あの頃、嫌いだった赤色へ|エッセイ
あなたには、子どもの頃に
夢中になったものがあるだろうか。
私の場合、それは赤色だった。
日曜日の朝。
まだ眠い目をこすりながら、
テレビに釘付けになっていた。
迷わずレッドに夢中になった、あの頃の私。
でも、あの赤を見るたびに、
胸がぎゅっと痛む日が来るとは思わなかった。
当時、地元のお祭りで買ってもらったお面や、
祖母の赤いブランケットをマント代わりにして、何度も何度もレッドの真似をしていた。
ただ、明るくてかっこいい存在に
憧れていただけだった。
そんなある日、姉と喧嘩した。
「赤色が大好きなんだ!」
そう言った瞬間、
姉は少しからかうように言った。
「赤色は女の子の色だよ?」
胸の奥がキュッと縮み、涙があふれた。
泣きながら「そんなことないもん!」と反抗したけれど、姉は面白がるようにさらにからかってきた。
結局、「もう赤なんて嫌いだ!」と吐き捨て、
赤色を拒むことを心に決めた。
母がレッドのグッズを買ってくれても突き返し、服も黒や青ばかりを着るようになった。
中学生になるまで、その気持ちは変わらなかった。
今思えば呆れるけれど、当時の私は本気だった。
それでも時間をかけ、
学校での学びや友人との日々を通して、
人の価値観や考え方の違いを知り、
赤色への好きな気持ちを取り戻していった。
今では、真っ赤なシャツを着るほど大好きだ。
着るたび、あの頃の私の手を取るような気持ちになる。
そっと握る手が、あの頃の私に勇気を与える。
そんな気がするからだ。
姉にこの話をすると、
今でも「そんなこと言ったっけ?」と
とぼける始末だ。
でも、笑い話として語れるのも、
自分が好きなものを信じられるようになったからだ。
好きを否定されるのは苦しい。
家族であっても、他人の言葉に流される必要はない。
好きに自信を持っていい。
好きなものがあることは、幸せなのだ。
あなたにも、誰かに否定された好きなものがあるだろうか。
それでも、自分の心に手を伸ばせば、信じる好きに寄り添える。
そうすれば、自分を裏切らずに生きられる。
赤色に背を向けていたあの日々も、
泣きながら握りしめた小さな手も、
すべては今の私を作った、温かい記憶だ。
だから、
あの頃、嫌いだった赤色へ。
私はもう一度、手を伸ばす。
