ショートショート 「自動」 #風まかせ文芸部 #自動
iさんの企画『風まかせ文芸部』のお題「自動」に参加させて頂きます。
『自動』
「ついに完成だ!」博士は鼻息荒く自慢げだ。
『いよ、さすが博士、天才!』博士の右肩に乗っている【自動褒め機 褒め太郎】が空かさず褒める。
「単身世帯の増加、地域社会のつながりの希薄化、経済的困窮、メンタルヘルスの不調、セルフネグレクト(自己放任)など、複合的な要因により急増する孤独死を解決するマシーン——【自動ツッコミ機 なんでやねん太郎】だ」
『感銘を受けました。さすがです』
「よし、早速動かすぞ…」
博士がなんでやねん太郎の背中のスイッチを押す。
ポッチ!ブーン、低い唸るような起動音。
なんでやねん太郎はパチリと目を開けると同時に『なんでスイッチ入れんねん!』早速ツッコミを入れてくる。
『いよ、ナイスツッコミ!』空かさず褒める褒め太郎。
『なんでやねん、ツッコミにツッコむな、ボケ』
ここで褒め太郎の自動安全装置「褒め停止機能」が発動。沈黙モードに入る。
…。
『なんで黙るんや、ボケろや!』
『いよ、ナイスボケツッコミ!』空かさず褒め太郎は再起動し褒める。
『なんやねん、ボケツッコミちゃうわ』
繰り返される不毛なやり取りを黙って見つめる博士…。
「次は自動仲介機だな…」ボソッと呟く。
『その発想素晴らしいですね、博士』空かさず褒める褒め太郎。
『なんでやねん、その前に俺を調整せぇよ!』的確にツッコむツッコミ太郎。
自動は自動的に自動でまさに自動そのものだった。
のちに【自動仲介機 ま、まぁまぁ太郎】が開発され、さらなる混沌という自動が自動的に生まれることをまだ誰も知らない…。
完?
(本文628字)
あとがき
『自動は自動的に自動でまさに自動そのものだった』はことば遊びなので深く考えないで下さい😊自動は極めて自動だったというニュアンスです。究極の自動とは、自動が自動的に自動で生まれる世界が自動…という自動。はい、もう良く分かりませんね。
