見出し画像

ミステリ小説熱が再燃!~ゴリゴリの密閉空間ミステリ「方舟」と初の介護ミステリ「C線上のアリア」をのろのろ読んだ話~

最近、ミステリ読書熱が再燃しまして
仕事の合間にのろのろ読んでます

速読おろか、斜め読みも出来ない
とにもかくにも読むスピードが遅い俺
しかも、しっかり読み込まないと嫌なタイプで
前のページに戻ったりを延々と繰り返す

友人からは、単語拾うだけで
意味わかるだろ、慣れだよ慣れ
とか言われるんだけど
出来ないものは出来ないのだ

そういう人たちは図書館で何冊も借りて
ばらばらーっと読破してゆくんだと思う
尊敬しかない

俺はというと
ハードカバーの本を新品で買って
いっかい匂いを嗅ぐ
いや匂いというか、深呼吸する感じ
あの重量の特別感が好きだ

本が机の上にポンと置かれているだけで
自分が知的な存在になれた気分になる
ハードカバーはのちのち
始末に困るんだけど
文庫本じゃない洗練されたものを感じるのだ

次に、帯を見る

帯はこれからはじまる本の世界を
ダイジェストで教えてくれる

ずっと前に読んだ本だけど
帯に書かれていた言葉が忘れられない

アイツ、ドーナツに囲まれて死んだんだって

え"?
ってなった

すっごく惹かれる
どんな図なのか
前後のストーリーも含めて想像してみる

いや、想像が勝手に始まる
これをかき立てられる、というのか

たとえば

浮き輪みたいな巨大なドーナツを
フラフープみたいにして遊んでいたら
夢中になりすぎて数を増やすうちに
積み重なったタイヤの中にいる状態になって
身動きが取れないまま
誰にも見つからず死んでいった、、、とか?
いやいや、それなら叫べばいいじゃないか

じゃあ

ある日、ドーナツには
角をつけないと罪になる
という法律が制定されて
それ以来、殺人の鈍器はドーナツになった
、、、とか?

もちろん、この
アイツ、ドーナツに囲まれて死んだんだって、は
本文中に出てくるので
いいセンスしてるのは作者なんだろうけれど
これを帯に入れよう!と
抜粋した仕掛け人も、すごいなぁって思った

さぁ、そろそろ読み始めるとしよう

俺はカラーの表紙と帯ははずす
ズレたり、意図せずペロンとはずれるストレスは
前もって取り除くためだ

そして、しっかり作られた厚紙の表紙をめくり
のろのろと読みだした

方舟

近々で読んだのは
夕気春央って人の『方舟』という小説

これはガチガチのクローズサークル
いわゆる閉鎖空間サスペンスで
登場人物の中に探偵役がいて
伏線の回収から犯人探しまで
読者をしっかり誘導してくれる
というものだ

口コミで話題になってる
最後のどんでん返しも、なかなかびっくり
こりゃ近いうちに映画化するだろうな
と勝手に予測がついた

この物語は

大学時代の友人たちが集まって
長野の別荘に遊びに行き
山の中に地下建造物があるというので
みんなで探検することになる
がしかし、突如、地震が起きて
その地下建造物の中に閉じ込められてしまう

と言う始まりだ
スマホも圏外、助けも呼べない
密閉された世界
人は死の極限に至った時
どんな行動にとるのか
読みながら、読者は自分と重ねてゆく

共感したり、自分ならそうはならないな
と思ったり色々と想惑が頭の中に漂う

冒頭から違和感しかない
そもそもこんなことしねーだろ
(そんな怪しげな地下建造物に入るか?)
と、思ってしまいそうだが

ここで躓くと、この手のミステリ小説は
中途半端なファンタジー
もしくは説明の長い心理クイズになってしまい
つまらなくなってしまう
これはフィクションだ、小説なんだと
割り切る覚悟が必要なんじゃないだろうか

もともとミステリ小説自体
人が死ぬという前提で書かれているのだから
リアリティがあるはずがない
地下建造物に無断で入ることくらい
何のことはないな、くらいの
気持ちになった方が物語を楽しめると思う

この方舟の作者もまた、話が進むにつれ
むちゃくちゃな事象を引き起こすわりに
物語の中に読者の想惑を
封じ込めておくのがとても上手い

クイン的問題とか偽の手がかりとか
詳しい人は、ミステリ小説の矛盾点において
専門的な呼び方で指摘できるのかもしれないが
俺にはその辺はさっぱり分からない

だけど

読者はある程度
探偵役に誘導されるままにならないと
物語は面白くなくなってしまう気がする

なので、山ちゃんは今回もまた
探偵役に言われるがまま
想惑を委ねたので、十分楽しむことができた

C線上のアリア

そして、もう一冊は
湊かなえの最新作、C線上のアリア

またもや新刊を鼻につけ、深呼吸する
いっぱい息を吸った
すると、なぜかうんこがしたくなったので
トイレに行くことにした

このうんこしたくなる問題
経験ある人、いないだろうか
本じゃなく新聞紙の匂いなら
うんこをもよおす確率はさらに上がる
この現象、何かの生理作用があるのだろうか

個人的な意見だが、便秘で悩んでる人は
新聞紙に囲まれて死んでゆけばいいと思う

アイツ、新聞紙に囲まれて死んだんだってよ
と、注目されるかもしれない

さて話を戻そう

この本の帯にはなんて書かれているだろうか
どれどれ
、、、初の介護ミステリ、と書かれていた

介護ミステリって(笑)

ちょっと変だな、って思ったけど
イメージはつきやすかった

実際にあった事件で
介護疲れからのパートナー殺しや
ヤングケアラー問題とか
心の闇を扱うには
この分野は話題に事欠かない

ひょっとして、これから増えるんじゃない?
介護ミステリ

そして今回疑問だったのはタイトルだ
G線上のアリアじゃない
そっちは、バッハの名曲
Cって、ドミソのド
バイオリンにはCコードがないらしいから
ビオラ?
んー、いまいちタイトルだけでは膨らまないな

さてさて本文はどうだったか

結果、一気にのろのろ読破しました
本を開いて最後までノンストップ

今回の湊かなえは、すんごく面白かった

介護は長男の嫁がするものだ

息子に母親の下の世話はできない

ちゃんと掃除した?家が、臭いよ

日本の土着思想に苦しむ女たちと
目前の問題を受け入れられない
不甲斐ない男たちの物語だった

さすが湊かなえちゃん
読者が腹立たしい気持ちになる
登場人物を書かせたら日本一だ

なぜ姑は、他人の娘には優しくできるのに
息子の嫁には意地が悪くなるのか

まるで、人対人であうと好き同士なのに
国と国になると途端に罵倒しあう
韓国と日本のよう

嫁という役割
姑という役割

他人でなくなるとお互い
そんな役割を演じてしまうからなのだろうか
恐ろしい世代の連鎖だ

物語は、認知症が進んだ叔母のゴミ屋敷を
主人公が片付けてゆくことから始まる

同じ家の掃除ひとつにしても
姑に小言や嫌味を言われながらするのと
自主的にするのでは天と地の差だった

そして数日後
物置の部屋から叔母の日記が現れる
主人公はそれを恐る恐る読み進めると

叔母だけではなく
主人公の過去の扉も開きだしてしまう
思い出してしまった以上
戻ることはできない
姑の介護を放ってきた私には
もう帰るところなど、ないのだから

山ちゃんは介護事業に
携わっていた経験がある分
この手の内容は、身近だったので
イメージしやすかった

特にクズ長男の昭和な考え方には
腹立たしすぎて、痺れてしまった

殺されてしまえクズ息子、と思ってたら
死ぬまでには至らなかったが
嫁に逃げられ、ざまねーやと
またまた痺れてしまった

この本にも、ヒューマンどんでん返しがあるが
一般的にはこのどんでん返しについて
こんなのあり得ない!と思うかもしれない

が、山ちゃんは実際に勤めた病院で
このどんでん返しと同じことを
目の当たりにしたことがあるので
納得のラストを迎えることができた

介護にお疲れの人たちは
共感とストレス解消になりそうな一冊

介護は、相手が生身の人間なので
生きている限り
繰り返さなければならない
介護する側は勇気をふるわせ
その繰り返しを断ち切る
そんな選択肢があるんだな
と、その思い切りに敬意を評した

ただ、タイトルがなぜC線上のアリアなのか
まったく分からなかった

現実は、小説よりも奇なり
小説は、現実よりも奇なり
どっちも現実、そっちも仮想

じゃーねー

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集