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ショートショート:黒羽の霊鳥を刮目して見よ

その国には、日本語名で黒燕と呼ばれる霊鳥が存在する。
漆黒の翼で夜のみに飛び回るため、その姿を見たものはいない。
しかし、空を飛んだ後は、真っ黒な羽毛が落ちているため、実在は昔から信じられていた。
また、森で遭難した人が、真上から強烈な風が吹きつけてきたかと思うと、真っ黒な羽毛が落ちてきたという体験を語っており、これも黒燕のものであると考えられている。

黒燕が霊鳥と呼ばれるのは、実際に良いことが起きているからである。
真っ黒な羽毛は多くの水分と植物の種を含んでおり、乾いた大地に落ちるとそこから草木が生えてくる。
その草木は多くの果実を実らせ、それが多く生き物の食糧になる。
こうやって、黒燕は過去に何度も飢饉を救ってきた。
黒燕の森と呼ばれる、大規模な森林地帯もあるほどだ。

近代になり、黒燕を直接観測、あわよくば捕獲する計画が発足した。
今までに集まった目撃情報から、とある山の中腹に黒燕の巣があると思われる。
集まった研究者達は、夜間でも観測できる装置を多数設置し、黒燕の出現を待った。
なかなか出現しなかったが、観測を初めて2ヶ月、ついに山の周辺に黒い羽毛が見つかった。
研究者達は、興奮を抑えきれない様子で、撮影された動画をチェックする。

最初に見られたのは、台風が来たように軋む、森の木々だった。
次に見られたのは、空を覆うように現れた、巨大な鳥であった。
その大きさは、ちょっとした旅客機並みに思われる。
姿はカラスのように似ているが、体長の半分を占める尾羽が独特であった。
どうやら、黒い羽毛は、この尾羽から落ちてきているようである。
黒燕は、山の中腹でしばらく休憩したかと思うと、またどこかに飛んで行った。

動画を見終わった科学者達は、感動のあまり声が出なくなっていた。
そして、”あわよくば捕獲”などと考えていた自分たちを恥じた。
全員、黒燕の圧倒的な存在感に畏敬の念を持っていたのだ。
「あのような巨大な鳥がどうやって空を?」や「食糧はどうしてるんだろうか?」など、科学者らしい疑問が次から次へと浮かんできた。
しかし、誰しもが、かの霊鳥は科学が触れてはいけない存在だと考えていた。

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