病院で働きながら、ときどき考えること
病院で働いていると、ときどき立ち止まってしまうことがあります。
私たちの仕事は、人の健康を支えることです。
痛みや苦しさが少しでも和らげばいい。
困りごとが大きくなる前に支えられたらいい。
元気になって、もう来なくてよくなったらいい。
そう願いながら働いています。
けれど同時に、病院は組織でもあります。
患者さんが来なければ、経営は成り立たない。
人を雇い、設備を整え、地域の医療を続けていくためには、お金のことを考えないわけにはいきません。
ここに、病院という場所の難しさがあるように思います。
人を健康にしたい。
でも、病院は病気や不調を抱えた人が来ることで成り立っている。
この矛盾を、私はときどき考えます。
病院という場所には、
こうしたジレンマがいくつもあります。
必要な医療を届けることと、過剰になりすぎないこと。
患者さんの希望を尊重することと、医療者としての判断を伝えること。
本人の意思と家族の思いが違うとき、どう考えるか。
安全を守ることと、その人らしさを大切にすること。
丁寧に関わりたい気持ちと、限られた時間や人手。
患者さんを支えることと、働く人を守ること。
どれも大切で、だからこそ簡単には答えが出ません。
ひとつひとつを丁寧に考えようとすると、
それだけで何本もの文章が書けてしまいそうです。
それくらい、病院という場所には
さまざまなジレンマが重なっています。
以前の私は、こうした矛盾を見るたびに、
「どうするのが正しいのだろう」と考えていました。
けれど最近は、正しさだけでは測れないことも
あるのだと思うようになりました。
患者さんの健康を守ることが一番大切。
でも働く人を守ることも大切。
地域の医療を続けることも大切。
そのあいだで、日々たくさんの人が
考え、迷い、折り合いを探している。
だから私は、病院という場所を簡単に
批判も肯定もできません。
正解のない問いに向き合うことは、ときどき苦しい。
それでも、こうした矛盾をなかったことにはしたくない。
病院という場所は、人の命や健康を支える場所です。
そして同時に、多くの人が迷いながら働いている場所でもある。
病院で働きながら、私はときどきそんなことを考えています。
