【毎ショ】鵲の橋
「わし座地区は久し振りだろ、何が食べたい?」
「嬉しいけど親父、まずは七夕の家族旅行の計画立てよう」
足腰を痛めた父は杖を突いて歩き、息子のジャクは父に歩幅を合わせる習慣がついた。
「母さんも親父の足を気遣って、温泉とか落ち着けるところが良いって言ってた」
「そうか、結局俺は母さんを楽しませられなかったな」
そんなこと言うなよ、親父はよくやった。言いかけて辞めた。悔いにまみれた父に何を言っても傷つけてしまう。
そんな胸中を察したのか、父は言った。
「ああ、お前は母さんに似て優しい子だ。まるで母さんがそばにいるみたいだよ」
「母さんもそう言ってたよ。若い頃の親父にそっくりだって」
天帝に忌まれた夫婦、しかしそこに生まれたことをジャクは悔いてなどいない。父母は七夕しか会えない。それでも俺に自由をくれた。
「どこか行くにしても運転は俺がするから、二人は楽しんでよ」
俺が二人の足になるよ。天の川の川沿いを、父子は歩を揃えて歩む。
(410字)
▼参加させていただいた企画
【捕捉】
鵲:訓読み(かささぎ)
:音読み(ジャク)
