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7年住んだら家が1軒タダでもらえる⁉地方の空き家が変える、住まいの新常識

空き家対策と地域活性化を兼ねたユニークな取り組みが静岡県川根本町で進んでいます。

突然ですが、「7年住んだら家が1軒タダでもらえる」って聞いたら、どう思いますか?

「え、本当に?」って思う方もいれば、「なにか裏があるんじゃ…」って思う方もいると思います。
でも、これって実際に各地でじわじわ広がっている取り組みなんです。

今日は譲渡型賃貸住宅というちょっと変わった仕組みについて書いてみたいと思います。
この仕組みは以前、ぼくのnoteでも何度か紹介しましたね。

今回記事でみた静岡・川根本町のケースは「譲渡付き賃貸住宅」と紹介されてましたがほぼ同じだと思います。

これは空き家をただ「貸す」でも「売る」でもなく、その中間地点をつくる発想です。

空き家を活用したいと考えている事業者の方にも、所有者の方にも、「へえ、こういう使い方もあるのか」と思っていただける話なんじゃないかと思っています。

そもそも「譲渡型賃貸」って何なのか

ものすごくざっくり言うと、「最初は賃貸、でも一定期間住み続けたら家を差し上げます」という契約方式です。

たとえばこんなイメージです。
「7年間、毎月5万円払って住んでください。そのあと、条件を満たせばこの家をあなたに譲ります」という感じです。
住みながら少しずつ将来の所有に近づいていく、そういう仕組みです。

住宅ローンを組まずに、将来の持ち家を目指せるというのが借りる側の大きな魅力ですね。

所有者にとっての「現実的な出口」

空き家を持っている方が、なぜなかなか動けないかというと、「すぐに売れない」「でも管理が大変」「でも解体するにもお金がかかる」という三重苦に挟まれているからです。

売りたいけど買い手がいない。
放置するのも心が痛い。
でも動く気力も費用もない。

そういう方にとって、譲渡型賃貸は「とりあえず人に住んでもらいながら、将来的に手放せる」という現実的な出口になります。

人が住んでいれば、換気や通水が自然とされます。
草木が伸び放題になったり、雨漏りに気づかないまま放置されたり、不法侵入されたりするリスクも、ずっと下がります。
家賃収入も入るし、いずれ手放せるし、管理の心配も減る。
所有者にとっては、なかなか魅力的な話だと思います。

とはいえ、デメリットもあります

「じゃあ全部うまくいくじゃないか」と思うかもしれないですが、そう簡単でもないところが空き家の現実です。

所有者にとっては、すぐに売却代金が入るわけではありません。
契約の設計もちょっと複雑です。
入居者トラブルや家賃滞納のリスクもゼロではありません。

それに、空き家の場合はとくに注意が必要で、建物の老朽化、雨漏り、シロアリ、耐震性、境界問題、再建築できるかどうかといった点を事前に確認して、きちんと説明する責任があります。
「とりあえず貸してしまえ」という気持ちで始めると、あとで大変なことになることもあります。

借りる側も、夢だけで動かないほうがいい

「家賃を払えば家がもらえる!」と飛びつくのは少し待ってほしいところです。

譲渡されたあとには、固定資産税、保険料、修繕費、草刈り、将来の解体費など、持ち家としての責任がそのままついてきます。
それを「資産が手に入った」と喜べるかどうかは、建物の状態や立地によってかなり違います。

もうひとつ大事なのが、途中で住み続けられなくなった場合の話です。
転職、介護、病気、収入減。
人生には予測できないことがたくさんあります。
「7年の途中で引っ越さないといけなくなったとき、これまで払った家賃はどうなるの?」という点を、契約前にしっかり確認しておく必要があります。

この仕組み、どんな人に向いているのか

借りる側で向いているのは、地方移住を検討している方、子育て世代で長く同じ場所に住みたい方あたりです。
逆にこのあたりをターゲットにしたんじゃないか…と思うような取り組みです。

住みながら地域との相性を確認できる点は大きいです。
「住んでみたら思ったより不便だった」「思ったより地域の人たちが温かかった」という話は、ほんとよくあります。
住んでから判断できるのは、リスクを下げることにもつながります。

それに、将来自分の家になるかもしれないとわかると、庭の手入れや小さなDIY、改修にも前向きになりやすい。
これは空き家側にとっても、入居者がきちんと手をかけてくれるという意味で、メリットになります。

事業者にとってはどんなチャンスがあるか

ここからは少し視点を変えて、空き家ビジネスに関わる方向けの話をしてみます。

譲渡型賃貸は、契約設計が複雑な分、専門家の関わる余地が大きいです。

不動産会社であれば、通常の売買や賃貸とは異なる契約コーディネートの役割が出てきます。士業(司法書士、行政書士、弁護士)であれば、契約書の設計や権利関係の整理に関わる機会があります。建築士や建物診断の専門家にとっては、譲渡前の建物調査のニーズが生まれます。リフォーム業者であれば、入居前修繕や住みながら進めるDIY支援という新しい形が出てきます。

空き家管理士としての立場で言えば、所有者と借主の橋渡しをしながら、安全に引き継ぐプロセスを伴走するという役割がとても重要だと思っています。
契約後に「聞いてなかった」「知らなかった」が起きないようにすることが、この仕組みが地域に根づくかどうかの鍵になります。

「安く家を手に入れる制度」では、ない

ちょっと強めに言いますが、譲渡型賃貸の本質は「安く家を手に入れるお得な方法」ではありません。

【空き家を次の人へ、安全に引き継ぐ仕組みです】

建物の状態を見える化する。
修繕負担の分担を決める。
税金や費用の説明をきちんとする。
そういうプロセスがちゃんと機能して、はじめて「成立する」ものだと思っています。

それがなければ、単なる「老朽建物の押しつけ」になりかねない。
そこは現場を見てきた立場として、正直に書いておきたいです。

今のうちに準備しておくとよさそうなこと

最後に、この仕組みに関わってみたいと思った方へ、小さな確認ポイントをお伝えしておきます。

所有者の方は、まずご自分の空き家の状態を把握するところから始めてみてください。
雨漏りの有無、耐震性、境界の確認、再建築できるかどうかといった基本情報です。
この「見える化」ができていないと、どんな仕組みを使っても前に進みません。

事業者の方は、譲渡型賃貸の契約事例や先行自治体の取り組みを調べてみると参考になります。
「自分の業界でどう関われるか」を考えるヒントが見えてくると思います。

というわけで、今日は静岡県川根本町の「7年住んだら家が1軒タダ」という少しユニークな取り組みを入口に、譲渡型賃貸住宅の仕組みについて書いてみました。

「うちの空き家、こういう使い方できないかな」「自分の仕事と組み合わせられないかな」と思った方、ぜひ気軽にコメントや相談をお寄せください。

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