うちの実家も対象に?寝屋川市「空き家税」の免除規定と所有者が今すぐ知るべきこと
大阪府寝屋川市が「空き家流通促進税」という新しい税の導入を進めているとしてニュースになっています。
「また増税か…」とため息をついた方もいるかもしれません。
ただ、中身を読み込んでみると、これはただの増税じゃない。
むしろ「動いている物件には猶予があって、放置している物件にだけかかる仕組み」なんです。
今日はそのあたりを、現場目線で整理してみたいと思います。
そもそも、なんでこんな税が生まれたのか
寝屋川市には、活用予定がなく、売りにも出されていない「動かない空き家」が約6,400戸あると言われています。
これは市全体の住宅ストックのかなりの割合を占めています。

こうした空き家は、放置されると草が伸び、外壁が崩れ、不審者が入り込みやすくなる。
近隣住民の不安や防災上のリスクにもつながります。
でも市としても、個人の財産に「早く売れ」とは強く言えない。
そこで考えられたのが「税という仕組みを通じて、所有者に動いてもらう」というアプローチです。
ポイントは、税収を増やすことが目的じゃないということ。
市が本当に狙っているのは「行動変容」、つまり「放置している所有者に、一度立ち止まって考えてもらう」ことです。
若い世代や子育て家庭が住める家を増やしたい、街の防犯・防災水準を上げたい、それを「都市経営」として設計し直そうとしている、そういう試みだとぼくは理解しています。
実際の負担はどのくらい?
気になるのは「で、いくらかかるの?」という点ですよね。
標準的な戸建て住宅で、年間4万〜7万円程度の追加負担になると見込まれています。
税率は固定資産税額の50%相当(家屋割+家屋立地割をベースにした計算)で、毎年かかります。

これ決して小さくない金額です。
「管理もしてないのに毎年7万円払い続けるの?」と思ったら、所有者としては動かざるを得ない、という設計になっています。
でも、「すべての空き家が対象」じゃないんです
ここが大事なポイントです。
よく「空き家を持っているだけで課税される」と誤解されがちですが、この制度には免除規定があります。
つまり、ちゃんと動いている物件は対象外になります。
免除される主なケースはこちらです。
売却・賃貸の募集を開始してから1年以内の物件
相続が発生してから3年以内の物件(亡くなった年の翌年1月1日から3年度分)
現に事業に活用している、または活用予定がある物件
「実家を相続したばかりで、まだ何も決められていない」という方でも、3年間は猶予があります。「売却を検討中で、不動産屋に相談し始めた」という段階でも、1年間は免除対象になる。

完全に「放置したまま何もしていない」という状態が、課税の対象になるイメージです。
「京都の空き家税」とどう違うの?
先行事例として有名なのが、京都市の「非居住住宅利活用税(空き家税)」です。2026年から本格施行が始まっていて、別荘やセカンドハウスも含めて広く課税対象にする設計になっています。富裕層が持つ「住まない高級住宅」も対象に入るため、かなり広い網をかけています。
寝屋川市のモデルは少し違います。ターゲットをより絞り込んでいて、「市場に戻せるはずなのに戻っていない、動かない空き家」に焦点を当てています。「都市全体に課税して税収を得る」というより、「流通を止めている物件に動いてもらう」という実務的な設計です。
京都モデルが「広く・深く」なら、寝屋川モデルは「絞って・動かす」という印象です。どちらが正しいというわけではなく、街の規模や課題感の違いが出ているのだと思います。
スケジュールはどうなっているの?
現時点での見通しとしては、2026年中に条例案の提出とパブリックコメントなどのプロセスが進み、2029年度の課税開始を目指しているとのことです。

「まだ先の話でしょ?」と思うかもしれませんが、相続の手続き、売却の準備、リフォームの検討…これらには時間がかかります。
2〜3年はあっという間に過ぎます。
「自分には関係ない」と思っていた方ほど、早めに一度確認しておく価値があります。
この制度で、現場はどう変わるのか
ぼくが注目しているのは、制度そのものよりも「これが広がった先の市場の変化」です。
寝屋川市でこのモデルがうまく機能すれば、同じような制度を検討する自治体が増えてくるでしょう。
すでに全国で空き家対策の条例化が進んでいますが、「税」という強制力を持つ仕組みが広がると、これまで動かなかった物件が一気に市場に出てくる可能性があります。
それは不動産業者にとっては仲介機会の増加、リフォーム・解体業者にとっては施工案件の増加、管理会社にとっては新規依頼の増加を意味するかもしれません。
相続手続きが絡む案件も増えるので、士業(司法書士、行政書士)の需要も上がってくるでしょう。
逆に言えば、今から「空き家を動かす支援ができる体制」を整えておかない事業者は、この波が来たときに乗り遅れる可能性があります。
所有者の方へ、今日できる小さな一歩
「うちの実家、この制度に引っかかる?」と気になった方は、まず以下の点を確認してみてください。
その物件は現在、売却・賃貸の募集をしていますか?
相続から何年経ちましたか?
何かに活用していますか、または活用の計画がありますか?
どれかひとつでも「はい」と言えるなら、今すぐ課税対象になるわけではありません。でも、「全部ノー」という状態が何年も続いているなら、そろそろ一度、市役所や不動産屋さん、あるいは空き家の相談窓口に話を聞きに行くタイミングかもしれません。

空き家が問題なのではなく、放置されている状態が問題なんです。
動かすだけで、状況はずっと変わります。
事業者の方にとっては、こうした制度の動きをウォッチしながら、「動き出す所有者」を支援できる仕組みを今のうちに準備しておくことが、この先の大きな差につながると思っています。
というわけで、今日は寝屋川市の「空き家流通促進税」について書きました。
「また税金か」ではなく、「どう動けば免除されるか」「この流れで何が変わるか」という視点で読んでいただけたなら嬉しいです。
制度はまだ動き始めたばかり。でも、準備を始めるのに早すぎることはありません。
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