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毎年91万人が消える日本で、「誰かに住んでもらう」だけを目指す空き家対策の末路

突然ですが、少し数字の話から入らせてください。

2024年、日本で生まれた人の数は約68万6千人。
亡くなった人の数は約160万5千人。
差し引き、約91万9千人が自然に減っています。

さらに2030年には年間の自然減(出生数から亡くなる人の数を引く)が年間100万人を超えるんです。

毎年、中規模の都市がひとつ消えていくような規模感です。

今日は、この人口動態の変化を踏まえて、「移住促進って本当に空き家対策になってるの?」というテーマで書きたいと思います。

空き家ビジネスを考えている方、不動産・建設・士業・介護・福祉など幅広い業種の方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

移住促進は「空き家対策」じゃなくて「人口獲得競争」になっている

これまでの地方創生では、移住促進が大きな柱でした。
ぼくも10年くらいまえは地域の「移住定住促進会議」のメンバーに入っていろんな施策や会議をしていました。

移住してきてくれる人がいれば地域は助かるし、空き家に住んでもらえれば建物も生き返る。これは間違いないんです。

でも、A市に移住者が1人増えても、B町から1人減っているだけかもしれない。
日本全体で見れば、空き家の総量はほとんど変わらない。
椅子取りゲームの椅子が増えるのではなく、座る人が減っている状態です。

少し言い方は乱暴ですが、これが現実だと思います。

自治体が移住定住施策に力を入れるのは当然ですし、そこにまったく価値がないとは思いません。
ただ、「移住を増やせば空き家問題が解決する」という前提で考えると、かなり苦しい時代になっています。

「住んでもらう」という発想から、そろそろ外に出よう

空き家対策というと、どうしても「売る・貸す・住んでもらう・壊す」の4択になりがちです。でも、これからはもう少し広げて考えないと難しい。

ここで大事になってくるのが、ぼくは「定住人口」から「利用人口」という考え方へのシフトだと思っています。

「利用人口」というのは、ものすごくざっくりいうと、住民票を移さなくても、その地域に関わってくれる人の数、です。
関係人口に近いかな…。
観光客でもなく、完全移住者でもない。週に何度か来る、月に数回使う、仕事場として借りる、そういう人たちです。

利用人口が生まれる関わり方の例

  • 週末だけ使うサブ拠点

  • 都市部からのワーケーション

  • 企業の研修・合宿場所

  • 介護家族の滞在拠点

  • 学生や研究者のフィールド

  • 地域活動・NPOの拠点

  • 農業・地場産業のサポート

  • 防災備蓄・一時避難拠点

これには国も動いています。
2024年には「二地域居住」を促進するための改正法が成立し、市町村の計画づくりや支援法人の指定が進められる方向になっています。
国交省もこれを「地方への人の流れ」をつくる手段として位置づけています。

つまり国も、「完全移住だけでは解決にならない」と見始めているわけです。

空き家を「誰かが一生住む家」としてだけ見るのをやめる

ここが、ぼくにとっていちばん大事なところです。

空き家問題が難しいのは、建物の話だけじゃないからです。
所有者の方が「売りたくない」「どうしたらいいかわからない」「先祖から引き継いだ家に手を付けることへの罪悪感」を抱えていたりする。
そこをすっ飛ばして「売りましょう、貸しましょう」と言っても、動けない理由がある。

そういう所有者の方に対して、「住んでもらう」以外の選択肢を示せると、少し話が動きやすくなることがあります。

「一生住む人を探す」のではなく、「地域に必要な機能を入れる器」として空き家を見る。
この発想の転換が、人口減少時代の空き家対策には必要だと思っています。

たとえば、空き家を地域の小さな仕事場にする。
職人や個人事業主の作業場にする。
子ども食堂や地域食堂にする。
都市部企業のサテライト拠点にする。
介護家族の短期滞在拠点にする。

こういった使い方は、「住んでもらう」より許可を得やすかったり、所有者の心理的ハードルが低いケースもあります。

では、今のうちに何を準備するといいのか

正直なところ、「これをやれば完璧」という答えはないです。
でも、今から動いておくと有利なことはあります。

  • 「住宅以外の活用事例」を自分の業界の文脈で集めておく

  • 二地域居住の制度動向(改正法の施行状況)を定期的に追う

  • 地域の自治体や空き家バンクとの接点を作っておく

  • 所有者との対話の入り口(心理的負担を減らす手順)を整えておく

  • 福祉・農業・教育など異業種との連携の可能性を探る

どれも、明日すぐに大きな収益につながるわけではありません。
でも、制度と市場が動き始めているこのタイミングで、自分ごととして動き出しておくと、2〜3年後に差がつきやすいと思っています。

明日できる小さな一歩

  • 国交省の「二地域居住」関連ページを一度確認してみる

  • 自分の地域の空き家バンクや自治体担当窓口を調べてみる

  • 「住宅以外で空き家が活用されている事例」をひとつ探してみる

  • 所有者の心理的ハードルをどう下げるか、身近な人と話してみる

というわけで、今日は「移住促進を中心に据えた空き家対策の限界と、これからの視点」について書きました。

人口が減っていく時代だからこそ、「誰かが住む」だけが答えじゃなくなってきています。
地域に必要な機能を入れる器として空き家を見ると、見える景色がちょっと変わります。

少しでも参考になれば嬉しいです。

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