50社以上応募して、欧米テック企業に内定をもらった話。準備したこと、運だったこと。
海外テック企業に絞って、50社近く書類を出しました。面接まで進んだのが5社、最終面接まで行ったのが3社。全部落ちました。
落ちるのがデフォルトになると、理由を自分の外に探すようになります。英語が拙いから。アジア人だから。でも今振り返ると、問題はもっと単純なところにありました。見ていた市場が、そもそも間違っていたんです。
転職を始めたのは、フリーランスとしての働き方に限界を感じていたからです。現場に入って、スキルのある人たちに揉まれて学びたかった。正直に言うと、収入を安定させたいという気持ちもありました。
海外テック企業を目指したのは、オーストラリアにいて英語環境で働きたかったから。それ以上に、グローバルな会社の方が自分に合っていると感じていました。日本人であること、英語が第二言語であることが「普通」の環境の方が、実力を発揮できると思っていたんです。
やれることはやっていた。でも、見ていた市場が間違っていた。
当時は、UX系とカスタマー系のポジションを中心に探していました。実際に求人は減っていたし、同じブートキャンプの仲間もほとんどUXの仕事にありつけなかった。ポートフォリオを整えたり、デザインを説明する練習をしたり、やれることはやっていました。
でも今振り返ると、条件設定がズレていたと思います。フルリモートで年収80k以上の求人を探していたんですが、そういったポジションはそもそも少ない。あったとしても、もっと経歴のある人たちと競合することになる。私には難易度が高すぎました。
落ちた面接も、完全に無駄ではありませんでした。面接のたびに、その会社のウェブサイトや製品を調べて、業界のことを学んでいました。あるAI企業の選考では、ロールプレイングの試験、技術的な質問、製品についてのエッセイを書くプロセスがありました。結果は出なかったけれど、その準備の中で学んだAIやLLMの基礎知識、カスタマーサクセスの概念は、次の面接で話す内容の土台になっていた。落ちるたびに、少しずつ業界のことがわかってきた感覚がありました。
もう一つ気づいたのは、ポジションの絞り方でした。最初は英語圏の企業であれば何でも応募していた。でもある時点で方向を変えました。日本語を強みとして使える、バイリンガルのポジションに絞る。英語が完璧でないことをハンデとして戦うより、日本語が話せることを差別化として使う方が賢い戦略だと思ったから。
面接中、頭の中で反省会をしていた。
やっと面接まで辿り着いても、緊張で泣きそうになることもありました。そのストレスが家族に向いてしまったこともありました。
面接中、「今の答えまずかったかな」「ここはこう言うべきだったか」と頭の中で反省会をしながら話していました。相手を理解しようとしているようで、実は自分のことばかり考えていた。
根本的な原因は、自分の強みをうまく言語化できていなかったことだと思います。自分が何者で、どこでどう活かせるのか。それが整理できていないまま面接に臨んでいたんです。
例えば私の場合、強みは柔軟性、学習意欲、自律性です。リモートでも自分で考えて動ける。でも当時はそれをうまく言葉にできていなかった。
もう一つ気づいたのは、会社との相性の問題です。すでに型が出来上がっている大企業やコンプライアンス重視の会社は、私には合わなかった。安定より変化を好む自分の性質と、真逆の文化だったんです。落ちたことが全部自分のせいではなかった、と後から気づきました。
採用側は、JD通りに採るとは限らない。
採用側の話を少しだけ。夫がハイリングマネージャーとして採用をした時の話です。
JDは「理想の人材像」であって、実際に採用の決め手になるのは別のところにあると言っていました。文化的なフィット、チームの一員としてうまくやっていけるか、信頼できそうか。どんなにスキルや経験があっても、「この人と働きたい」と思えなければ採らない、と。
転職活動中、JDを見て「私には無理だ」と諦めたことが何度もありました。でもその基準は、採用側にとって絶対じゃないことがある。
これを知っているだけで、少し楽になれるかもしれません。
受かろうとするのをやめた面接。
あるとき、考え方を変えました。
面接は試験じゃない、マッチングの場だと。
恋人を探すときと似ていて、どんなにいい人でも全員と付き合えるわけじゃない。相手と自分、どちらにも選ぶ権利がある。そう思えた瞬間から、少し楽になりました。
今の会社の面接で変えたのは、一つだけです。
「受かろうとするのをやめた」こと。
それはレジュメとカバーレターから始めました。それまではAIを使って、きれいで完璧な文章を作ろうとしていた。でもある時点でやめて、自分の言葉で書き直しました。英語の文法やスペリングは確認しましたが、内容は全部自分で。不格好でも、自分の言葉の方が正直だと思ったから。
面接でも同じことをしました。わからないことはわからないと言いました。未経験であることも隠しませんでした。その代わり、学ぶ意欲と柔軟性、理解している部分はちゃんと自分の言葉で説明しました。そうしたら、自分らしくいられた。
後から気づいたんですが、今の会社はスキルよりも「coachableかどうか」を見ている会社でした。チームワークと人間性を重視する文化だったので、完璧な答えより、素直さと傾聴の姿勢の方が評価されたのかもしれません。わからないことは調べて確認する、それがむしろこのポジションで求められる姿勢だったんです。
準備したこと、運だったこと。
未経験で会社に入ることは、簡単じゃありませんでした。誰にでも声を大にしておすすめできることでもありません。何度も拒絶されて、恥ずかしい思いもしました。1年間転職活動して、芽が出なかったらフリーランスをやっていく道、学校にいく道も考えていました。
タイミングもあったと思います。今の会社はちょうど緊急で人が必要な時期で、英語力と技術知識と顧客理解のバランスが取れた人材がなかなか見つからない状況だったんです。自分の準備が、たまたまそのニーズと重なった。
振り返ると、私がやったことはシンプルでした。
自分の言葉でレジュメとカバーレターを書いた
強みを言語化してから面接に臨んだ
わからないことはわからないと言った
面接をマッチングの場として捉えた
自分に合う文化の会社を見極めた
とにかく場数を踏んだ
再現性があるかは、わかりません。数は必要でしたが、数だけでは足りなかった。自分に合うところを選ぶことと、時間がかかると受け入れること。この2つがないと、数はただの消耗になります。
準備というのは、運が来たときに拾えるようにしておくことでしかない。私がやったのは、それだけでした。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。
この記事は転職活動シリーズの一部です。
次の記事:転職にAIを使わなかった理由。欧米テック企業に正社員として採用されるまで。
