空き家対策は「連携先」で見えてくる。 空き家等管理活用支援法人が映す自治体の本音
突然ですが、「空き家等管理活用支援法人」って聞いて、ピンとくる人ってどのくらいいるんでしょうか。
空き家の業界にいると、ちょっとずつ耳にするようになってきた言葉なんですが、制度の名前だけ聞くと「ああ、また行政っぽい話か…」って、なんとなくスルーしてしまいそうになりませんか。
この制度、今年度はいろんな自治体で取り組みそうな気がしているんです。
というのも、これまでの専門家の団体、例えば宅建業協会や司法書士会以外に民間の企業が認定されているケースが増えているんです。
でも今日お伝えしたいのは、制度そのものよりもっと面白い話です。
どんな法人が指定されているかを見ると、その自治体が空き家をどう扱いたいのかが見えてくる、という話です。
いわば、支援法人は「自治体の空き家への本音」を映す鏡みたいなものだと、ぼくは感じています。
まず「空き家等管理活用支援法人」って何なのか
まずは簡単に制度の説明から入りますがね。
2023年に改正された空家対策特別措置法(いわゆる改正空家法)によって、市区町村が民間の法人を公式に指定して、空き家対策の実務を一緒に担ってもらえる仕組みができました。それが「空き家等管理活用支援法人」です。
ものすごくざっくりいうと、「行政の外側にある実務力を、公的に使いやすくする制度」です。
行政だけで、空き家の相談対応から、現地の見回り、活用支援、流通促進、解体の調整まで全部やるのは、正直難しい。
人員にも予算にも限界がありますから。
だから、すでに地域でノウハウを持っている民間の事業者やNPO、社団法人などを「支援法人」として指定して、行政と民間が連携しながら空き家問題に取り組める形にしたわけです。
指定された法人は、所有者への相談対応、物件の管理、活用のサポート、普及啓発、所有者の探索なども担えるようになります。かなり広い役割です。
制度より面白いのは、「誰が指定されているか」
ここからが本題です。
全国の自治体を見ていると、支援法人として指定されている法人の顔ぶれが、なかなかバラバラなんです。
たとえば、こんな感じです。
クラッソーネのような解体・除却に強みを持つ会社が指定されているところもあれば、AlbaLinkのような訳あり物件の買取再販に特化した会社が選ばれているところもある。
SWAY DESIGNのように活用設計やリノベーション寄りの会社が入っているところもあるし、ネクスト名和のように管理・修繕の実務に強い会社が指定されているところもある。
ジチタイアドのように総合的な相談窓口としての機能を担う法人もあります。
「支援法人って、どれも同じ感じじゃないの?」と思ってた方、ちょっと驚きませんか。
指定先を見ると、自治体の本音が見えてくる
支援法人の種類がこれだけ違うということは、つまり自治体が「何を補いたいか」も違うということです。
解体会社が指定されている自治体は、危険な空き家の除却や解体の出口をどうにかしたいと思っている可能性が高い。
訳あり物件の買取系が入っている自治体は、市場では動きにくい空き家をなんとか流通させたいという意図があるのかもしれない。
設計・リノベ系の法人が選ばれているなら、壊すより活かす方向で空き家政策を進めたいというメッセージとも読めます。
管理専門の会社が入っているなら、放置が問題化する前に、見守りや維持管理を重視しているのかもしれません。
指定法人は、その自治体の「空き家とどう向き合いたいか」という性格を映している、とぼくは感じています。
だから、ある自治体の空き家対策をちゃんと理解したいなら、制度の文書より先に、「どの法人が指定されているか」を見たほうが、実は本質が早くつかめることもあると思っています。
「解体」や「売却」の出口は増えてきた。では、その前は?
ここで少し立ち止まって考えてほしいことがあります。
支援法人制度が広がって、解体の出口や訳あり物件の流通支援など、「問題化した空き家に対応する手段」は少しずつ増えてきました。
これは確かに前進です。
でも、ぼくが日頃現場を見ていて感じるのは、問題化する前の段階、つまり「管理」の担い手がまだ十分ではないということです。
空き家が問題になるのは、突然ではないんです。
誰も見ていない時間が積み重なって、気づいたら雨漏りが進んでいた、庭が荒れていた、近隣からクレームが来ていた、ということが多い。
問題化してから対処するより、定期的に状態を確認して、軽い修繕をして、所有者との関係をつなぎ止めておく方が、社会全体のコストはずっと小さい。
当たり前のことのように聞こえますが、実際にはその手前の管理を継続的に担える体制が、まだどの地域でも十分に育っているわけではありません。
だから支援法人制度の中でも、定期巡回、状態確認、軽微な修繕、所有者との関係維持という機能を担う法人が、もっと評価されていくべきだとぼくは思っています。
今後の制度の充実を考えると、ここが次の焦点になりそうな気がしています。
あ、自治体のみなさん空き家管理士協会が協力できることあれば連絡ください(笑)
どんな業種・立場の人に関係する話なのか
「でも、これって不動産や建設の人向けの話でしょ?」と思った方、ちょっと待ってください。
支援法人として指定されうる、あるいは支援法人と連携しながら事業を展開できる業種は、実はかなり幅広いです。
不動産業・建設業はもちろんですが、清掃・解体・リフォームの会社、士業(司法書士や行政書士など)、介護や福祉の事業者(高齢者の所有する空き家は多い)、警備・見守りサービス、地域金融機関(融資や相談窓口として)、そして地域のスタートアップにとっても、この制度は足がかりになりえます。
「自分の業界って、実は空き家と接点があるんじゃないか」と感じている方は、この制度を通じて地域行政と公式につながる入口として、チェックしてみる価値があると思います。
というわけで、今日は空き家等管理活用支援法人の話をしてきました。
制度の名前だけ聞くと地味に見えますが、「どこが指定されているか」を追いかけると、自治体の本音が見えてきて、なかなか面白い。
そして今後の課題は、解体や流通の出口だけでなく、「その手前にある管理をいかに仕組み化するか」にあると、ぼくは感じています。
空き家は放置されなければ、地域の宝になれる可能性を持っています。支援法人制度が、その可能性を広げる一つの仕掛けになっていくことを、期待しています。
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