「なぜこの人に頼みたい?」を引き出す!イラストレーターのためのポジショニング実践ガイド
なぜ今、「自分の立ち位置」が大切なの?
最近、「AIがすごいイラストを描く」というニュースをよく見かけませんか?
ボタンをポチっと押すだけで、プロが描いたようなキレイな絵が、あっという間に完成してしまう。すごい技術ですよね。
でも、イラストレーターさんの中には、
「私たちの仕事、なくなっちゃうのかな…」
と不安に感じている人もいるかもしれません。
でも、大丈夫。
結論から言うと、イラストレーターの仕事はなくなりません。
ただし、これからの時代は、「ただ絵が上手いだけ」では、お仕事をもらうのが少し難しくなるかもしれない、というのも事実です。
たくさんのイラストやAIが描いた絵の中に、自分の作品が埋もれてしまう可能性があるからです。
そこで重要になるのが、今回お話しする「ポジショニング戦略」です。
なんだか難しそうな言葉ですが、カンタンに言うと
「たくさんのイラストレーターの中から、自分を見つけてもらうための『立ち位置』を決めること」です。
スーパーマーケットをイメージしてみてください。
「うちは高級な食材だけを置いています!」という高級スーパーもあれば、「安さが自慢です!」という激安スーパー、「体にいい野菜ならおまかせ!」というオーガニックスーパーもありますよね。

それぞれに「立ち位置」がハッキリしているから、お客さんは
「今日はごちそうだからの高級スーパーに行こう」
「節約したいから激安スーパーだ!」
…と、目的に合わせてお店を選びます。
これとまったく同じで、イラストレーターさんも「私はこんな人で、こんな絵が得意です!」という自分だけの「立ち位置」をハッキリさせることで、お客さん(クライアント)から「まさに、あなたのような人を探していました!」と見つけてもらいやすくなるのです。

この記事を読めば、あなただけの「立ち位置」を見つけるための具体的な方法が分かります。
AI時代という大きな波を乗りこなし、未来のお客さんから「あなたに頼みたい!」と言ってもらえる。
そんな未来への第一歩を、一緒に踏み出しましょう!
❶「あなたらしさ」が武器になる!ポジショニング戦略が必要な3つの理由
「立ち位置を決めるのが大切なのは分かったけど、具体的にどんないいことがあるの?」と思いますよね。ここでは、ポジショニング戦略がなぜ必要なのか、3つの大切な理由をお話しします。

理由1:AIやライバルとの「ちがい」が生まれるから
AIは、たしかにキレイで「それっぽい絵」をすぐに作ってくれます。
でも、AIには描けないものがたくさんあります。
それが、人間ならではの「温度」です。
例えば、ラーメンのイラスト。立ち上る湯気のゆらめきや、スープの表面に浮かぶ油のキラキラ、チャーシューの焦げ目の質感…。こうした細かい部分に手描きの線を一本加えるだけで、ぐっと美味しそうに見えたり、温かみが伝わったりしますよね。
人の心を動かすキャラクターの切ない表情や、物語を感じさせる風景、手描きならではの線のゆらぎや温かみ。これらは、あなたの経験や感情から生まれる、世界に一つだけの「味」です。
ポジショニング戦略は、この「あなただけの味」をハッキリさせて、「AIや他の人にはない、こんな魅力がありますよ!」とアピールするための設計図になります。
他にも私が考える「人間にしかできない本質的な価値」を知りたい方は下記の記事が参考になります。
理由2:クライアントに「選ばれる理由」が伝わるから
お仕事をくれるクライアントは、ただ「きれいな絵」が欲しいわけではありません。
「このイラストで、商品の魅力を伝えたい」(目的達成)
「この人に頼めば、ちゃんと締切を守ってくれそう」(安心感)
クライアントは、イラストという道具を使って「目的を達成」したいし、気持ちよくお仕事ができる「安心感」を求めています。

あなたがどんなに素晴らしい絵を描けたとしても、「私はこんなことでお役に立てますよ」「私に頼めば、こんな風に安心ですよ」ということを伝えなければ、クライアントはあなたを選ぶことができません。
自分の「立ち位置」がハッキリしていれば、「〇〇のことで困っているなら、この人に頼むのが一番だ!」と、クライアントがあなたを見つけ、選ぶための道しるべになるのです。
理由3:好きな仕事で、安定して活動を続けられるから
「誰でもいいから、安く描いてくれる人を探しています」というお仕事ばかりだと、心が疲れてしまいますよね。
ポジショニングがうまくいくと、「あなたの描く、あの優しい雰囲気が大好きなんです」「この専門的なテーマは、あなたにしか描けないと思って」というように、「あなただから頼みたい」という指名の依頼が増えてきます。
そうなれば、お仕事の単価(お値段)も自然と上がりやすくなりますし、毎回「はじめまして」から始めるのではなく、長くお付き合いできるクライアントとの関係も築きやすくなります。
これは、イラストレーターというお仕事を、この先もずっと、安定して楽しく続けていくために、とても大切なことなのです。
さらに詳しくは下記の記事をご参照ください。
❷ 自分だけの「立ち位置」を見つけよう!5つの質問
「よし、じゃあ自分の立ち位置を見つけてみよう!」と思っても、何から始めればいいか分かりませんよね。
ここでは、あなただけの「立ち位置」を見つけるための、5つの質問を用意しました。ノートとペンを用意して、自分に問いかけるように考えてみてください。

質問1:「どんなイラストレーターになりたい?」未来の自分を想像しよう
まずは、あなたの「ゴール」を決めるところから始めましょう。目的地が分からないと、どの道を進めばいいか分かりませんからね。
どんな働き方をしたい?
例:「会社員と同じくらい、月〇〇万円は安定して稼ぎたいな」
例:「いつかは、自分のキャラクターグッズを作ってみたい!」
どんなジャンルで有名になりたい?
例:「食べ物のイラストといえば、私!って言われるようになりたい」
例:「子ども向けの、温かい絵本を描くのが夢だな」
これは、ただの夢物語ではありません。「こうなりたい!」という具体的な未来像は、あなたの行動を決める「コンパス(方位磁石)」になります。できるだけ具体的に、ワクワクする未来を想像してみましょう。
質問2:「誰に届けたい?」あなたのイラストを待っている人を探そう
次に考えるのは、「誰に」あなたのイラストを届けたいか、ということです。これを「ターゲット設定」と言います。
「みんなに届けたい!」という気持ちも分かりますが、それだと「誰にも響かない」という結果になりがちです。
例えば、「ラーメン屋さん」に届けたいのか、「IT企業のウェブサイト」で使ってほしいのかで、描くべきイラストも、アピールの仕方もまったく変わってきますよね。
どんな業界の人?(例:飲食店、教育、医療、ファッション、ITなど)
どんなことに困っている人?(例:お店のメニューを美味しそうに見せたい、難しいサービスを分かりやすく伝えたい、など)
その人は、どんな目的でイラストを探している?
ターゲットを具体的に考えれば考えるほど、あなたのメッセージは「私のことだ!」と相手の心に深く刺さるようになります。
質問3:「あなたの『武器』は何?」自分だけの強みを見つけよう
さあ、いよいよ自分自身の「強み」と「個性」を探す時間です。これは、他の誰でもない、「あなただけのスタイル」を確立するための、一番大切なパートです。
得意なこと・好きなことは?
例:細かいメカを描くのが好き、動物のフワフワした毛並みを表現するのが得意、など。
これまでの経験で、役に立ちそうなことは?
例:カフェで働いていたから、コーヒーやスイーツの絵はリアルに描ける。
例:人からよく「面白いね」と言われるから、ユーモアのあるイラストが描けるかも。
あなたの絵の「個性」は?
例:色使いが優しい、線に力強さがある、キャラクターの表情が豊か、など。
どんなに小さなことでも構いません。「これって強みかな?」と思うことも、全部書き出してみましょう。それが、あなただけのキラリと光る「武器」になります。
🔍️【深掘りコーナー】「専門特化型イラストレーター」という道
もしあなたが、何か特定の分野に「大好き!」という強い気持ちがあるなら、「専門特化型イラストレーター」を目指すのも、とても強力な戦略です。
難しく考える必要はありません。例えば、少しニッチ(専門的)だけど、ぐっと身近な例で考えてみましょう。
キャンプ専門イラストレーター:
テントの張り方や焚き火のコツ、キャンプ道具の使い方などを、温かみのあるイラストで解説する。アウトドア雑誌やキャンプ用品メーカーのウェブサイトなどで、引っ張りだこになるかもしれません。
整理収納専門イラストレーター:
散らかったお部屋がスッキリ片付いていく様子や、「なるほど!」と思える収納テクニックを、親しみやすいイラストで紹介する。ハウツー本や暮らしのメディアで、「この人のイラスト、分かりやすい!」と評判になる可能性があります。
ペット専門イラストレーター:
例えば「猫」に特化して、猫の種類ごとの特徴や、一緒に暮らす上での注意点、飼い主さんなら「あるある!」と笑ってしまうような可愛い仕草を描く。ペット用品のパッケージや、動物病院のパンフレットなどで活躍の場が広がります。
こうした専門分野は、ただキレイなだけのイラストよりも、「そうそう、これが知りたかった!」という具体的な悩みに応えることができます。AIには、こうした「体験に基づいた細かいニュアンス」を表現するのは難しいですよね。
「好き」という圧倒的な熱量で、一つの分野に深く「のめり込む(没入する)」こと。それが、誰にも真似できない、あなただけのポジションを作る一番の近道かもしれません。

資格などを必要とする更に専門性に特化したイラストレーターを目指すなら、下記の記事をご参考ください。
質問4:「お役に立てることは?」視点をガラリと変えてみよう
多くのイラストレーターさんは、自分のイラストを「作品」だと考えます。もちろん、それは素晴らしいことです。
でも、ポジショニング戦略では、もう一つ別の視点を持ってみましょう。
それは、イラストを「クライアントの課題を解決する手段(ツール)」と捉える視点です。
クライアントは、あなたの「作品」が欲しいのではなく、あなたのイラストという「ツール」を使って、何かを解決したいのです。
「このイラストがあれば、お客さんがもっと来てくれるかも!」
「この説明図があれば、商品について理解してもらえるはずだ!」
この視点を持つと、あなたができることは「絵を描くこと」だけではなくなります。
「このサービスを伝えるなら、キャラクターが会話するマンガ形式の方が分かりやすいですよ」
「背景をこういう色にすると、もっと商品の魅力が引き立ちますよ」
というように、クライアントの目的を達成するための「提案」ができるようになります。
「絵が上手い」に加えて、「提案力」や「課題解決力」が備わると、クライアントからの信頼度は、ぐんっと上がります。
また、締切を守る、連絡をマメにする、著作権(作った人の権利)の知識があるといった、社会人としての当たり前の対応力も、信頼を勝ち取るための大切な要素です。
質問5:「どう見せる?」あなたらしさを伝える発信のコツ
最後の質問は、「どうやって、あなたらしさを伝えていくか?」です。せっかく見つけたあなたの「立ち位置」も、誰にも知ってもらえなければ意味がありません。
ここで重要になるのが「ブランディング(自分というブランドを作ること)」と「発信」です。
① ポートフォリオは「作品集」ではなく「営業ツール」
ポートフォリオ(自分の作品や実績をまとめたもの)は、ただの作品集ではありません。未来のクライアントに向けた、最強の「営業ツール」です。
誰に見てほしい?(質問2を思い出そう)
ターゲットに合わせて、見せる作品を選びましょう。飲食店向けの仕事がしたいのに、メカのイラストばかり載せても響きませんよね。
何を伝えたい?(質問3を思い出そう)
あなたの強みが一番伝わる、とびっきりの自信作を最初に載せましょう。
「こんな絵も描けますよ」と、タッチの幅広さを見せることも大切です。
② SNSは「未来のクライアントとの出会いの場」
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSは、あなたの作品を発表するだけの場所ではありません。あなたの人柄や想いを伝え、未来のクライアントと出会い、関係を築くための大切な場所です。
完成した作品だけじゃない!
制作の途中経過(ラフ画など)や、使っている画材の話、イラストに込めた想いなど、「裏側」を見せることで、親近感が湧き、ファンがつきやすくなります。
あなたの人柄も伝えよう!
イラストに関係ない、あなたの好きなことや日常のつぶやきも、あなたという人間を知ってもらうための大切なコンテンツです。
ハッシュタグは「質の高い出会い」のために
たくさんのハッシュタグを付けるよりも、あなたのイラストを探している人が使いそうな、「より少なく、より関連性の高い」キーワードを選びましょう。(例:#食べ物イラスト #メニューデザイン #飲食店向けイラストレーター)
タグ戦略について詳しく知りたい方は下記の記事が有効です。
一貫性のある発信を続けることで、「〇〇なイラストといえば、あの人だよね!」と、あなたの「立ち位置」が少しずつ、でも確実に、周りの人たちに認識されていくのです。
❸ 今日からできる!具体的なアクションプラン
さて、自分だけの「立ち位置」が見えてきたら、あとは行動あるのみです!
ここでは、今日からすぐに始められる、具体的なアクションプランを4つご紹介します。
アクション1:ポートフォリオを見直してみよう
まずは、あなたの「営業ツール」であるポートフォリオを、最高の状態にしましょう。
以下のチェックリストを参考に、見直してみてください。
✅️ ターゲット(見てほしい人)に合った作品が中心になっているか?
✅️ あなたの「強み」が一目で分かる自信作が、最初に置かれているか?
✅️ お仕事の実績や、クライアントからの感想などが載っているか?
✅️ 連絡先や、お仕事の依頼方法が分かりやすく書かれているか?
✅️ オンライン(ウェブサイトなど)と、紙の両方で用意できているか?
アクション2:SNSのプロフィールを「お仕事モード」にしよう
SNSのプロフィールは、あなたの「名刺」です。ここを見て、お仕事を依頼するかどうかを決める人もたくさんいます。
肩書き: 「イラストレーター」だけでなく、「温かい食べ物の絵が得意なイラストレーター」のように、あなたの強みを加えましょう。
自己紹介文: どんな人の、どんな課題を解決できるのかを書きましょう。(例:「飲食店の皆さまへ。手描きの温かみで、お店のメニューや看板を魅力的に彩ります」)
URL: ポートフォリオサイトへのリンクを必ず貼りましょう。
そして、定期的に作品や制作の裏側を発信し、フォロワーさんとのコミュニケーションを楽しみましょう。「継続」することが、信頼関係を築く一番の近道です。
アクション3:「専門特化」への小さな一歩を踏み出そう
もし「専門特化」に興味が湧いたら、まずは小さな一歩から始めてみましょう。
興味のある分野を選ぶ: 医療、科学、歴史、動物、植物…なんでもOKです。
基礎知識を学ぶ: その分野に関する本を1冊読んでみる、ドキュメンタリー番組を見るなど。
専門家と繋がる: SNSでその分野の専門家をフォローして、どんな情報が求められているのかをリサーチしてみる。
練習で描いてみる: 学んだことをテーマに、イラストを描いてSNSで発信してみる。
いきなりプロになろうとせず、まずは「詳しくなること」を楽しむ気持ちで始めてみてください。
アクション4:分かりやすい「料金表」を用意しよう
「おいくらですか?」と聞かれたときに、サッと提示できる料金表を用意しておくと、クライアントは安心します。
おすすめは、「松竹梅プラン」のような階層料金モデルです。
梅プラン(お試し): 〇〇円(例:SNSアイコン作成、カットイラスト1点)
竹プラン(スタンダード): 〇〇円(例:ウェブサイトのメインビジュアル、内容のヒアリング込み)
松プラン(プレミアム): 〇〇円(例:パンフレット一式のイラスト制作、修正回数無制限、丁寧な打ち合わせ付き)

このように、価格帯ごとに「できること」を明確に書いておくことで、クライアントは自分の予算や目的に合ったプランを選びやすくなり、お仕事に繋がりやすくなります。
おわりに:あなただけの物語を描き始めよう
ここまで、イラストレーターのための「ポジショニング戦略」について、たくさんお話ししてきました。
なんだか、やることがいっぱいで大変だと感じたかもしれません。
でも、忘れないでください。
ポジショニング戦略は、あなたをガチガチに縛るためのルールではありません。
あなたという、世界にたった一人の素晴らしいクリエイターが、自分らしく輝くための「道具」です。
AIには、あなたが生きてきた中で感じた喜びや悲しみ、大好きなものへの熱い想いを描くことはできません。
あなたの指先から生まれる一本の線には、あなたの人生そのものが詰まっています。
今回お話ししたことをヒントに、あなただけの「立ち位置」というキャンバスに、あなただけの「物語」を描き始めてみてください。
その物語は、きっと未来のクライアントの心に届き、「あなたにお願いしたい」という声に繋がっていくはずです。
あなたのこれからの創作活動が、より豊かで、素晴らしいものになることを、心から応援しています!
少しでもお役に立ちましたら、
ぜひ、スキ♥️やフォロー🙋をよろしくお願いいたします🙇
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