📖【短編小説】「ペトリコール」
(あらすじ)
佐藤澪は、雨が降る前に地面から立ち上る独特の匂い——ペトリコール——を嗅ぐと、恋の終わりを予感する。失恋を何度も繰り返してきた彼女にとって、その甘く湿った土の匂いは、別れの前兆だった。十七歳の夏から二十五歳の今まで、澪は何度か恋に落ちては、ペトリコールの匂いがした瞬間に別れを予感し、先に距離を置いたり、相手から別れを告げられたりしてきた。
現在付き合っている拓也との関係も、半年が経ったある夜、再びその匂いが漂ってきたことで、静かに終わりを予感する。雨はまだ降っていない。しかし澪は知っている。この匂いがするたび、恋は必ず終わることを。そして自分は、また一人になることを。

短編小説「ペトリコール」
雨が降る前、私はいつも気づく。土とコンクリートが湿った匂い。乾いた地面がゆっくりと目覚めるような、甘くて重い匂い。ペトリコール——雨の前の、地面のにおい。私はそれを嗅いだ瞬間、恋が終わることを知る。初めて気づいたのは、十七歳の夏だった。彼はバスケ部のエースで、笑うと奥歯が見えた。私は彼の自転車の後ろに乗せてもらいながら、毎日「好きだよ」と言っていた。でも、ある夜、帰り道の途中でふと鼻を抜けた匂いに、私は息を止めた。アスファルトが湿り気を帯び始め、土の匂いが立ち上る。その瞬間、私は確信した。あぁ、この人はもう私を好きじゃない。三日後、彼は「ごめん、ちょっと疲れた」と言って別れを告げた。私は泣かなかった。ただ、ペトリコールの匂いがまだ鼻の奥に残っている気がした。
それから何度も、同じことが起きた。二十歳のとき、優しい大学生と付き合った。彼は私の手を握るとき、いつも少し汗ばんでいた。ある雨の前日、デートの帰り道でまたその匂いがした。地面が息を吸い込むような、湿った土の匂い。私はその夜、彼に「もういいよ」と言った。彼は驚いていたけれど、私はただ、雨が降る前に別れたかっただけだった。
二十三歳の冬、会社で知り合った少し年上の男と付き合った。彼は私のことを「かわいいね」とよく言った。でも、ある朝、通勤途中の歩道橋で、冷たい風と共にペトリコールが漂ってきた。私はその日の夜、彼にLINEで別れを告げた。返事は来なかった。私は失恋の予感を、雨の匂いで嗅ぎ分けることができる。それは特別な能力でもなんでもない。ただ、繰り返し味わってきた感覚が、体に染みついてしまっただけだ。
今、私は二十五歳。
名前は、佐藤 澪。付き合って半年になる彼、拓也と一緒に暮らしている。
彼は私の作る味噌汁が好きだと言い、毎朝、私の額に軽くキスをする。私はそのたびに、胸の奥が少しざわつく。昨日も、またその匂いがした。夜中に目が覚めて、ベランダに出たときだった。まだ雨は降っていなかった。でも、コンクリートの床とプランターの土が、湿った甘い匂いを放っていた。
私は深く息を吸い込んだ。
ペトリコール。間違いない。拓也はベッドの中で寝息を立てている。穏やかな寝顔。私はその横顔を、じっと見つめた。明日か、明後日か。彼はきっと、何か小さなきっかけで「少し距離を置きたい」と言うだろう。それとも、私が先に「もういいよ」と言うかもしれない。私はベランダの手すりに寄りかかり、もう一度、地面の匂いを嗅いだ。甘くて、土臭くて、少しだけ切ない匂い。失恋は、いつも雨の前兆と共にやってくる。私はそれを止めることができない。ただ、匂いに気づいた瞬間から、ゆっくりと心の準備を始めるだけだ。拓也が寝返りを打った。私は部屋に戻り、そっと布団に入った。彼の背中に額を押しつける。まだ温かい。私は目を閉じた。雨は、まだ降っていない。でも、きっともうすぐ降る。そして私は、また一人になる。ペトリコールの匂いが、静かに部屋の中に広がっていく気がした。
「Scent」
作詞.🐟
固く閉ざした箱
想い出の中を泳ぐ
昔の日記帳
見返して
哀愁に浸る
It's like you're still in my heart
Did you talk to me next to my bed last night?
優しく撫でられた気がした
そんなはずはないのに、、
I feel you
Even if you're not by my side..
Close your eyes
Feeling the invisible
今はそばにいない
遠いところに行ってしまった
けれどそばに感じる
You are by my side..
空気に触れるとね
あなたのこと、わかる気がする
大切にしてるfeeling
信じさせてsense of touch
Isn't that the case for you too?
大切なものはすぐに隠したい
奪われてしまうかもしれないから
心の中に閉まって鍵をかけた
どんなに心変わりしても
想い出はpearl
それを守って生きていける
I feel you
Even if you're not by my side..
Close your eyes
Feeling the invisible
今はそばにいない
遠いところに行ってしまった
けれどそばに感じる
You are by my side..
Call my name
Because I call your name...
