Photo by
dorobe56
自分のために
傾聴ボランティアで出会った女性の中で、忘れられない方がいる。
90代の、頭脳明晰で豪快な女性、Kさん。お話しした日は、入所からまだ間もないとのことだった。
その日は、いつも担当している方がテレビの体操に夢中で、体操が終わるのを15分以上待っていた。
そろそろ帰ろうと施設の方に声をかけようとした時、Kさんに出会った。
所属先と名前を伝えると、活動内容や会の規模などを次々に質問され、その時点で「この方は只者ではないな」と感じた。
しばらく彼女の故郷やご家族、仕事の話をうかがい、和やかで楽しい時間を過ごした。
その後、Kさんがふと一言、
「もう私の話はいいから。あなたの話が聞きたいわ」と言ってくれた。
私は少し戸惑いながらも、仕事のこと、家族のことを話すと、Kさんは逐一うなずいて聞いてくれた。
そして、突然こう言った。
「お母さん教育って大切だと思うわ。子どもにとって、お母さんはすべてだから。
昔、そういう仕事をしようとしたけれど、続けるのは難しかったの」
「まさに、私も働くお母さんのための場をつくりたいと思っているんです」とお伝えしたら、
Kさんは優しい眼差しで、こう言ってくれた。
「やりなさい。自分のためにね」
その言葉があまりにも優しくて、胸がいっぱいになった。
傾聴ボランティアとして伺ったはずが、まるで自分がカウンセリングを受けたような気持ちになった。
まるで未来の私が、Kさんを通して過去の私を励ましに来てくれたように感じるくらい。
Kさんのような歳の重ね方をしたい。
そして、誰かの背中をそっと押せる人でありたい。
※ハリネズミの可愛いお写真お借りしました
