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「実質0円」で実家を維持する新サービス。空き家管理の未来と、地方展開を成功させる鍵とは?

「まだ売りたくはない。でも維持費がしんどい」という声、空き家の現場でほんとうによく聞きます。

実家を手放すことへの抵抗感は、単なる感情論じゃなくて、「親が建てた家だから」「いつか帰るかもしれないから」「地域とのつながりが切れそうで怖いから」といった、複雑な事情が絡み合っています。

そういう所有者の本音に対して、制度や専門家は「早めに売却か賃貸を」と言いがちです。
でも、それができないから困っているんですよね。

今日は、そんな所有者の本音にうまくフィットしたビジネスモデルが登場したというニュースを取り上げながら、「地方でこれは本当に使えるのか?」「事業者としてどう読むべきか?」を一緒に考えてみたいと思います。

「0円空き家管理サービス」って、ざっくりどういう仕組み?

マークスライフ株式会社が実証実験を始めた「0円空き家管理サービス」が、じわじわ注目を集めています。

仕組みはシンプルです。
所有者は庭や敷地の一部を駐車場として貸し出す。
その賃料(月5,000円以上が目安)を原資に、事業者側が建物の見回りや状況報告を行う。
つまり、所有者は初期費用も月額費用も払わずに、空き家の管理サービスを受けられるという話です。

「完全に新しい発想か?」と言われると、そうでもありません。
駐車場サブリースと空き家管理を組み合わせたパッケージの見せ方に妙があるサービスで、ビジネスモデルとしてはわりとオーソドックスな構造です。ただ、「所有者の手出し0円」というメッセージが、心理的ハードルを大きく下げている点は素直に評価できます。

地方で展開するときの「リアルな壁」

さて、ここからが本題です。

このサービスが都市部でうまく機能しそうなのは、直感的にわかります。
駐車場需要があって、月5,000円以上の賃料が取れる地域なら、ビジネスとして成立しやすい。

でも、地方や過疎地ではどうでしょう。

まず「駐車場需要」の問題です。

地方の住宅街や農村部では、そもそも月極駐車場の需要が薄いエリアがたくさんあります。
みんな自宅に車を停めるスペースを持っているので、わざわざ近所の空き家の庭を借りようとする人が少ない。
需要がなければ賃料は取れないし、賃料が取れなければサービスの原資がなくなります。

次に「敷地や接道」の問題です。

古い実家は、車が入りにくいことが多い。
また、放置されている空き家は駐車スペースがそもそもないものも多いんですよね。
あったとして路地の奥にある、門が狭い、段差がある、といった物件は珍しくありません。
軽自動車が限界なんてところも意外と多いです。
こんな感じで駐車場として活用しようにも、物理的に難しいケースがけっこうあります。

そして「相場の問題」です。

地方では月極駐車場の相場が都市部より安い傾向があります。
月3,000円、場合によってはそれ以下というエリアも…。
5,000円以上という原資の前提が崩れると、サービスの採算ラインが変わってきます。

とはいえ、「地方でも勝てる条件」はある

課題を並べるとネガティブになりますが、「だから地方では無理」と結論づけるのも早計です。

駅周辺や商業エリアの空き家に絞るという戦略があります。
地方でも、駅前や中心市街地の近くなら駐車場需要はそれなりにあります。スクリーニングの精度を上げて、「このサービスが機能するエリアの物件」に集中するだけで、採算性はかなり変わります。

庭を複数台分に整備するという工夫もあります。
1台分では月5,000円に届かなくても、2〜3台分のスペースが取れれば話が変わります。整備コストとの兼ね合いはありますが、初期投資を抑えながら台数を増やせる物件は、地方にも意外とあります。

駐車場以外の小口収益化との組み合わせも、選択肢の一つです。
シェア菜園、資材置き場、コンテナ倉庫など、駐車場需要がないエリアでも使えるオプションを持っておくと、サービスの守備範囲が広がります。この部分に、空き家管理の知見を持つ専門家や資格者が絡めると、提案の幅がさらに広がるとぼくは思っています。

事業者として「このモデル」をどう読むか

ここで少し視点を変えます。

このビジネスモデルで面白いのは、「管理の原資を不動産収益から生み出す」という発想です。
所有者から費用をもらうのではなく、物件そのものを稼がせて、そこから管理費を捻出する。

これは、空き家管理ビジネスに参入しようとしている事業者にとって、一つのヒントになります。
「管理費をどうもらうか」という問いに対して、「物件を収益化して、そこから回す」という設計が成立するなら、所有者への提案のしやすさがまったく変わってくるからです。

不動産会社、リフォーム業者、解体業者、清掃業者、警備会社などなど…。空き家と接点を持つ業界は多い。
でも「管理」単体で収益モデルを作るのは、ハードルが高いと感じている事業者も多いはずです。
こういうモデルを参考に、「自分の業種ならどう組み合わせられるか」を考えてみる価値はあると思います。

明日、まずやってみること

難しく考えすぎなくていいです。

自分が関わる地域の月極駐車場の相場を調べてみる。 それだけでいいです。「このエリアで月5,000円が取れるか」がわかれば、このサービスモデルが機能するかどうかの一次判断ができます。

あわせて、接道条件や敷地の広さを確認できる物件が手元にあるなら、駐車場転用の可能性を一度見てみるのも有効です。
「使えるかどうか」の感覚値が、現場を見るだけで随分変わります。

地方で空き家管理ビジネスを考えるなら、「一律のモデルを当てはめる」より「このエリアで成立する条件は何か」を先に整理する習慣が、結果として遠回りしない道だとぼくは感じています。

というわけで、今日は「0円空き家管理サービス」を題材に、地方展開のリアルと、事業者としての読み方を整理してみました。

サービスとしての発想は面白い。
でも「地方でそのまま使える」かどうかは、エリアの条件次第です。
その条件を見極める目を持つことが、空き家ビジネスで長く戦うための基礎になると思います。

何かの参考になれば、うれしいです。

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