郷に入ったおしゃれ【毎週ショートショートnote】
「うち田舎だから、婚礼衣装も決まってるんだ。ごめん、ドレス着たかったよね……」
正直、迷った。ウェディングドレスは子供の頃からの憧れだったから。
でも ”子供の頃からの憧れ” なら、彼も同じ。
ある日突然、転校生として現れた彼。
海辺の街から来たという彼の大人びた雰囲気に、クラスの男子が急にガキっぽく見えた。その一方で、女子はくすくす、ひそひそ。
その後、違う高校に行ってそれきりと思っていたら、社会人になって偶然の再会。離れていた時間が一気に溶けたように、私たちは瞬く間に心を交わすようになった。
「―― いいわ。地域で決められた衣装って、どんなの?」
「それは当日までのお楽しみさ。手配は僕に任せておいて」
結婚式当日。
海辺での式が習わしだとかで、浜に降りた私は、彼の姿を見て立ち竦んだ。
伸ばした髪を後ろに結び、粗末な着物に腰蓑スタイル。ご丁寧に手には釣り竿まで。それって……。
「やあ、乙葉。待ってたよ」
彼が満面の笑みで私の手を掴む。
「君が僕の最初で最後の相手だ。もう離さないからね」
彼の背後から、巨大な亀がずさりと砂を踏み分けて近づいてきた。
(459字)
【あとがき】
珍しく裏お題にも挑戦です!
なんかちょっとズレてるかもしんない💦
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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