節分の半分は優しさでできています【毎週ショートショートnote】
あと少し……あと少しだ……!
「おーい、こっちこっち!」
遠くから聞き慣れた声が届く。
一年ぶりに聞く、春の声だ。
走り続けて疲れた冬の足に、ほんのわずか力がよみがえる。
「わあ、最後の最後で冷たい風出さないでよ!」
「しょーがねーだろ。俺は冬なんだから、力出しゃ寒くなるに決まってんだろうが」
ぶっきらぼうな冬の口調に、春の頬がぷっと膨らむ。
「まあいいや、とにかくお疲れさま。じゃあバトンタッチね」
今日は節分。立春の前日だ。暦の上では明日から春。
ここまで走り続けてきた冬は、ずっと手に握りしめていたバトンを春へ渡した。
「もう行くのか?」
「うん。担当は明日からだけどさ。ここ最近は雪も多いから、早めにあったかくしてあげようと思って」
「ちゃんと食ってからにしろよ。空きっ腹だと寒さがこたえるぞ」
「もう! 表のカオはめちゃめちゃ冷たいくせに、裏は優しいんだから!」
春は頬をほんのり桃色に染めると、冬から渡されたバトンの恵方巻に勢いよくかぶりついた。
(415字)
【あとがき】
皆さま、ご無沙汰しております。
12月にひどい心身の不調に見舞われ、しばらくnoteをお休みしておりました。
気づけば2月、まずは毎ショ道場で復活ののろしを上げようかと、のそのそ戻って参りました。どうぞまたお付き合いくださると嬉しいです。
それにしても、文字数超過常習犯の秋しばが!
なんと415字!
やればできる子!!!(冬眠あけでちょっとオカシイ)
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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