ショートストーリー 「カウントダウン」 #3つのお題に空想のひらめきを
片桐みかんさんの企画『3つのお題に空想のひらめきを』第24回に参加させて頂きます。お題はコチラ。
お題①:「たそがれ列車」
お題②:「ひび割れた月」
お題③:「ガラスの舟」
『カウントダウン』
ボクはカウントダウンをする。
あと21900日…。
ひび割れた月のように、ただ静かに、少しずつ削れていく日々。
その時間の流れに置いていかれそうな不安や溜まった思いを、
ボクはガラスの舟に乗せて海に流すため、ここに来た。
潮の香りが風に乗って、頬を撫でる。
海はボクの軽薄な現実感をそっと満たしてくれる。
「自分は今ここにいる」
…そう実感できる。
帰りの駅のホームに立つ。
遠くから、たそがれ列車のヘッドライトが、 夕陽の残光と重なって、ゆらゆらと揺れていた。
列車に乗り込むと、窓の外に広がる海が、 夕陽に染まりながら、静かに波を打っていた。
オレンジと群青の境界線をなぞるように、 列車は海岸沿いを走る。
向かう先は分かっている。
けれど、
ボクの行き先は?
誰も答えてはくれない。
車窓に映る自分の顔が、
夜の帳に溶けていく。
また暗い夜がやってくる。
そして今日も終わる…。
あと21899日…。
ボクはまた、カウントダウンをする。
完
(本文424字)
#3つのお題に空想のひらめきを 【第24回】
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