読書手術【毎週ショートショートnote】
一生で読める本の数は限られている。
読書家たるもの、厳しい眼で世にあふれる書籍を検分すべきだ。
俺は書店の棚の前に立った。
「15時03分、読書手術を始める――装幀」
読書の入口は装幀に始まる。
読み手の気を惹くデザイン。目に優しくなめらかな手触りの紙。
よし、上々だ。
指差し確認とともに次へ進む。
「タイトル」
タイトルは読書の入口を開ける鍵だ。
流行りの長すぎるタイトルには辟易するが、さりとて小学生の作文のごとき『◯◯と私』では読む気も失せ――なに、『テヘペロ探偵物語』?
これは悪性か……いや、まだ諦めるのは早い。
目次をめくって、いよいよ本編だ。
「主人公」
ああ、何たることだ。手垢のつきまくったJK&中年男性のバディとは!
残念だが、これはもう手の施しようがない。
次、次だ。きっと俺の読書手術に耐え得る本があるはずだ……!
「……ようやく帰りましたよ、あのお客さん」
スタッフの呆れ声に、店長はやれやれとため息をついた。
「いつも買ってくれるのはありがたいけど、1冊1冊手に取っては、ぶつぶつ独りごと言うのは勘弁してほしいねえ。それさえなきゃ、いいお客さんなんだけどなあ」
(476字)
【あとがき】
最近、低調続きで長いものが書けません…(涙)
(すでに中・長編の公募を3本も見送っています)
でもこちらの道場のおかげで「書く」ことは続けられています。
みなさん、いつもありがとうございます。
リハビリも兼ねて、久々にエブリスタ・妄コンに参戦しました。
お題は『解』です。
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