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夜行性の黒板消し【毎週ショートショートnote】

「ったく、ひでえマネしやがる」

俺は真夜中の教室で舌打ちした。
黒板は、ある女の子を貶める言葉で埋め尽くされている。夕方に担任が泣きながら消してたが、どうやら後から再び書き足されたようだ。

よう、先生。泣いてたってしょうがねえだろ。世の中には涙じゃ守れねえモノもあるんだぜ。

俺が指を鳴らすと、醜く書き殴られた黒板が跡形もなく消えた。

「ちっ、やっぱりな」

消えた黒板の裏の壁に、下劣な言葉がべったりと残っている。
強い悪意で書かれた文字は黒板に沁み込み、後ろの壁にまで及ぶ。この壁の文字を消さないかぎり、いくら黒板をきれいにしても教室にはびこる悪意は消せないんだ。

俺がふうっと息を吹きかけると、醜い文字が消えた。教室の中の空気が暗闇でも判るぐらい澄んでくる。
これでいい。澱んだ奴らは空気の澄んだ教室に入れない。
今度はそいつらが苦しむ番だ。

再び指を鳴らすと、真新しい黒板が現れた。
これにて清掃完了だ。

――え? 俺が誰かって?
どうだっていいだろ、そんなこと。
真夜中の教室で、因縁のついた黒板消して回るだけのしがねえ野郎さ。
ま、"夜行性の黒板消し" とでも覚えといてくれ。

(477字)


【あとがき】
"黒板消し" という言葉どおり、黒板ごと消してみた、ひねくれものの秋しばです(笑) ほんとにこういうモノがあればいいんだけど。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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