踏切オーディション【毎週ショートショートnote】
新幹線には、夢があった。
「電車と生まれたからには、踏切を通過してみたい」
だが新幹線の最高速度は約300km。平均でも200km前後だ。
「……というわけで、君には無理だ。鉄道王国・日本の頂点に君臨する車両として相応しい自覚と自制を持ちたまえ」
新幹線だって、判っていた。
線路の幅も違う自分が、在来線の踏切を通過できるわけが……。
「じゃあ、新幹線の線路に踏切を作ってください!」
「どこに作るんだ! そもそも誰が渡るんだ!」
「通過駅のホーム扉を踏切仕様にしてください!」
「……よかろう。では試しに通ってみろ。我々がその様子を審査する。苦情が出なければ採用しよう」
かくして某駅に虎縞模様のホーム扉と警報機が設置された。
「踏切、踏切、うっれしいな~♪」
これが審査ということも忘れ、新幹線は初めての踏切を存分に味わった。
ゆっくり……ゆっくり……ゆっくり……
「ちょ、新幹線、遅すぎ!」
「ダイヤが狂う!」
「イメージ悪っ!」
踏切初体験に浮かれる新幹線のもとに非情な通告が届く。
「……やはり君は踏切に相応しくない。残念ながら不採用だ」
(456字)
【あとがき】
参加者の大方が提出したあとの金曜日に書くとか、無謀すぎますね……。
私事ですが、先日noteさまより、拙作『栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂』制作舞台裏のインタビューを受けました!
よろしければぜひご覧くださいませ!
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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