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その空き家、まだ住めるかも? 静岡県・掛川市の調査結果が示す「使える空き家」の現実


突然ですが、あなたは「空き家」って聞くと、どんな光景が浮かびますか?

雨漏りして傾いた木造の古民家、草が伸び放題の庭、近所の人が「早く何とかして」とため息をつく家…そういうイメージを持っている方、きっと少なくないと思います。
ぼく自身、空き家管理の現場を長年見てきて、そのイメージが完全に間違いとも言えないのは事実です。

でも、今日はちょっと違う話をしたいとおもうんです。

静岡県の掛川市が、約10年ぶりに空き家の実態調査を実施しました。
その結果が、空き家に関わるすべての人にとって、なかなか大事な示唆を含んでいるんです。そう「その空き家、実はまだ使えるんじゃないの?」という話です。

数字を見てびっくりした人も多いかもしれないので、今日はその内容を整理しながら、この調査結果が現場や市場にとってどんな意味を持つのか、一緒に考えてみたいと思います。

まず、何が明らかになったのか

掛川市の空き家実態調査、おおまかにまとめるとこうなります。

市内の総戸数は約4万17件。そのうち空き家と判定されたのが1,869件で、全体の約4.7%。これは近隣自治体の焼津市(1,128件)、島田市(944件)、藤枝市(811件)、袋井市(714件)と比べてもいちばん多い数字です。

で、ここからが重要なんですが。

その1,869件のうち、1,359件(72.7%)が「小規模な修繕で再利用可能」と判定されました。さらにそのなかで、立地条件も良くて、売却や賃貸として「活用が望まれる」とされた物件が1,091件(58.4%)にのぼったんです。

つまり、空き家のうち半数以上は、ちょっと手を入れれば使える状態にある、ということです。

ぼくはこれを見て、率直に「やっぱり、そうなんだよな」と思いました。

よく言われること、そしてその違和感

空き家の話になると、よく出てくるのが「老朽化した空き家が社会問題」というフレーミングです。

2015年の空き家特措法以来、危険な空き家の取り壊しや行政代執行のニュースが増え、「空き家 = 放置されて朽ちた家」というイメージがすっかり定着してしまいました。

たしかに、そういう物件も存在します。
「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されるような、近隣に迷惑をかけている状態のものも、現場ではちゃんと見てきました。

でも、それがすべてかというと、全然そうじゃない。

ぼくが現場で感じてきたのは、「朽ちた空き家」よりも「もったいない空き家」のほうがずっと多い、ということです。

少し掃除すれば使える、設備の配管を見直せばそのまま住める、外壁を塗り直せば貸せる…そういう物件が、ずっと放置されている。

今回の掛川市の調査は、まさにその感覚を数字で裏付けてくれました。

この調査で現場と市場はどう変わるか

今回の掛川市の調査は、単なる数字の発表じゃないと思っています。

掛川市の久保田崇市長は「すごく貴重なデータが得られた」とコメントし、今後の要因分析や活用施策につなげると述べています。これはつまり、市が「この1,091件をどう動かすか」を本気で考えるフェーズに入った、ということを意味します。

ぼくなりに整理すると、この動きには3つの影響があると思っています。

一つめは、行政の介入ポイントが変わること。

これまでの空き家行政は、どちらかというと「危険な空き家をどう除去するか」に力点が置かれていました。
特定空き家への勧告や指導、解体補助金などがその典型です。
でも今回のデータは、それよりも「活用できる空き家をどう動かすか」のほうに政策の重心をシフトさせる可能性があります。

つまり、除去ではなく活用。これは政策の方向性として、かなり大きな転換ですし今後のトレンドはこちらに進むと確信してます。

二つめは、民間事業者の商機が見えてくること。

「活用が望まれる1,091件」というのは、行政が名指しで「ここに需要がある」と言っているようなものです。
リフォーム会社、不動産会社、管理会社、清掃業者、解体業者…空き家と接点を持つすべての事業者にとって、この数字は営業リストの出発点にもなりえます。

三つめは、データの存在自体が所有者を動かす可能性があること。

「あなたの物件は活用が望まれる物件に分類されています」と行政から通知が届いたとき、所有者の心理はちょっと変わるかもしれません。
これまで考えてなかった「活用」という可能性が、長年止まっていた意思決定を動かすきっかけになることがあります。

今のうちに何を準備するとよさそうか

このタイミングでみなさんに何かできることがあるとしたら…ぼくはこう考えます。

まず、地域の空き家データを把握する習慣を持つこと。
掛川市のように、自治体が実態調査を実施するケースは今後も増えていくはずです。その情報が出たとき、すぐにビジネス上の判断に使えるかどうかで、スタートダッシュが変わります。

次に、「使える空き家」へのアプローチ方法を整理すること。
危険な空き家に特化したサービスではなく、「もったいない空き家を動かす」ための仕組みを持っているか、あらためて確認してみてください。
小規模修繕対応、片付け・清掃の手配、賃貸化サポート、所有者相談窓口…そのどれかひとつでも特化できると、差別化につながります。

そして、所有者に寄り添うコミュニケーションを磨くこと。
繰り返しになりますが、空き家が動かない最大の理由は「所有者の迷い」です。「この物件を管理してください」「売りませんか」という営業より、「まずどんなことで悩んでいますか」という入り口のほうが、長い目で見てずっと効果的です。

最後に、明日できる小さな一歩

もしあなたが事業者なら…お住まいの地域の自治体が空き家実態調査を実施しているか、または実施予定があるかを確認してみてください。
市のウェブサイト、広報紙、または住まい・建築担当窓口に問い合わせると、情報が得られることがあります。

もしあなたが空き家の所有者なら…「まだどうするか決めてないけど、物件の状態だけ確認してもらえますか」という入り口から、管理業者や不動産会社に声をかけることは、なにも難しいことではありません。
決断は後でいい。
まず状態を把握することが、最初の一歩です。

というわけで、今日は掛川市の空き家調査結果をもとに、「使える空き家がこんなにある」という話をしてきました。

リアルなデータが出た今、それをどう使うかは、読んでいるあなたの立場によって変わってくるはずです。
少しでも「自分ごと」として考えるきっかけになれば、うれしいです。

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