【毎ショ】梅仙人
「あなたが梅仙人?」
傘を差した少女が尋ねた。公園の由緒ある梅の木の下、雨音と甘酸っぱい梅の香りが満ちるそこに、長い白髪の老人がいた。
汚れと破れの目立つ古びた服を着た老人は、一見すればホームレスと見紛う。しかし学校の噂によれば、この人が梅雨の時期だけ会える梅仙人である。
「いかにも、何か悩みかね?」
仙人は汚れた鞄から星見の盤や動物の骨、虫メガネを取り出した。「最近人気のたろっと?も勉強している」とも言っている。
「姉について尋ねたいの」
「ほう?」
「姉は病気になったの。ごがつ病?っていうらしくて、中学校を休もうか悩んでいるくらい調子が悪いの。私はまだ小学生だからよく分からなくて」
仙人は瓢箪を取り出し、中の梅酒を一口飲んだ。
「ではお姉さんにこう伝えなさい。今度晴れが三日続いたら、吉が訪れると」
少女の顔が晴れた。仙人はお土産に黄緑の梅ゼリーを持たせた。
先の助言に根拠は無い。吉も凶も、雨のせいにすればよいのだ。
(410字)
▼参加させていただいた企画
梅酒シーズンです。久しぶりに410字ジャストで収まりました。
蒟蒻ゼリーの梅味美味しいですね。
