見出し画像

誤字集合【毎週ショートショートnote】

「皆さん、ただの誤字と甘えてませんか? 今日こそまとめて校正しますからね!」

召喚された誤字たちは震えあがった。

「まず『僕と血痕してください』――誰ですか、これは」

いちばん前の席の誤字が小さく手を挙げた。
誰も笑わない。次は我が身なのだ。

「これじゃ求婚どころか心中でしょう! 次、『ずっとあなたが隙でした』 物でも盗むつもりですか! 失恋して切なく『雨を見つめた』はずが『飴を煮詰めた』にしないで! お菓子作りの気分じゃないの!」

「緊迫した『橋は燃えているか』を『箸は萌えているか』って、食卓で箸がくねくねしてるんですか! 他にも『お萌えていろ!』 こんな捨て台詞、迫力のカケラもありゃしない」


その時、ノックの音がした。
ぼさぼさの毛並みの犬が、ぬぼーっと入口に立っている。

「すみません、ウチの子たちがお世話に……」
「あなたが作者ですか! こんなにたくさん誤字を生んで、ちゃんと物語を育てられてるんですか! あなたに必要なのは校正よりも更生です!」

まったく反省した様子もない犬は、くふんと笑った。

「まあまあ、そんなに炎吐かないで。先生、もしかして『誤字ラ』?」

(477字)


【あとがき】
校正が大好き、という変人(犬)の秋しばです。
まだ本格的に物を書き始める前に、校正の通信講座を1年ほど受けました。結果として校正の仕事はできなかったのですが、小説を書く身としてはとても役に立ちました。それでも誤字脱字からは逃れられないですねえ……。

誤字脱字と言えば、花丸恵さんのエッセイがめちゃめちゃ面白いので、ぜひ読んでみてくださいね! (注:人前で読んじゃダメ。ゼッタイ。)

感想文もあります(笑)


*この記事は、以下の企画に参加しております。


いいなと思ったら応援しよう!

秋田柴子 お読み下さってありがとうございます。 よろしければサポート頂けると、とても励みになります! 頂いたサポートは、書籍購入費として大切に使わせて頂きます。