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「空家等管理活用支援法人」について、空き家管理の現場から考えてみる。

最近自治体がある「募集」をしているという記事を見かけるかと思います。
その募集というのが、今日書きたいテーマです。

という事で、今日は空家等管理活用支援法人という、ちょっと長い名前の制度についてです。
これものすごくざっくりいうと、「空き家で困っている人の相談に乗る民間の団体を、市区町村がお墨付きつきで指定できる仕組み」です。

空き家ビジネスに関心のある方、とくに不動産や建設、士業、リフォーム、解体、清掃、警備あたりのお仕事をされている方には、これ、けっこう関係のある話だと思います。少しお付き合いください。

いま、何が起きているのか

もともと空き家の対策は、空家等対策の推進に関する特別措置法という法律が土台になっています。
これが数年前に改正されて、その中で新しくできたのがこの支援法人という枠組みです。

市区町村が、地元のNPOや社団法人、民間企業などを「あなたのところ、支援法人としてやってくれませんか」と指定する。
指定を受けた法人は、所有者からの相談を受け止めたり、空き家を使いたい人とのマッチングをしたり、専門家への橋渡しをしたりする。
行政だけでは手が回らないところを、現場に近い民間が補っていく。
おおまかにいうと、そういう狙いの制度だと理解しています。

方向性としては、いい話だと思うんです。
相談の入り口が増えれば、それだけ「放置される前に誰かにつながる」空き家が増えますから。

「窓口が増えれば解決に近づく」本当にそうでしょうか

こういう制度ができると、「相談窓口が増えるのはいいことだ」となりますよね。
実際その通りで、間違ってはいません。
実家から離れて住んでいる所有者が最初にぶつかる壁は、だいたい「誰に相談したらいいか分からない」ですから。

解体するのか、貸すのか、売るのか、それとも当面は管理だけ続けるのか。その手前で立ち止まっている人が、本当に多いんです。

だから窓口ができること自体は、素直に歓迎したいとおもいます。

とはいえ、現場で管理の仕事をしていると、ひとつ気になることがあります。
窓口で相談を受けたあと、実際に建物を見に行く人は、誰なんだろう、と。

相談に乗る、というのはあくまで入り口の話です。
そのあとには、定期的に建物を見に行って、庭木を手入れして、郵便物を確認して、雨漏りがあれば気づいて…という、地味で継続的な実務が待っています。

ぼくが日々やっているのは、まさにこっちの部分です。
相談を受ける機能と、実際に手を動かす機能は、重なっているようで、役割としてはけっこう別物です。

心配なのは「窓口だけ作って、受け皿がない」状態

ここでぼくが個人的にいちばん心配しているのは、窓口だけができて、その先を担う実務の受け皿がないまま制度だけが走っていく、という展開です。

想像してみてください…。
所有者が勇気を出して市区町村の窓口に相談に行く。
支援法人を紹介される。
話は丁寧に聞いてもらえる。
でも、「じゃあ実際に空き家を見に行ってくれる人は?」となったとき、そこから先がぽっかり空いている。

相談したはいいけれど、結局また自分で管理会社を探すところからやり直し。これでは、せっかく踏み出した一歩が空回りしてしまいます。

もっと言うと、こういう状態は行政にとって「民間に丸投げする言い訳」にもなりかねないと、ぼくは少し危ぶんでいます。
「支援法人を指定しましたから、あとは民間で」と。もちろん行政の方々に悪気があるという話ではありません。
ただ、仕組みとしてそうなりやすい構造がある、ということです。

そうなると、困るのは誰か。
まず所有者です。
相談したのに前に進まない。

次に民間の事業者です。
窓口機能だけ期待されて、実務の対価や連携の設計が曖昧なまま持ち出しになる。
そして最後は自治体自身です。
「相談窓口はあるのに空き家は減らない」という、いちばん残念な結果になってしまう。

つまり、丸投げになった瞬間、関わる人みんなが少しずつ損をするんです。

だからこそ、窓口と実務を「つなげられる人」に価値が出る

ここまで書くとなんだかネガティブな話に聞こえるかもしれませんが、ぼくはむしろチャンスの話だと思っています。

窓口機能と実務機能が分かれているということは、裏を返せば、その二つをきれいにつなげられる人や会社が、これからすごく重宝されるということです。

相談を受け止める団体と、実際に手を動かす事業者。
この橋渡しがうまく設計できているかどうかで、所有者にとっての使いやすさが、まるで変わってきます。

ぼく自身は空き家管理士協会という立場でこの制度を見ていますが、これは自分たちの業界だけの話ではないと感じています。

不動産の方なら、相談の先にある売買や賃貸につなげられる。
解体やリフォームの方なら、活用の方向が決まったあとの実働を担える。
清掃や警備の方なら、まさに継続管理の主役になれる。
士業の方なら、相続や登記の整理で入り口を支えられる。
それぞれの本業と、この制度は、意外と自然に組み合わさります。

そこで、明日できる小さな一歩

では、空き家に関わる事業者として、いま何をしておくといいか。

まずは、自分の地域の市区町村が支援法人を指定しているかどうかを調べてみることです。
これは自治体によってかなり差があるようなので、空き家対策の担当課に問い合わせるのが確実だと思います。
指定済みなら、その団体がどこの誰なのか。
まだなら、これから動き出す可能性がある、ということです。

そのうえで、いちばん大事なのはここです。
窓口機能を持つ団体と、自分たち実務側が、どう連携できるかを先に設計しておくこと。

相談の受け皿ではなく、「相談の次を担う受け皿」として、自分の立ち位置をはっきりさせておく。
制度が本格的に動き出してから慌てるより、静かなうちに絵を描いておいたほうが、ずっと動きやすいはずです。

というわけで、これから空き家等支援法人という言葉を見かけたら、それを「へえ」で終わらせずに、「自分の仕事とどうつながるかな」という目で一度眺めてみてください。
そこから見えてくるものが、きっとあると思います。

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