【鶴亀杯短歌】5首選
特に好きな御歌を5首、番号順に掲載します。
サイダーのペットボトルを開ける音同時に鳴ってしまう絆だ
サイダーからラストまで、一気に駆け抜ける鮮やかさ! 放課後、陸上部、女生徒ふたりサイダーを一緒に開けてポンッ! 「同時~!~これって絆?」ってサイダーのCM想像しました。リズムも良く、しゅわしゅわ爽やかな青春歌です。
星々を結ぶプロット思うまま描けばいいよ君だけの星座
既にある物語は放っておいて、君自身で星を結んで新たな物語を作っていいんだよ、と言ってくれてるのかなと思います。誰におもねることなく、他人の意見に左右されることなく、君自身の感性を大事にしたらいいよと、背中を押してくれている気がして胸が熱くなりました。
駅方面とだけ書かれた矢印が指す夏の大三角形
駅方面と書かれた矢印を辿っていったらなぜか天上の大三角形へ至った、の意と最初、思っていました。矢印が古びて上向きになってて、空を指しているのですね。解釈は自由という事で(笑)、おとぎ話の方にさせていただきました。満天の星空へ昇りたくなりました。
さいばしを入れると泡が上がります熱波の街で鳴くアブラゼミ
アブラゼミの鳴き声をあらわす比喩としてこんな上句は見たことが無く、感嘆しました。菜箸から泡が途切れずにずーっと出るのも、あの声の暴力的な感じをよく表しています。揚げ油の熱感が熱波の街ともリンクしています。蝉の鳴き声って余計に熱く感じるんですよね。
薄日射す枝の透き間の彼方よりとろりとろりと蜜の音聞こゆ
蜜の音とは何なのか。枝の透き間に存在するパラレルワールドから漏れ聞こえる音なのか。蜜だから、桃源郷のような場所でしょう。蜜の源泉へ踏み入れたくなるけれども、行ったらたぶん戻って来れなさそう。不思議の世界に誘われた御歌です。
