「水疱性角膜症」の治療でiPS細胞を移植!慶應大学と藤田医科大学が臨床研究。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事の本題は「水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)」ですが、まずは症状などを説明したいと思います。
かすみは段々と悪化し、改善することはない
全体的にかすんで見えづらくなる
目がとても痛くなって、角膜の表面にキズができる角膜上皮障害...
角膜は、「黒目」に該当し、眼球の最も前面にある丸い形をした透明な膜です。直径は11~12mm、厚さは中央部でおよそ0.5mmで、眼球内への光の入り口であって、入った光を屈折させるという大きな役目を担当しています。
角膜という組織は水を78%含んだ組織ですが、角膜の1番内側にある「角膜内皮細胞」の機能で、0.5mmという一定の厚みが維持されています。
「水疱性角膜症」は、角膜内皮細胞が何かしらの障害を受けて、角膜に沢山の水が蓄積する病気です。その時に、角膜の厚さが顕著に増した状態と陥ります。この状態を「浮腫(ふしゅ)」と言われ、角膜浮腫では、角膜の厚さが1mmにもなる時があります。
この状態では、角膜がスリガラス状に濁り、とても眼が見えづらくなります。
また、浮腫のために、角膜の表面を覆う角膜上皮がはがれやすくなることで、眼に激痛を伴う時もあります。
参考:水疱性角膜症 | 患者さんへ | 東邦大学医療センター佐倉病院 眼科
白内障手術などの合併症として発症するケースが多く報告され、そのまま放置してしまうと失明に至る危険もあります。
日本の患者さんはおよそ1万人と推定されますが、移植しか治療法がない反面、ドナーは不足していて、希望しても1年以上待機する状態が続いています。
最近、「水疱性角膜症」の治療で、iPS細胞を使おうとする臨床研究が行われつつあることを知りました。
角膜の細胞が減って視力が落ちる「水疱性角膜症」の患者さんの眼にiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の細胞を移植する臨床研究で、患者さんの矯正視力が0.5に回復したと、藤田医科大学や慶應大学などの研究グループが明らかにしました。
2025年1月13日、この研究成果は、医学誌[セル・リポーツ・メディシン]に発表されました。
今回は、藤田医科大学などが臨床研究を行っている、「水疱性角膜症」のiPS細胞移植のことについて発信します。
「水疱性角膜症」の患者さんに、iPS細胞を移植。術後の経過は?

画像引用・参考:【慶應義塾】世界初となる水疱性角膜症に対するヒトiPS細胞由来角膜内皮代替細胞移植の第1例目を実施 PR TIMES(2025年)
2022年10月、榛村重人・藤田医科大学教授などの研究グループは、健康な人のiPS細胞から作製した角膜の細胞およそ80万個を、70歳代の男性の左目に特殊な注射器で移植しました。
男性は手術する前に眼鏡を着けても視力が0.02で「矯正不能」と視力検査で判定されていましたが、術後1年までに眼鏡で0.07、コンタクトレンズで0.5まで視力が回復しました。角膜の水ぶくれや視界の濁りも改善しました。
iPS細胞を移植した後に合併症や副作用は確認されてませんが、移植に用いた角膜の細胞で、がんを抑制している遺伝子の配列に変異が発見されました。研究グループは遺伝子の配列をiPS細胞を移植する前に4回検査し、最初の3回は正常でした。
4回目の検査はiPS細胞を移植する直前に実施し、移植後に変異が見つかりました。変異があったのは遺伝子の機能に影響がない部位で、研究グループは健康に影響する可能性は低いだろうと想定しています。
参考:iPS細胞で「水疱性角膜症」治療、矯正視力0・5に回復…藤田医大や慶大チーム 読売新聞(2025年)
現在、角膜移植を待機している患者さんの数は、全国で2000人近いと推定されています。この度の臨床研究が実用化すれば、献体を必要とする角膜移植に代替えできる可能性があって、東京都にある慶応大学発の新興企業「セルージョン」が臨床試験(治験)の準備を進めています。
榛村教授は、
「iPS細胞を移植したことでの『水疱性角膜症』の腫瘍化などは認められず、角膜の濁りも想定以上に透明になりました」と総括しました。
iPS細胞を移植した男性の経過観察を続け、安全性と有効性を検討していきます。
私も関係ない病気とは思えなかった
私は基礎疾患があるのでいつも目の疾患には気を付けないといけないですし、両親もそれぞれ別の疾患ですが、目の病気を抱えています。
母は将来、目の手術をしないといけないだろうとも言われています。
既往歴とは言いますが、家族歴というものもあって、よく健康診断とか問診票で、「家族に、⚪︎という病気を持つ人はいますか?」と聞かれる項目もあると思います。
目の病気も遺伝するらしいので、私は両親二人からそれぞれ別の病気を遺伝する可能性もあって、とてもこの「水疱性角膜症」が他人事ではないなと感じています。
「水疱性角膜症」を少し検索すると、白内障だけではなく、緑内障の手術の合併症でもなって、長年コンタクトレンズを着けている人もなりやすいそうです。
コンタクトは、視力が悪い人もそうですし、最近はカラコンというオシャレを楽しむファッションアイテムとしても、広く知られています。
ただ、長年コンタクトを使うことでも、「水疱性角膜症」を発症してしまうという点では、コンタクトも眼にとっては異物なんだと考えさせられました。
角膜移植の待機者が今でも2000人近くいる中で、上記に書いたコンタクトなど、潜在的な患者数はまだまだ多いと思います。
今後も増えるかもしれない、「水疱性角膜症」という病気が、iPS細胞の活用で、角膜移植も待たずとも、治せる病気になるかもしれませんね。
