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不動産屋だけの話じゃない。清掃・解体・士業・金融。空き家法改正で「声がかかる人」と「かからない人」の差

突然ですが、「商工会や商工会議所が空き家管理できるようになる」というニュース、もう見ましたか?

先日、政府が第16次地方分権一括法案の概要を発表しまして、なかなかインパクトのある内容が含まれていました。

今日はこの動きが何を意味するのか、現場目線でざっくりと整理してみたいと思います。
実はここで一気にプレーヤーが入れ替わるかもしれないんです。

制度の紹介だけじゃなくて、「この変化で誰にチャンスが生まれるか」「どんな準備が必要か」まで踏み込んで書きたいと思います。

まず、何が変わるのか

今回の法案のポイントをひとことで言うと、空き家管理・活用の担い手が広がるということです。

これまで「空き家等管理活用支援法人」(ちょっとかたい名前ですが、ものすごくざっくりいうと「自治体から公認されて空き家の相談・管理・マッチングができる組織」のことです)として指定を受けられるのは、一般社団法人やNPO法人などに限られていました。

それが今回の法案で、商工会議所・商工会も対象に加わる見通しになったんです。

商工会や商工会議所といえば、地域の不動産業者、建設業者、士業、金融機関など、まさに空き家に関わりうる事業者が集まっているところ。
その組織が公式に空き家対策の担い手になれるようになる、というわけです。

一般論として言われてきたこと

空き家問題の解決には、行政だけでは難しい…地域の民間事業者をうまく巻き込むことが必要。というのはずっと言われてきた話です。

確かにその通りで、NPOや一般社団法人だけでは人手も資金もリソースに限りがあります。
実際に現場を回して、所有者に連絡して、管理して、活用先とマッチングして…というのは、相当な体力がいる仕事です。

だから「もっと裾野を広げよう」という方向性自体は、多くの人が納得するんじゃないでしょうか。

とはいえ、ちょっと立ち止まって考えたいこと

ここからは、ぼくの個人的な感触も交えながら話しますね。

「商工会議所や商工会が入ることで迅速な対応が可能に」というのは期待感として正しいと思います。
でも、「商工会議所が指定を受けられるようになった=すぐに現場が動く」かというと、たぶんそう簡単でもないだろう、とも感じています。

なぜかというと、空き家の問題って、制度の穴よりも所有者の心理的な壁のほうがずっと厚かったりするからです。ここ大事です。

「実家が空き家になってるのはわかってる。でも、親が住んでた家を他人に任せるのはなんか気が引ける」「処分を決めたら、親との思い出に線を引くみたいで…」「業者に頼むと勝手に話が進みそうで怖い」

こういう気持ち、現場ではしょっちゅう出てきます。

空き家が放置されるのは、所有者が無責任だからじゃないことが多い。
むしろ「向き合いたいけど、踏み出せない」「誰に相談すればいいかわからない」という状態で時間だけが過ぎていく、そういうケースがほとんどです。

制度の整備は大事です。
でも、それと同時に「信頼できる相談窓口」「押し付けがましくない関わり方」「所有者が安心して話せる場」が育っているかどうか、そっちも見ておく必要があると思っています。

この動きで市場はどう変わるか

とはいえ、今回の制度変更は間違いなく、空き家ビジネスの裾野を広げる一手になります。

これまで「支援法人を作るほどでもないけど、空き家に関わりたい」と思っていた事業者にとって、商工会議所を通じた関わり方という新しい入り口が生まれます。
商工会議所が支援法人として指定を受ければ、その傘下の事業者が連携しやすくなる。

地域によってはすでに商工会議所が空き家関連の勉強会や情報共有の場を作っていたりします。
そこに「支援法人」という公式な看板と権限がついた、というイメージです。

市場全体でいうと、空き家対策の「商流」がより明確になる方向に動きそうです。
所有者 → 商工会・商工会議所(支援法人)→ 加盟事業者(不動産・建設・リフォーム・管理など)という流れが整備されていくと、これまでバラバラだった動きがつながりやすくなります。

誰にチャンスがあるか

正直に言うと、今回の変化でチャンスがあるのは動き始めるのが早い事業者だと思います。

特に注目したいのはこのあたりです。

不動産・リフォーム・建設業者は、もともと空き家と接点があるところ。商工会議所が支援法人になった場合、そのネットワークに入ることで「紹介してもらえる立場」になれます。逆に言うと、信頼関係を築いておかないと声がかからない、ということでもあります。

士業(司法書士・行政書士・土地家屋調査士など)は、空き家の相談には必ずといっていいほど権利関係の確認や手続きが絡んできます。「空き家に詳しい士業」というポジションは、これから確実に需要が増えます。

地域金融機関・信用金庫は、商工会議所との親和性が高く、空き家活用のための融資やコンサルという形で関わりやすい立場です。
個人的にここはすごく危惧していて、これから30年の間に、なんと約650兆円もの金融資産が相続されるんです。で、そのうち125兆円が県や地域をまたいで移動するらしいんですね。
一番の問題は、東京圏に58兆円が流れ込むということなんです。

他の地域への流出分を差し引いても、相続だけで38兆円も増えるんですよ。すごい額ですよね。

逆に言えば、ほとんどの地方からお金が数兆円規模でどんどん流れ出ていくということなんです。

事業者は何を準備すべきか

では、具体的に今何をしておくといいか。ぼくなりに整理してみました。

①地元の商工会や商工会議所の動向を把握する まず、自分のエリアの商工会議所が空き家対策にどれくらい関心を持っているか確認してみてください。担当者に話しかけてみるだけでも、情報が入ってきます。

②「空き家に対応できる事業者」として見てもらえるよう整理しておく 支援法人から連携を打診されたとき、すぐに動ける体制があるかどうかが問われます。どんな案件なら対応できるか、何が得意か、どんな実績があるかを自分で整理しておくと、声がかかったときに動きやすいです。

③所有者対応の「引き出し」を増やす 制度が整っても、所有者の心理的なハードルは変わりません。「なぜ動けないのか」「何を不安に思っているのか」を理解して、最初の一歩を一緒に踏み出せるような関わり方ができると、他の事業者との差別化になります。

④異業種との連携ルートを意識しておく 空き家対応は、一つの業者だけで完結しないことがほとんどです。清掃・解体・リフォーム・不動産・士業・金融…それぞれの得意領域が必要になります。
日ごろから「この案件ならあの人に声をかけられる」というネットワークを作っておくと、いざというとき動きが速い。

というわけで、今日は商工会議所や商工会が空き家支援法人になれるようになる法案について、現場目線で整理してみました。

900万戸を超えた空き家、これからどう動くか。
制度が整うことで市場は確実に動き始めます。
でも、そこで本当に力を発揮できるのは、所有者の気持ちに寄り添いながら動ける人たちだと、ぼくは思っています。

引き続き、現場からの話をお届けしていきますね。

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