすれば全然楽勝である。特に僕の身長だと満員電車だったとしても埋もれることなく、周りの人より目線が高い位置にあるので見通しは良い。
それにしても、大阪の地下鉄は特に見通しが良い。車両の端から端までよく見渡すことができる。体を押し合うようなギュウギュウ詰めではないが、それでもほぼ満員乗車だ。でも僕の視界を遮るものはまったくない。
── ん?
何かおかしい。
なんか周りの女性の視線が冷たく感じる。いや、冷たいどころじゃない。もはや凍てついている。確か乗り込む時もなんか怪訝そうな顔をされた気がした。でも、これは僕みたいなデカいやつが満員電車に乗ろうとするとよくされてる反応だ。そう自分に言い聞かせた。
改めて、他の乗客を見回す。
あれ?
やたら女性が多いなぁ。
……あれ?
男が、いない。
鈍感な僕はやっと気がついた。
そう、女性専用車両に乗り込んでしまったのだ。
この瞬間、人生で初めて「顔から火が出るくらい」恥ずかしいと感じた。
もう終わった・・・
185cm・100kgの大男が、女性専用車両のど真ん中に仁王立ち。逃げ場もなく、次の駅まで動けない。しかもたった1分の乗車が、体感では30分を超えていた。
四方八方から刺さる視線。
「なんでこいつここにいるの?」
「わざと乗ってきたの?」
「変態?」
「マジきもい!」
── そんな声が聞こえてくるような気がした。もちろん誰もそんなことは言ってない。言ってくれた方がまだ、マシだったかもしれない。沈黙が、一番キツい。
出口はどこだ。いや、出口はない。あと何秒だ。時計を見る勇気もない。ただひたすら、虚空を見つめて耐えるしかなかった。
やっと東梅田駅に到着し、僕は恥ずかしさと罪悪感から逃げるように車両を降りて大阪駅へと向かった。

思い返せば、確かホームにピンク色でデカデカと何かが書いてあった。まったく内容は覚えていないが、女性専用車両を案内していたのだろう。
一つ、言い訳をすれば僕がいつも利用する地元の電車の女性専用車両は先頭車両か最後尾なのだ。だから、こんな車両の途中に女性専用車両があるということはまったく想定していなかったのだ。
それ以来、電車に乗る時には自分の乗車位置が女性専用車両じゃないか必ず確認することにしている。そして乗り込んだ先の車両に僕以外の男性がいることを確認する癖がついてしまった。
ごく稀に女性専用車両ではないのに、やたら女性率が高く、どこを見ても女性だらけの時がある。そんな時はアノ時の恐怖がまた蘇ってしまう。頭では分かっていても、足がすくむのだ。
でも、その後に冷静になって思った。あんな時こそ、大阪の人はフランクにツッコミを入れてくれるのではないのか。いわゆる「大阪のおばちゃん」的な女性が。
「あんた、ここ女性専用やで!ちゃんと見てから乗りや〜!」
そんな一言があれば、その場がなごみ、不慣れな関東人が間違って乗ってしまっただけで、ワザと乗り込んできた変態オヤジという誤解を解いてくれたんじゃないのか。
もちろん、間違えて乗るのもダメなんだが。
教訓:大阪人はどんな時でもツッコミを入れてくれるわけじゃない。本当に困った時ほど、人は黙っている。

もっとシュッとしてます。(`・ω・´)
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