「世界は摩擦で動いている」 #なんのはなしですか
ロックバンド “聖来摩擦(セイキマサツ)” は、摩擦の大切さを世に訴えるという、誰も頼んでいない使命感だけでデビューした。
代表曲 「世界は摩擦で回ってる」は、歌詞の大半が“こする”“すれる”“ギュッ”で構成されているにもかかわらず、なぜか異例の大ヒット。
ライブでは観客が全員、サンドペーパーを掲げて左右に振るという煽りは生まれ、会場は常にモッシュで擦れ合い摩擦熱で沸いた。
メンバーは摩擦を愛しすぎて、バンドの打ち合わせは全力でこすり合い火花を散らした。熱すぎる議論は時に炎上し、もはやロックバンドは火成岩。メンバー同士は岩のように硬くなった。
当然、そんな状態が長く続くわけもなく、デビュー三カ月で限界を迎え、解散。
最後のライブで、シンガー “火傷DE真赤っか” はマイクをギュッと握りしめ、震わせながらこう言い残した。
「摩擦LOVEでも……潤滑も大切です……」
その瞬間、観客全員が涙で目をこすった。それは静かな摩擦だった…。
…。
なんのはなしですか。
完
(本文421)
「世界は摩擦で回ってる」
作詞作曲:火傷DE真赤っか
世界は摩擦で回ってる(ギュッ)
ギュッと踏みしめて今日が始まる(ギュッギュッ)
すべる未来なんていらないさ(ギュッ)
火花散らして生きていくんだ(ギュッギュッ)
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
靴底が語る昨日のストーリー(こすれる)
こすれた分だけ強くなれる(こすれるこすれる)
涙だって頬で摩擦すれば(こすれる)
ちょっとだけ熱くなる(ギュッギュッ)
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
止まりそうな夜を押し返すように(すれあうすれあう)
手のひら合わせてクラップクラッップ(クラップクラップ)
すれ合うたびに生まれるリズム(すれあうすれあう)
それが俺たちのビート(ギュッギュッ)
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
世界は摩擦で回ってる(ギュッ)
君の一歩が地球を押してる(ギュッギュッ)
つるつるの夢じゃ進めない(ギュッ)
ザラつく明日を抱きしめたい(ギュッギュッ)
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
こする、すれる、ギュッとする
あとがき
なんのはなしですか的な話が浮かんだので、すくい取ってみた。
意味は……ない。
