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あとがきにかえて ~創作大賞2025 応募作品『栗と牡丹』の舞台裏

本記事は、Talesにて公開中の拙作『栗と牡丹』の執筆舞台裏について書いたものです。同作のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

創作大賞2025 応募作品『栗と牡丹』、無事完結いたしました!
約110000字の長い物語にもかかわらず、読みにきてくださった皆様には、本当に感謝しかありません! 

本当に本当に、ありがとうございます!!



さて『栗と牡丹』は栗菓子を作る和菓子職人さんのお話です。
今回は「#お仕事小説部門」にエントリーしております。
なお最初にお断りしておきますが、秋しばは和菓子職人ではありません(笑)

『栗と牡丹』の舞台は岐阜県恵那市。現在は人口45000人ほどで、豊かな森と水源に恵まれた小さな町です。恵那市公式サイトによると「住みたい田舎ランキング」で2年連続第一位なんだとか。

そして実は、隣の中津川市も栗で有名な町です。と言うか、実際には中津川の方が町としての規模も大きく、栗の生産量も少しばかり多いようです。(恵那市の栗生産量は147 t で全国25位、対する中津川市は171 t で全国22位)
じゃあ何で恵那市にしたのか、というのは……うーん、何でだろ(笑)
どちらも過去に行ったことのある町ですが、何となく恵那の方がこぢんまりしていて、物語の雰囲気に合っている気がしたのかもしれません。


本作『栗と牡丹』は、4年前に『第3回 日本おいしい小説大賞』(小学館)に応募した作品を大幅に書き直したものです。ちょうどコロナが発生して1年ほど経った頃ですね。
栗や和菓子の調査はその当時にしました。ただ、その頃はまだ気楽に外出できるような状況ではありません。結局恵那へ取材に行くことはできず、すべて本やサイト、動画に頼るしかありませんでした。
細かいロケーションを書く時には、GoogleMapのストリートビューが本当にありがたかったです!


物語に出てくる主役のお菓子『栗きんとん』は、必ずしも全国区のお菓子ではないので、ご存じない方も多いと思います。
でも秋しばは子供の頃から、この『栗きんとん』なるものをよく食べておりました。と言うのも、なぜか実家で普通に作っていたので(笑)

https://www.kankou-ena.jp/gourmet/kurikinton.php


メーカーによって色も形も様々ですが、秋しばが作るとこんな感じです。

栗きんとんって、こんな感じです(秋しば作)
写真だとかなり黄色ですが、実物はもっと白っぽいです

物語の中で沙都子が作る「家づかいの作り方」は、ほぼ私の作り方です。
でもお店だと、たぶん全然違う作り方だと思います。そのあたりは企業秘密なのか、調べても見つけることはできませんでした💦 まあ当然ですが。

① マッシャーで丁寧につぶし、
② 細かくなってきたら砂糖をくわえ、
③ 弱火にかけてよく練っていくと、
④ しっとりと固まってきます。
こうなるとすぐ焦げるので注意!
ずらりと並ぶと壮観✨

さて栗きんとんを作るようになって、早や25年。
数年前、秋しばは突如として「栗最中」を作りたくなりました。
そして同時に、先述の『日本おいしい小説大賞』のために「栗菓子を作る和菓子職人の話を書こう!」と思い立ちました。

ところが調べども調べども、栗餡のレシピは見つかりません。
(だから物語の中でも沙都子は見つけられなかったのですw)
それで通常の小豆最中の餡を参考に、自分で模索を始めます。

もはや化学実験(笑)

最初の年は大失敗。ただのぼそぼその栗餡のかたまりができただけ(涙)
翌年はちょっとうまくいったかな~と思ったら……

まったりしてます♪
けっこういい感じ(と、この時は思った)

半日寝かせたあとに見たら、最中の種(皮)はべったり溶けてました(泣)
どうやら餡の水分が多すぎたようです。(→ まんま沙都子w)
しかし打開策は見つからないまま、その年の栗のシーズンを終えました。
さらに次の年は諦めて、端っから作りませんでした。

空白を経て4年めの挑戦で、ようやく何とかそれらしいのができました。
この時は思い切って砂糖の量を増やしました。(→ これもまんま沙都子w)
結局それが正解だったようです。でもこの時の砂糖の量を見たら、もう二度と作る気がしなくなりました(笑)

これはいちおう成功作。
使っているのは栗と砂糖だけです。
市販の種(皮)に挟んで完成

読んでくださった方ならお判りのとおり、栗きんとんや恵那栗最中に関する部分は、かなり秋しばの経験を元にしています。たぶん実際のお店では、全然違う作り方だと思います。一度真剣に取材したいなというのが、秋しばの秘かな野望です(笑)

さらに栗最中については、まだ全然納得できるレベルに達していません。(栗きんとんはそれなりに自信のある味なんですが)
なので物語中の栗最中に関する描写は、あくまで自分が「こうあってほしい!」という理想に基づいて書きました。

そして最中(栗最中ではなく、松原が作る小豆の最中)については、私の大好きな『仙太郎』の最中のイメージで書きました。こちらは普通の小豆最中なんですが、すっごく大きくて餡も種もめちゃめちゃ美味しい!
機会があったら、ぜひ食べてみてください!

https://www.sentaro.co.jp/wagashi/_gozonjimonaka.html

「盛り」ではなく、ほんとに現物もこんな感じです


和菓子は大好きな秋しばですが、実のところ専門的な知識は何も持っていません。物語に出てくる練切や小豆最中、並餡や中割餡の作り方。あるいは栗の種類などは、すべて本やサイトで調べまくった結果です(笑)

調べるとつい物語に盛り込みたくなるのですが、専門的な話や蘊蓄話はえてして作者の自己満足になりやすく、読者からすると読みにくかったり、判りづらいことが往々にしてあります。今回の書き直しでは、そのあたりをずいぶん意識しました。連載途中で「専門的だけど判りやすい」というコメントを頂いた時は、とても嬉しかったです!

【メインの2冊】

松原の語る最中餡のレシピや和菓子の基礎についての知識は、この本にずいぶん助けられました!

相田農園の面々が語る栗のあれこれは、主にこちらから。当時はほとんどレポート書いてる気分でした(笑) クリタマバチとか、初めて知った🐝
また実際の栗農園さんのサイト(すごく数が少ない💦)では、栗の品種や収穫時期、実際の農園の様子などを勉強できました。

その他多くの本やサイト、動画などを参考にさせていただきました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます!

***

4年前はそれなりに書けたと思った作品も、改めて見直してみると稚拙・陳腐な表現、読みづらい構成、無駄な場面等が山盛りでした💦
でも自分としてはとても好きな作品だったので、今回大幅な手入れをして再登板させました。結果として、125000→108000字程度まで減ったぶん、すっきりして読みやすくなっていたらいいなと思います。

一般的に「公募作品の使い回しはよくない」と言われるようですが、『やまなし文学賞』の授賞式でお会いした堀江敏幸先生は、

「時間が経ってから、むかしの作品を書き直すことは意義がある。必ず新しい発見があるし、当時とは違う書き方ができるはずだ」

と仰っていました。その言葉が今回、私の背中を押してくれました。

そして大幅に書き直してほぼ完成、というところで、またもや方向転換。
これは先の文学フリマ東京40(の打ち上げ)の時に、仲間から言われた
「とにかく前半をぶった斬れ!」と言われたことによります。
仲間はその時『栗と牡丹』の原稿を読んだわけではありません。ただ私が自分の癖として「とにかく序盤、前半の展開が遅い」と嘆いていたら、そうやって熱い(?)エールをくれたのです。

実際私は、ほぼ完成していた『栗と牡丹』についても、「やっぱり序盤が重いのでは……」と悩んでいました。そこに仲間のエールを受け、帰ってから再びぶった斬りを敢行し、かつどうしても必要と思った部分は残して、ようやく現在の形が出来上がったのです。
これがベストかどうかは判りませんが、ひとまず自分としては納得のいく形にできたと思っています。そのあたりについて、読者の方のご意見をうかがえたら嬉しいです!
ご意見・ご感想、ぜひぜひお待ちしております!


4年前にあえなく落選し、それでもずっと好きで、かつ気になっていた物語を、新しい形で再び世に放つことができたのは何よりの喜びでした。
読んでくださった皆さま、いろいろな形で応援してくださった皆さまに、心から感謝を申し上げます。

創作大賞2025の締切は7月22日(火)です!
まだまだ日はあります! ぜひぜひご一緒に参戦いたしましょう! 
ともに文運長久ならんことを!!


現在Talesにて公開中の創作大賞2025 応募作品『栗と牡丹』はコチラ!!
どうぞよろしくお願いいたします!!


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