ウイスキーの町「余市(よいち)」 - アイヌ語に残る地名の記憶
北海道・余市(よいち)。
この地名は
アイヌ語が由来とされています。
ひとつは
イオチ(i-ochi)
—— 蛇の多い場所
もうひとつは
ユオチ(yu-ochi)
—— 温泉のあるところ
かつてこの土地にあった
自然の姿が
そのまま名前になったといわれています。
余市川は昔、
大きく蛇行する川でした。
そのため
「蛇が多い場所」というより
蛇のように曲がった川
を指していた可能性も
研究者のあいだで語られています。
けれど、ここで
とても興味深い話があります。
アイヌ語地名を研究した
明治時代の研究者
永田方正はこう記しています。
かつて本当に「蛇が多かった場所」だとしても
当時の余市のアイヌは
その意味をあまり語らなかったと。
理由は
アイヌの文化にあります。
アイヌには
言葉に対する
とても深い感覚がありました。
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名前を呼ぶと、その存在を呼び寄せる。
不吉なものは、言葉にしない。
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これは
北海道の神様
カムイの世界観とも
つながっています。
言葉には力があり
名前には意味がある。
だからこそ
慎重に扱う。
それは日本の
言霊(ことだま)の考え方と同じですね。
余市の地名の中にも
そんな
古い言葉の感覚が
残っているのかもしれません。

さて、
現在の余市はというと。
NHK連続テレビ小説
『マッサン』の舞台として
有名な町です。
駅から歩いて5分ほどの場所には
ニッカウヰスキーの蒸溜所があります。
マッサンとリタが
歩いた道が
いまも静かに残っています。
そして余市は
宇宙飛行士
毛利衛さんの故郷でもあります。
さらに
冬季オリンピックの
スキージャンプ金メダリストを生んだ町でもあります。
海と山に囲まれた
小さな町ですが
実に多くの物語があります。
かつて余市は
ニシン漁で栄えた町でした。
海が銀色に染まるほどの
大群が押し寄せたと
言われています。
けれど
昭和29年を最後に
その回遊は途絶えました。
いまでは
「幻の魚」とも
言われています。
現在の海は
えび、いか、かれい。
そして川には
鮎の生息地の北限といわれる
余市川があります。
自然の姿は
少しずつ変わっても
この土地の名前には
まだ昔の景色が
残っています。
蛇の川。
温泉の土地。
海の恵み。
余市は
海の町であり
天然温泉の町であり
ウイスキーの聖地であり
宇宙につながる町でもあります。
小さな町の中に
驚くほど多くの物語があります。
北海道には
まだまだ
名前の中に眠っている物語
がたくさんあります。
こうした
地名の記憶も
大切に伝えていきたいと思っています。
また少しずつ
紹介していきますね🌿
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