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品種の権利

先月、果樹栽培する立場として注目すべきニュースがありました。

2026年6月15日に愛媛県知事が定例記者会見で、県が開発した柑橘"紅プリンセス"の苗木が中国に流出した恐れがあるとして調査をする方針であるとのこと。(参照記事は読売新聞オンラインより)

中国の通販サイトで"紅プリンセス"と書かれた苗木が売買されており、さらにSNSで紹介動画も多数投稿されているそうです。

紅プリンセスは"紅まどんな"と"甘平"というどちらも食味が大変良く高級な品種を親にもっていて、愛媛県が17年かけて開発しました。種苗法により県外での栽培は制限されています。

こういった果樹苗木の流出事例はけっこうあって、"紅まどんな"も中国に流出して商標登録や品種登録の対応をした過去があります。ぶどうの"シャインマスカット"やいちごの"レッドパール"が韓国に流出していた事例もあります。
2019年には青森県のりんご研究所で開発された"千雪(ちゆき)"が中国に流出していたことが判明しています。

"千雪"
(参照:りんご大学HPより)


日本で栽培されている品種は種苗法という法律をもとに開発や登録が行われています。種苗法第19条には、

育成者権は、品種登録により発生する。
2 育成者権の存続期間は、品種登録の日から二十五年(第四条第二項に規定する品種にあっては、三十年)とする。

とあります。
新しい品種は農林水産省に出願し認められることで、品種育成者の知的財産権を守ります。

りんごの品種だと"トキ"は青森県内の種苗会社が権利をもっていますし、"シナノドルチェ"は長野県が権利をもっています。

令和2年に一部改正され、出願時に海外への持出しを制限する利用条件を届け出たり、勝手に無断増殖できないように定めることで海外流出をくい止めようとしています。
しかし今回のように流出を止め切れていないのが現状です。


以前りんごの品種開発について講義を受けたことがあるのですが、種子親と花粉親を用意して実をならせ、その実の種からまた樹を育てて、またなった実から種を取って…の繰り返しだそう。非常に手間がかかります。
新しい品種をつくるのに20年はかかるということで根気強い仕事なんだなぁと感心しました。

また知り合いにはぶどうの育種を個人でされている方がいます。育種するのは楽しいけれどそのために時間を割き、資材などにお金もかかるので、周囲から反対された過去もあるとお話してくださいました。その中で苦労しながらも素晴らしい品種を世に送り出している方なんです。


新品種というのは味が良いのはもちろん、病気に強かったり大きく育ちやすかったり、私たち農家にとっての希望です。
その品種を開発している方々にはとても感謝と尊敬の気持ちがありますし、長い時間かけて生みだした品種が海外で勝手に増えていってしまうのは悲しいことです。

今回のニュースを受けて改めて、品種開発への関心がより社会で広まってくれればと思います。

今年植えた"明秋(めいしゅう)"の苗木
同じ板柳町の櫻庭さんが開発されました。
私にとって期待の品種。