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映画感想『ストリート・キングダム』【君たちはどう踊るか】

1975年生まれ、小学6年生の時にSEX PISTOLSに出会ってすっかりパンクロックの虜になった私。
中学生になり、破れたロンT(ガーゼシャツは高くて買えなかった)や安全靴を履いて友達の家のガレージで行われるライブに行ったり、自分もバンドに加入したりしてどっぷりとのめり込む。
そんな私ですが『東京ロッカーズ』に関しては深掘りしていなかった。
小岩のマニアックなレンタルCD屋さん”ECHO"で、スターリン、スタークラブ、あぶらだこ、INUなどを借りて聴き漁ったが、その後はUK HARDCOREにのめり込んだりニューウェーブやポストパンク的なものに拒絶感のようなものがあった。
簡単に言うと食わず嫌い。イメージだけで「これは自分のものではない」と判断してしまっていた。

LIZARDとTHE MAD CAPSULE MARKET'S

そんな『東京ロッカーズ』を再認識したのがTAKESHI UEDA(AA=
,ex-THE MAD CAPSULE MARKETS)のカバーアルバム『TEENAGE DREAMS』との衝撃的な出逢い。
1曲目がLIZARDの『ニュー・キッズ・イン・ザ・シティ』だった。
特徴的なベースライン、タイトなリズム、未来都市を思わせるキーボードのメロディ。まるでディストピア映画のオープニングシーンを観ているようだった。
めちゃくちゃカッコイイと思ってすぐさまLIZARDの原曲を聴いた。他の曲も聴いた。めちゃくちゃカッコイイ!
「あぁ、ここら辺は全然掘れてない!」と反省し、ここからFRICTIONやZELDAを掘り始めた。
私にとっては全部新曲。最新。最先端。
これが2023年の話だった。

映画になった『東京ロッカーズ』観る以外の選択肢はない

Instagramの投稿で『ストリート・キングダム』の予告が目に飛び込んできた。監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎、主演・峯田和伸、若葉竜也。
『東京ロッカーズ』を映画にする。決して体感することができないインディーズの、東京パンクの、新しい時代の夜明けを体感することができるかもしれない。
これはもう観る以外の選択肢はない。
期待に胸を躍らせ、映画館へ向かった。

ただの懐古映画ではない『これからどう踊る?』だ!

解剖室(バンド名。モデルはもちろんスターリン)の伝説的なライブから幕を開ける。仲野太賀演じる未知ヲ(モデルは遠藤ミチロウ)が豚の頭、臓物を客席に投げ込み、全裸でダイブし、最終的にはお客さんにションベンをブチ撒ける。実話だ。
「ああ、こっちの面白で行くのか・・・」と思った。不安だ。
しかし蜥蜴(バンド名。モデルはLIZARD)のライブシーン、『ニューキッズ・イン・ザ・シティ』のイントロが流れた瞬間にすべてはブッ飛んだ。
あぁ、私は今、LIZARDのライブを体感している。
鳥肌。立ち上がって身体を揺らしたくなる衝動と闘う。
軋轢(バンド名。モデルはFRICTION)も完璧にカッコイイ。
移転前の新宿ロフトなどの再現も素晴らしいし、ファッションも嘘がない。チープなのだ。そりゃそうだ、当時の若いパンクスがお金なんか持っているわけがないんだから。そういったディテールの拘りが、観客をタイムスリップさせてくれる。
しかし、あの頃は良かったで終わるただの懐古映画だったらここまで心を揺さぶられない。
終盤、中村獅童演じるヒロミちゃん(モデルは『じゃがたら』の江戸アケミ)が登場し、より明確なメッセージとして発信される。
『君たちはどう踊るか?』
若者だけに向けての言葉ではない。なんとなく令和の文化を冷笑しているような、逆に迎合しているようなあの時代を生きた『終わってしまった世代』に向けても放っている。
『このまま終わるのか?まだ踊れるだろう?』
『これからどう踊るんだ?』
パンクというカテゴライズに収まった瞬間に終わるカルチャーを、形だけでなく受け継ぎ、ブッ壊し、そして創っていくのに年齢なんて関係ないだろ。
めちゃくちゃ熱い。

私の物語

で、私はと言えば、最近は休みの日の朝に映画を観て、散歩して終わるまんま隠居老人みたいな生活に甘んじている。
バンドを休んでもうすぐ丸2年になる。
この間も世界は動き続け、日に日に悪くなり、戦争は今日も続いている。
ミネタ(俳優・銀杏BOYZの峯田和伸ではなくてね)とは、一時期ライブハウスで切磋琢磨した仲だった。
西荻窪ワッツというライブハウスを拠点に、局地的に盛り上がりを見せたニシオギ系というちょっとしたムーブメントもあった。
そう、オレたちの『東京ロッカーズ』がそこにはあった。
ミネタのバンド、GOING STEADYは当時から人気もあったし、ニシオギ系の奴らを含む『売れてないけどエッヂの効いたバンドたち』をフックアップしていた。
どんどん規模がでかくなって、まさにサクセス・ストーリーを見せてくれた。
当然疎遠にもなった。
そんなミネタが映画の主演をやっている。
私はその映画を映画館で観ている。
不思議と嫉妬や「自分もそうなる可能性があったのかな」なんて妄想は抱かなかった。
最初からスターになる資質みたいなものが私には微塵もないし、なろうとも思わなかったから。(思ったところでなれるものではないのは百も承知)
今もこうして影響を与える側にいるミネタ。吉岡里帆と共演しているミネタ。それはちょっと羨ましくはある。でも嫉妬はない。
映画館のスクリーンで観て、改めて思った。
ミネタ、すげーな。

いろんな刺激を受けた。
新しいバンドを始めようと思った時に言ったことがある。
「踊れる、自然に身体が反応しちゃうような音楽をやろうよ」
一番新しくて、誰にも作れないような、モノマネではなく、自分たちの音を。
そして誰か、ニシオギの青春を映画化してくれ!笑
勿論、私は画面の隅っこにいるような脇役ですらないモブだけど。
※ちなみにカメラマン村井香さんが撮影した写真にはほぼどセンターで写っている。珍しいこともあるもんだ。

自分たちの映画『ニシオギソウルメイツ』を観てみたい。

From AleJJandro Hiderowsky


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