日記:5月の良かったモノとか
5月に触ってよかったものの記事を書きます。音楽とかマンガとかいろいろ…。
こういうのまとめていくと取りこぼしがちな小さいことにも目が向いていいですね。先月に引き続き習慣化していきたいところ。
今回もとっちらかって長くなってしまったので、読みたいところだけ読んでください。ヨロシク~~~。
音楽
310PHz
月ノ美兎主導でコンポーザーや作詞担当を指名するなど、本人の希望が色濃く反映されたというアルバム。「秘密」をテーマにしたナンバーが取り揃えられている。
「人ってただの筒じゃないですか」はもうタイトルからして痺れるね。斜に構えた冷笑のおかしさをポップスで明るく歌い上げ、おちょくってみせる一曲ですね。
こんなに楽しげな曲調なのに、曲の歌詞自体は 読むとおそろしく冷たく暗いもの。頻繁に出てくる「秘密」というワードから 配信者の秘密をほじくりかえそうという視聴者側の窃視症じみた消費のしかたなどがバックにあることを思わせますし、タイトルにも冷笑主義への反発やカウンターが込められているように思います。かなり皮肉っているというか そういうところがある気がする。
この曲聴いてると どうしてもね ”絵畜生”ってワードを思い出すんです。Vtuberをバカにする蔑称なのですが…
この言葉使い出した人やその囲いの人達が本気で嫌いなので あんまり触れたくないんですけど、インターネットにはどうしても底の底、ヒトを嘲笑ってバカにするスラムみたいなところがあるんですよ。その猥雑さがクリエイトにつながるときもあるけど やっぱり治安悪いってのは他人の足引っ張ったり差別を生み出すこともあるわけで。
この言葉が流行ったあたりのタイミングですかね。委員長が配信でギャルゲーを遊びながら「Vtuberにも傷つく心はあるんだよ!」って話をボケを交えつつしてたところに 冗談めかして視聴者から「(Vtuberは)絵だろ」ってネタ振りが来たんですが、委員長が即座に「お前らは文字だろ!」「一次元が二次元に何言ってんだァ!?」ってプロレスを返してて クソ笑ったのをよく覚えています。それから続けて星の王子さまの花を例に出しつつ、「確かに絵や字だけど、わたくしにとっては皆さんがリスナーであり特別なものに思っている。リスナーの皆さんにとってわたくしはただの絵ではないでしょ?関係や感情が生まれたらそれはただの物体にとどまらない 特別なものになるんですよ」って話をしてくれたんですね。
ジャブに対して言葉のラリアットを繰り出して笑いを取る反射神経もすごいけれど すぐに秀逸なたとえを出して真面目な話もしてくれるので「この人すごいな…」「笑えるけど人としてちゃんとしてんだな」と思った覚えがあります。もしかしたら普段から思うところがあったのかな…という部分も窺える一幕でした。
この曲にはそのへんのエッセンスが込められてる気がしますね。
言い出しゃあ人間は筒なんですよ。Vtuberは絵なんですよ。おれたちは文字なんですよ。思考は微弱な電気信号でしかないんですよ。感情はシナプスの末端が伝達物質を渡しているに過ぎず エンドルフィンやオキシトシンやらが上から下に動いているだけなんですよ。
で……その事実を並べて得意げに冷笑したところで 何が生まれますか?って話なんですよね。われわれオタクくんは そうやって 知ってること並べて斜に構えて誰かのロマンをぶっ壊しただけなのに ヒエッヒエで誰もいなくなった場の空気を感じ取れず いかにも論破して勝った気になる害悪ムーブ をやりがち。ひとりよがりでシコシコロジハラせんずりをコいた気色悪い人間一匹以外 そこには何も残りません。知識をひけらかすのも結構だけど センス・オブ・ワンダーを感じる心が枯れちまったら 知的活動をする動物としちゃぁ おしめぇよ!!ってことなんすよ。
ガワが絵で そのなかに肉がないがらんどうでもよくって、そこに喜びや驚きが詰まっていればいいじゃないですか。外ヅラや外見だけ繕ってたって、そこから中身を始めりゃ上等でしょうよ。……そういうメッセージ性があるように おれは思いますね。
しっかしまあ、それを恨み節にしてSNSで漏らしたり直接言わないで エンターテインメントとして音楽や寓話にして出してくるあたり 根っからこの人はクリエイターだなと…。
藤本タツキも「ルックバック」掲載時に理不尽ないちゃもんがついたことを 作品や創作論に昇華して「ぼくの絵梨」に仕立て上げた部分があるんじゃないかと考えてるんですけど、月ノ美兎もそれに似てるというか つらい出来事や心の中のマグマを一回冷やして溶岩アートにするセルフマネジメント能力が優れていると思います。
ちょっと思想の強い話をしてしまいました。切り替えていきましょう。
ほかの曲だと「恋星ペリコ」も あまりにゼロ年代のインターネットあるあるすぎて笑いました。最初はこの曲のバックボーンを知らなかったので、リスナーのおたよりが元ネタであることを知り「これペリコちゃんがやってたの ぜってぇメ◯プルストーリーやろな」と思いつつ元動画見に行ったら当たってて草が生え散らかしましたね。そう、ゼロ年代の女の子が遊ぶネトゲっつったらもう十中八九 メ◯プルよ。
アレやね。ネットの遠距離恋愛に憧れるガキが恋に恋してイエデンの番号交換するやつね。姿が見えないぶん ネット上の親しい人には理想を投影しがちだし、恋する相手には なおのこと盲目になりますわな。アタシの彼くんはイケボの†Kirito†だし ちなみにオレの彼女はアスナに似てるんですよ。相手のことスキスキになってるけど、子どもの恋って相手を理解することじゃなくて恋という非日常に浮かれることが目的だから実はお相手のことがよくわかってないってあたりも解像度高くて実話ベースっぽい感じしますね。「そういえば相手の本名を知らない」は現代のインターネッツにも通じるシチュエーションで ゲラゲラ笑いつつも感心するいい曲でした。
「薬指に本物の指輪が嵌められたけれど、もうひとつの指輪は私だけのナイショなの」というオチをつけたのは舌を巻くリリックですね。子どもだったあの時から一皮むけて、秘密を抱えた女性として小悪魔じみてしたたかになった成長が感じられる。過去の経験や秘密が中に詰まっていくことで ヒトはオトナになっていき 人生観に厚みが出てくるのです……。
……インターネッツでの恋といえば おれも高校生くらいのときにハンドルネームを †森近霖之助† にしてGREEでオトナぶった日記書いてた恥ずかしい時期があったのですが、それを読んだ女の子が おれに対して勘違いというか過剰に幻想を抱いちゃったらしく 男女のお付き合いを申し込まれたりといろいろあって……。
いや、この話はやっぱり「ナイショ」にしておきましょう。ペリコさんにならって、言わぬが花ってヤツですわ。
イベント
誰が為に眼はひらく(お試し開催版)

トシカイの非公式Webオンリーイベントがあったので見に行ってきました。ピクリエとかいうのを初めて使ったぞ。
各種小説やイラストの展示、Webプリントを使ったブロマイドやステッカーの頒布が大変面白く、いい時間を過ごしました。このあと数日間コンビニの印刷機を占有する怪異になりましたが……。

ネットプリントで印刷したイラストをフレームに入れて飾ったりしています。おれは基本的に調度品に頓着せず lainのポスターばっか掛けてある橘総研みてぇな暗い部屋で生活しているので、明るく楽しい絵が飾れる良い機会でもありました。
おれは復讐鬼のキャラとかを好きになりがちで 都市伝説解体センターだと ✕✕✕が一番好きなキャラなんですが、◯◯◯が✕✕✕の人格状態になっているときをイメージしたイラストのWebプリントなどもあって嬉しかったです。
こうしてオンリーイベントに訪れてみて思うのが「みんなこの作品が好きなんだな」ということで なんというか素朴に感動しました。
こう言ってはなんですが、都市伝説解体センターってどうしてもこう……賛否分かれる部分があるじゃないですか。しかも一度ダメだとアレルギーが強く出る人が多いというか 躍起になって否定しにかかる人とかもいて……。
だからトシカイの話をするときに少し気後れと言うか、どうしても否定意見が脳裏をよぎって引っかかる部分があったりしたんですけど 「このイベントに参加してる人はみんな何らかの形でトシカイが好き」という当たり前だけど揺るがない事実に ホッとしたり救われた部分があったような気がします。こういう場を主催して作ってくれた方に感謝ですね。
あとどうでもいいですが ピクリエの会場でも人がすみっこに溜まりがちなのは面白かった。──オタク、ネットでも現実でも即売会の壁際やすみっこで休憩しがち───
ギター
ステッカー

ギターにコミティアで買ってきたステッカーを貼りました。やろうやろうと思って数ヶ月過ぎてたわ。
7万とか8万するギターにステッカー貼るのは「ヒャ~~~~!!」って声出ちゃいますけど、これは安ギターなので気にならない。ジャパビンでもなんでもないフェルナンデスのエントリーギターに過ぎず、リセールバリューがつくもんでもないですからね。お前はおれと一生を共にしてもらう………。
超多趣味人間なので やることいっぱいありすぎて後回しになりがちですが、少しずつギターにも触っていきたいです。
Amplug 3

ギターに差すと直接ヘッドホンで音が聞けるようになるVOXのAmplugを買いました。
エレキギターってのは電気で増幅して音を鳴らすので、無電源の単体だとあんまり良い音がしません。シールドというケーブルを接続し、アンプに差したりして鳴らします。
おれはBOSSのミニアンプとかマルチエフェクターでアンシミュかましてヘッドホンで聞きながらギターの練習をしているのですが これがまあとにかく面倒くさい。シールドを差したうえでヘッドホンを差し、ケーブルを気にしながら弾かなきゃならない。そもそもマルチエフェクターなんかは足元に置いて使うものなので本体がデカすぎる。
練習のハードルを下げるため配線を少なくするという目論見で買いましたが、おかげでだいぶスッキリしてやりやすくなりました。
このamplugというヤツはいくつか種類があり、いろんなアンプをイメージした音色にデザインされています。
あのですね……エレキギター界隈の商標って巧妙に避けつつ上手いことやってるんですね。「アレっぽいアレ」と誤魔化しながら各社いろいろやっています。たとえば「ストラトキャスター」「テレキャスター」ってのはフェンダーが商標持ってるので他社が標榜しちゃいけないんですけど 他のギターメーカーはSTタイプとかTLタイプとか 何らかのなにかをイメージする略称の 極めて似た形のギターを製造するという方法でこのへんを解決しています。
このamplugもVOXくんがあれこれ知恵を巡らせています。イギリスにはマーシャルという よくひずむ(ドライブする)カッコいい黒いアンプを作ってる有名なメーカーがあるのですが たまたまなぜか偶然似た音が出る黒いamplugを UK Driveとしてラインナップしたりしています。えぇ~……?UKって一体何を示してるんだぁ……?(すっとぼけ)
おれは最近フランツ・フェルディナンドの「This Fire」をちょっとずつ練習しているので、US Silverというモデルをチョイスしました。ちなみにフランツはアメリカに籍を置くフェンダー社の銀色のアンプを使っていますが、これは偶然に過ぎず一切関係ありません。ええ、そのはずですね。
う~ん……なんとも商標のギリギリを攻める突っ走りっぷりは さしずめエッジランナーズといったところでしょうか。VOXの名を冠したカクテルがどんなレシピになるのか気になります。
マンガ
Thisコミュニケーション
最初の数巻で読みさしだったThisコミュニケーションを最後まで読破しました。めっちゃ面白かった。
20世紀後半――地球に突如として現れた謎の生物「イペリット」。敵と認識された人類の多くは滅ぼされ、地上は廃墟と化していた。生き残りのデルウハは、絶望の果てに自ら死を選ぶが、ある研究所の人間によって一命を取り留める。その研究所では、イペリットに対抗するべく造り出された少女たちがいた!

主人公・デルウハが食料を求め雪山を彷徨するところから 物語は始まる。謎の侵略者・イペリットが人類を殺戮しながら地球に毒ガスを撒き続けたため、低地はすべて壊滅してしまったのだ。山岳にはまだ人間のコミュニティがあると信じて日本は長野県、上高地までやってきた。
ここでデルウハが言っている「パンと塩漬け肉」なんですが、本当にデルウハはこれだけしか求めていないのが面白いんですよね。この男はマジでパンと塩漬け肉のためにしか生きてないので 飯をくれれば誰の言う事でも聞くし重労働もやります。なんて実直な男なんだ。
研究所に拾われて一命をとりとめたデルウハは、不死の女狩人・ハントレスたちがイペリットを倒し防衛していることを知る。死んでも1時間前の状態に肉体を再生でき、イペリットを引きちぎるほどの馬鹿力がある理想的な尖兵がここを守っていたのだ。
ところがこのハントレス、人体実験の対象として薬漬けにして親元から離されて生きてきたことや バケモノじみた怪力を持っていたりするせいで精神が不安定なうえチームワークが壊滅的。襲撃してきたイペリットを倒そうとして 仲間を真っ二つに叩き斬ってしまう始末……。そこでデルウハは彼女たちを兵士として鍛え上げるために 元軍人の身の上を明かして彼女たちの教官役を買って出る、というお話。
ここまでのあらすじを聞いてると「いくらイペリットに対抗するためとはいえ 人間を改造するなんて残虐非道じゃないか!」と思うかもしれません。教官役を引き受けながら デルウハもそのことに葛藤し……

…ません。
デルウハはとんでもないカスで鬼畜外道だからです。
ここにThisコミュニケーションというマンガの面白さ、真髄が詰まっています。この作品はデルウハのカスっぷりが笑えるコメディです。彼は倫理をぶっちぎって合理性が勝つ現実主義者であり、めちゃめちゃ優秀だけど味方殺しの悪癖がある最悪の軍人なんですね。
「あいつ殺しちまったほうが話が早くねーか?」と思ったら即ブッ殺して解決する究極のベセスダゲー脳みたいな男なので、これまでの戦場でも数え切れないくらい味方殺してるクズです。ハントレスの特徴を聞いたときも「やったぁ!いくらでも使い回せる兵士なんて最高じゃねーか!!」と喜んでます。カ…………カス!!!!

ハントレスが1時間前の状態で再生することに着目したデルウハは 彼女たちを都合が悪いことが起こるたびにブッ殺して記憶のリセットと人間関係の調整を行うことで 最高の軍隊を作ろう!とプロデュースを始めます。問題が起きたら殺して巻き戻せばなかったことになり、デルウハの印象が良くなる話や仲間の結束が高まる情報だけ伝えればいいという寸法ですね。女の子のユニットにレッスンつけて鍛え上げるので 実質アイマスみたいなもんでしょう。まあ PはPでもPortalのGLaDOSがプロデューサーになっちゃった みたいな状況ですが……。
そんなわけでデルウハは1時間という縛りと再生に8時間かかるコストを考えながら、ハントレスの信頼を得たり絆を深めるためにRTA走者のごとく効率的に殺して回る というイカれた生活サイクルを過ごしていきます。

しかしアイデアは良かったものの我らがデルウハ殿は軍人であり いわば戦略シムの走者なので 残念ながらギャルゲーのプロではありません。策謀を巡らせてくる敵やイペリットの狙いは天才的に察知して捌いてみせますが 年頃の女子の行動原理については門外漢です。女の子にとっての地雷を踏みまくり、メガトンコイン級のガバを出しながら オリチャー発動して軌道修正を図ろうとするデルウハの姿もこのマンガの見どころです。
あくまでハントレスの記憶が戻るだけで現実世界の時間が巻き戻るわけではないので、ガバチャーに足を突っ込んでも再走できないのが地味に痛いんですよね。たとえばすでに起きてしまった物理現象や 研究所の人間が何か都合の悪いことを知ってしまっても記憶の抹消はできない。ハントレス殺害のやり直しで修正できる部分と修正できない部分があるというのも興味深いポイント。

そんなガバガバRTA走者でゲスの極み男であるデルウハなんですが わりと本気で相談するとちゃんと真面目に自分の見解を話してくれる人物であり 魅力的でもあります。
もちろんウソを言ったりだまくらかそうとしているときもバリバリあるので喋ってる内容は一切信用できないのですが 「相手の話を嫌がらずに聞いて自分の言葉を返す」というコミュニケーションの基本を怠りません。長くこじれそうだったり都合が悪かったら秒で殺す選択肢を取りますが、簡単に話して解決することはきちんと話で決着をつけようとしてくれます。無視されたり腫れ物を触るような態度を取られるよりは”話を聞いてくれるフリ”だけでもずっと相手からの印象は良くなるものです。
とんでもねぇクズなのに 食という一点にこだわり抜いていて、そのためなら面倒事もこなしてみせる強い意志力があったり、プライドに固執せず効率が良いのであればハントレスの意見も採用するなど発想が柔軟な一面がある。実際に指揮官として優秀なのは間違いないんですよ。
なんというか本作は 敵の幹部とかによくいる「悪党だが一本筋が通っていて 信念があり嫌いになれないヴィラン」がなにかの間違いでなぜか主人公をやっているマンガなんですね。そんなん面白いに決まってるでしょ。

ここまで死体の姿でしかお見せしていなかったんですがヒロインたちがかわいいのもいいんですよ。
ハントレスに振り回されながらトラブルに見舞われ、イペリットも相手にしなければならないデルウハ殿の明日はどっちだ?とハチャメチャ極まるマンガで本当に面白かった。おすすめです。
ゲーム
エイプリル探偵事務所

エイプリルフールの冗談をきっかけに 突貫工事で作られたというミステリーゲーム。
バニーさんの格好をした助手くんこと ジョシュアくん(くん、です。ナニがとは言いませんが 付いてます)がビラ配りをしたり 近所の探偵事務所で暴れまわってメチャクチャにして依頼をもぎ取ってきたので あなたの優れた灰色の脳細胞で解決に導きましょう。

このゲーム なんと証拠を集めるパートが存在しません。本人の供述を聞いてフィーリングで有罪か無罪にしちゃいましょう。というか 容疑者の話を聞かないというスキップすらできるので、もう勘で全部決めちゃっていいです。お前ヒトとしてそれでええんか??

中には話を聞く必要もないというか よくその状態で犯行現場から往来を通ってここまで来れましたね みたいな人もいますが、当然ほとんどの容疑者については有罪無罪の判断がつきません。おそらく一周目は何もわからないで終わるでしょう。
そう、そこがミソなんですが 本作は周回で真実が見えてくるゲームなんですね。容疑者の話に気になるところはなかったか?試しに有罪扱いしてみたらどうなるか?事件の起きた日付は?と いろいろ試しながらメモをとると各事件のつながりが少しずつ浮かんできます。
有罪か無罪かを当てるだけでなく、有罪であっても見逃してやることで何か起きるかもしれない……というマルチエンディング方式でもあるので、プレイを繰り返してエンディングを集める楽しみもあります。
ミステリは自分で解いてこそ面白いので これ以上の言及は避けますが、とてもとても冗談から始まって手早く作ったとは思えないほどの骨太な推理ゲームでしたね。因果関係がわかってくると楽しくなってきて おれも腰を据えてテキストエディタを立ち上げ情報をまとめながら解きました。
周回しないとわからない要素もあるのでやや時間のかかる部分もありますが、キャラクターの可愛らしさや人物名に仕込まれたミステリネタなんかもクスッと笑わせ 魅力的なゲームでした。
ELDEN RING NIGHTREIGN

ウオオオオオオオオオオアアアアアアア~~~~~~~~~ッ!!!!!!(ダバダバダバダバ)
ここのところ連日話題のナイトレイン。5月にカウントしていいか微妙ですが 発売は5月ということで。
なんとかグラディウスを倒せたので、いろんなキャラを試しながらリムベルドの地を全力で駆け回っています。
ナイトレインはエルデンリングの外伝として、大胆にも全く違うゲーム性のCO-OPとして鍛え直された新作スタンドアロンゲーム。ある程度の敵キャラやアイテムは共通していますが、違う場所の違うお話になっています。
違うというか ほぼ真逆のゲーム設計になってますよね。じっくり一手一手考えながら育成してプレイヤー自身も腕を磨き、ボスにその成果をぶつけるこれまでのフロムARPGとは真逆で いかに超高速でビルドして力でねじ伏せるか?というシステムとして構築されている。
超高速でキャラビルドしろとなると 当然ながら知識を求められます。脳筋キャラには大剣を持たせるかとか 器用貧乏な奴には筋力技量どっちも倍率が乗る上質系の武器持たすか……といったことを ステ値から逆引きで考える必要がある。
この武器を持たせてみたい!から出発してビルドしていく本編とは逆に、ステータスは決まっているから適した武器を持たせよう!という構造になっているんですね。なので 膨大な量がある武器種に知悉し「これはああいうのに向いている」ということを知っていないと難しいわけで 若干ハードルが高くプレイヤーを選ぶ挑戦的なゲームだと思います。
この エルデンリングの知識を要求されるという問題を 「エルデンリング自体が馬鹿みたいに売れておりエルデンリングの知識があるゲーマーが多すぎるので大丈夫」という力技で解決しているのがウケますね。あまりにも顧客層がデカい いわばデカパイゲームだからこそ為せる業です。
さらに追加要素として 遺物という形でアイテム掘りをさせるハックアンドスラッシュ要素をもたせ、何度も周回することで攻略が少しずつやりやすくなっていくローグライク要素も練り込んでおり、新規性もあるのが実に意欲的。
それでいて ソウルシリーズから連綿と続く「ゆるさ」をある程度残しているのもファンとしては好印象ですね。コミュニケーションをピンやジェスチャーなどに絞って限定的にしたり、キャラごとの役割を厳密に縛りすぎず「ちょっとタンク寄り」「ちょっとキャスター寄り」な中間ビルドもできるようにしていてある程度自由度もある。

偉そうな話ですが、おれは正直ナイトレインに対して「かなり甘めに採点してやろう」と思っていました。毒沼ダイスキ!みやざきさんこと宮ちゃんが関わっておらず、若手に任せたと事前に言っていたので まあ若い子を見守るような感じで「ゲームとして成り立ってたらいいよ!」くらいの温度感で見守っていたのですが……
そしたらちゃんと面白いゲームが出てきたじゃないですか。おれはびっくりしましたよ。「フロムの若手ってのはここまで育ってたのか!」と驚き、己の見立ての甘さを恥じ入りました。
おそらく いまのフロムの若手は「第1世代が作ったフロムの初代プレステゲーが好きで入社した」という第2世代の次、「デモンズやダークソウルが好きだからフロムに入社した」第3世代くらいだと思うんですね。つまりソウルシリーズのファンがソウルシリーズを作る、といった構図になります。
なにかのシリーズのファンが本編の制作に携わると その……あんまり高いクオリティを維持できないみたいなジンクスがあるので、それもあっておれのナイトレインへの要求値は結構低かったんです。偉大なるオリジナルに憧れてそのデッドコピーを作ろうとし、視野がどんどん狭まってタコツボ化し 煮詰まった再生産を繰り返すみたいな現象があるので……。富野由悠季も「アニメ作るんだったらアニメばっか参考にしないで アニメ以外のものからも吸収しろ」みたいなことを言ってるんですが だいたいそんな感じ。
だから ただ何も考えず過去作を模倣するだけだったら おれも「あはは…」とヒフミみたいな愛想笑いで誤魔化そうと思ってたんですが ちゃんと業界研究して他の面白いゲームを参考にし 新しい風を吹き込んできた……という点でナイトレインには拍手したいところですね。
たとえばハクスラは だんだんアイテムが集まってきてバカ強くなってくると組み合わせによってゲームバランスを破壊できるような悪さができるようになってくるのですが、今作でもスタミナ消費軽減やスタミナ回復をガン積みするとダガーや弓をバシバシ連発できるなどの悪事が働けることがわかっています。こういうの、PvEゲームの場合 実は開発者はわかっていてゲーマーを楽しませるためにぶっ壊れビルドを残していることが多いんだそうです。いまのところちょっとしたアップデートが入ったりしていますが、このまま残していくか(ビルドの幅を広げるために)ごく軽度のnerfで済ませるなら相当ハクスラへの解像度が高いメンバーなんだろうな……と思います。
そういった他ジャンルの要素を盛り込んでるのもすごいんですが「ソウルシリーズで何が良かったのか?」という勘所も掴んでいてそれはきちんと残していたのでバランス感覚もある。ちゃんとリサーチできるし新しいゲームも作っていける、未来の明るさみたいなものを感じます。

本作への評価という点では Steamのレビューで初動が賛否両論だったみたいですが、現在はやや好評となっているのでプレイヤーの理解が進んで面白みがわかってきたという感じでしょうか。
まあそもそも発売初日や数日でまともなレビューが書かれるわけがないですからね。大作ゲームの初日に低評価が乱立するのなんてよくあることです。まっとうな人は遊んで数時間でゲームのすべてを理解した評価なんて書けないとわかっているのですが それでも書こうとするような人は"そういう人"ってことですから……。
おれ個人としてナイトレインをおすすめするかというと 「エルデンリングかソウルボーンを遊んで サイン出して協力プレイするのが楽しかった人なら相当おもろいんじゃない?」って感じですね。シリーズ未プレイでまったくの新規だと若干厳しいですが、セオリーやゲーム情報を調べて食らいつけるタイプの人なら問題ないと思います。
ゲーム自体は確実に面白いけど このゲームの味がわかるまで噛み続けるのにちょっと顎の力いるタイプの作品なんじゃねえのと思ってますね。

どうでもいいことなんですけど リムベルドを救うはずの夜渡りがリムベルド荒らし回る蛮族行為してるの ヤクザ天狗のドネートみたいで面白いと思います。
