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空き家は、これからの観光資源になる。地域に「泊まる理由」をつくる空き家活用。

今日は午後から観光協会の総会に出席してました。
その中で、【空き家×観光】というものにおおきな可能性を感じたので、さっそく書いていこうと思います。

最近、空き家の話をしていると、ちょっと違う反応が返ってくることが増えてきました。
「あの古民家、うまく使えないかな…」とか「あそこに泊まれたら宿泊客も増えるんじゃないか…」という声です。

そういうことを、もう少しちゃんと整理してみたいと思います。

空き家は「住宅問題」であると同時に、実は地域の観光資源にもなり得る、というお話です。

空き家は「困りごと」だけじゃない

全国の空き家が900万戸を超えたというニュース、最近あちこちで見かけるようになりました。
この数字だけ見ると確かに深刻ですよね。

ただ、ぼくはこの数字を見るたびに、すこしポジティブな感情も起こるんです。

「空き家=問題」という図式で語られることが多いんですが、空き家そのものが悪いのではなく、放置されていることが問題なんですよね。
きちんと管理されて、地域のニーズに合った使い方がされれば、空き家は地域の宝になり得るものだとぼくは思っています。
たくさんの空き家の中には「ダイヤモンドの原石もあるに違いない…」と。

特に、古民家、町家、港町の古い住宅、農村部の広い家、商店街の空き店舗…こういう建物には、その地域にしかない空気感があります。
新しいホテルでは絶対に出せない、「ここにしかない」という雰囲気です。

それって、観光資源として考えると、かなり強みじゃないかと思うんです。

「見て帰る」から「泊まって感じる」へ

観光行政の人たちがここ数年、口をそろえて言うことがあります。「日帰り客ではなく、宿泊客を増やしたい」という話です。
総会のなかでぼくたちのまちでも同じ課題が出ていました。

なぜかというと、数字がはっきりしているからです。
宿泊旅行は日帰り旅行と比べて、地域内でのお金の使われ方がまるで違います。
宿泊費だけじゃなく、夕食、朝食、翌朝の散歩で立ち寄ったカフェ、地元のお土産屋、体験プログラム…一泊するだけで、お金が落ちる場面がぐっと増えます。

逆に言えば、観光資源はあるのに「見て帰るだけ」になっている地域は、かなりもったいない状況にあるんです。

そこで空き家の出番です。

泊まれる場所を増やすことは、単に「宿を増やす」話ではありません。
地域の観光消費を底上げするための、現実的な手段になります。

うまくいっている地域の共通点

愛媛県の大洲市や岡山県の矢掛町は、古民家や空き家を活用して実績を出している地域として、よく話題に上がります。
そしてぼくもいろいろ調べる中で「そうそう、これが大事なんだよな」と思うことがあります。

それは、1軒の宿泊施設だけで完結させていないという点です。

宿に泊まって、近くの飲食店で食事して、翌朝は歴史的な街並みを歩いて、地元のガイドさんに案内してもらって、帰り際にお土産を買う。
こういう「まち全体の体験」がつながって、初めて観光客は「また来たい」と思います。

これは「分散型ホテル」とか「まちごとホテル」という考え方に近い発想です。
これざっくりいうと、1棟の大きなホテルに機能を集めるのではなく、まち全体を一つの宿泊施設として見立てる、という感じです。

空き家活用の本質は、そこにあるとぼくは思っています。

「安い民泊」じゃなくていい、むしろそっちじゃない方がいい

空き家の活用というと、「安く泊まれる民泊」をイメージする方もいるかもしれません。

でも正直、それだけを目指すのはもったいないな、とぼくは感じています。

古民家や町家には、建物の歴史があります。
かつてその地域に暮らした人たちの生活の痕跡があります。

そこに地元の食や体験、文化が重なることで、普通のビジネスホテルでは絶対に提供できない価値が生まれます。

それは、地域の「単価を上げる」という意味でも重要なんです。
安売りではなく、その地域にしかない体験を高い価値として提供できれば、少ない宿泊数でも地域経済へのインパクトが大きくなります。

ここを間違えると、質の担保されない民泊が乱立して、地域住民とのトラブルや景観の乱れにつながります。
残念ながら、そういう事例も現場では耳にします。

観光行政と空き家行政、バラバラに動いていませんか

ここから少し、現場感のある話をします。

空き家の活用を進めようとすると、必ずと言っていいほど壁にぶつかることがあります。
それは、縦割りの行政構造です。

観光課は観光課の仕事をしています。
空き家担当は空き家担当の仕事をしています。
建築担当は建築担当、移住定住担当は移住定住担当、それぞれが一生懸命なんですが、横のつながりが薄い。

観光課だけでは空き家を動かせないし、空き家担当だけでは観光商品はつくれません。
そのどちらの力も必要なんです。

さらに、DMOや観光協会、商工会、地域金融機関、不動産事業者、建築士、空き家管理事業者、地域住民…これだけの関係者が関わる必要があります。

けっこう難しい話です。
でも、それだけ影響する範囲が広いということでもあります。

所有者が動けない理由も、ちゃんとある

ここで少し、所有者の話もしたいと思います。

「活用できる古民家があるのに、所有者が首を縦に振らない」という話は、現場でよく聞きます。

所有者が動けない理由は、単純に「やる気がない」わけではありません。

相続で複数人が関わっていて意思決定が難しかったり、改修費用が不透明で踏み込めなかったり、「観光に使ったら地域のひとに迷惑をかけないか」と心配だったり…そういう事情が積み重なっています。

判断を先送りにしているのは、無責任なのではなく、不安の方が先に立っているからです。
そこは「そうなりやすいよね」と思いながら接することが大事だと、ぼくは感じています。

だからこそ、所有者が一歩踏み出しやすい仕組みや、信頼できる相談窓口の存在が重要になります。

管理の仕組みがないと、観光活用は長続きしない

もう一点、これは強調したいことがあります。

空き家を観光に活用する場合、改修して終わりではありません。
むしろ、使い始めてからの方が大変です。

清掃、鍵の管理、草刈り、台風後の確認、設備点検、近隣住民への対応、緊急時の連絡体制…これがないと、いくらきれいに改修した建物でも、地域住民の理解(ここ大事!)は得られません。

観光客にとって魅力的でも、地域に住む人たちにとって迷惑な施設になってしまっては、長続きしません。

観光活用と空き家管理はセットで考える必要があります。
ここに、空き家管理士や地域の管理事業者が関わる意味があります。

というわけで、今日は観光協会の総会から、「空き家と観光」の話を少し整理してみました。

「空き家=困りごと」という見方は、確かに一面の事実です。
でも、地域の歴史を宿した建物が、観光という文脈でまったく違う価値を持ち始めているのも、また事実です。

放置された空き家は地域の負担になります。
でも、適切に管理されて、地域の観光導線に組み込まれた空き家は、地域が稼ぐ力を高める資源になります。


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