「いい働き方って何だろう」
― 映画『世界最速のインディアン』のマーローに学ぶ ―
この話は、実話です。
私たちはよく、「いい働き方」とは何だろうと考える。
収入が多いことだろうか。安定した会社に勤めることだろうか。
あるいは、社会的に評価される仕事だろうか。
しかし、その答えは人によって違う。
そして、そのヒントをくれる人物が、映画『世界最速のインディアン』の主人公、バート・マーローである。
マーローはニュージーランドの片田舎に住む老人だ。
彼の家は決して裕福ではない。
古びた小屋のような家で、工具と部品に囲まれて暮らしている。
しかし彼には、人生をかけた夢があった。
1920年製の古いオートバイ「インディアン」を改造し、世界最速記録に挑戦することだ。
普通の人なら、こう言うだろう。
「もう年だ」
「お金がない」
「無理に決まっている」
だがマーローは違った。
彼は何十年もかけて、自分のオートバイを改造し続ける。
部品は手作り、工具も工夫、時にはスプーンを削って部品を作る。
決して効率的ではない。
むしろ、世間の価値観から見れば「無駄」にさえ見える時間だ。
しかし彼は、その時間をとても幸せそうに生きている。
そしてついに、彼はアメリカのボンネビル塩湖へ向かう。
世界最速に挑戦するためだ。
旅の途中、彼はたくさんの人に出会う。
貧しくても優しい人、夢を語る人、彼を応援してくれる人。
なぜ人々は彼に心を開くのだろう。
それは、マーローが「夢を持って生きている人」だからだ。
夢を追う人には、独特の輝きがある。
年齢も、肩書きも関係ない。
その人の人生そのものが、誰かの心を動かす。
そしてついに、彼は古いバイクで世界最速記録を打ち立てる。
若者でもなく、プロのレーサーでもない。
スポンサーもいない。
ただ、夢を諦めなかった一人の老人が成し遂げた奇跡だった。
この映画は、静かに問いかけてくる。
「あなたの夢は何ですか?」
「それを諦めていませんか?」
私たちは働くうちに、いつの間にか夢を忘れてしまう。
生活のため、会社のため、世間の評価のため。
もちろん、それも大切だ。
だが、人生は一度きりだ。
もし心のどこかに
「やってみたいこと」
「挑戦してみたい夢」
があるなら、それを大切にしたい。
マーローは特別な人ではない。
ただ、好きなことを続けただけだ。
そして、夢を追い続けた。
私は思う。
「いい働き方」とは、きっとこういうことではないだろうか。
誰かに言われた仕事だけをこなす人生ではなく、
自分の情熱を持って生きること。
たとえ遠回りでも、
たとえ時間がかかっても、
自分の夢に向かって歩き続けること。
マーローは言う。
「夢を追うのに、遅すぎるということはない」
この言葉は、働くすべての人へのメッセージだ。
年齢も、立場も、関係ない。
人はいつからでも、人生を走り出すことができる。
もしあなたが今、迷っているなら思い出してほしい。
古いオートバイで世界最速に挑んだ、
あの老人の姿を。
いい働き方とは、
ただ働くことではない。
夢を持って、生きること。
それこそが、
人生を本当に豊かにする働き方なのだと思う。
