イスラエルに食文化が存在しない理由
このnoteでは、これまでに『旨いイギリス料理が存在しない理由』といった大胆な食文化解説をしてきましたので、今回は表題の『イスラエルに食文化が存在しない理由』について説明したいと思います。
食文化について語る上で最も重要なことは、食文化とは何かを定義することです。この定義なしに食文化を語ると、KFCやマクドナルドまでが食文化になってしまいます。これらのファストフードも食文化と言えなくはありませんが、ファストフードは食文化を破壊するジャンクフードの代名詞であり、私の定義では食文化として論じるわけにはいかないのです。
食文化とは、人々が食物を選び、調理し、摂取し、共有する行動や習慣、信念、価値観、およびそれに関連する社会的、経済的、歴史的、地理的な要素を指します。食文化は、単なる食べ物の摂取にとどまらず、食に関する一連の行動や儀礼、伝統、そしてそれを取り巻く文化的な文脈を含みます。ここで重要な点は食の歴史と伝統であり、100年以上の歴史のないファストフードや、特定の国や地域を無視してグローバリゼーションの観点から世界中に展開している標準化された食べ物は、食文化とは言い難いものです。
魅惑の中東・北アフリカ料理
中東・北アフリカ(MENA)諸国が専門領域の私は、これまで様々なMENA料理を満喫してきました。MENA諸国に行かなくても、ペルシャ料理(イラン料理)、トルコ料理、レバノン料理は世界中の主要都市にあります。私はこれらペルシャ語、トルコ語、アラビア語の異なる言語が公用語の三か国の料理を中東の三大食文化と称しています。歴史的な背景を考慮すると、イラク料理、エジプト料理、シリア料理、モロッコ料理、チュニジア料理なども、それぞれ特徴があって非常に美味しいものです。
イギリスよりも食文化不毛のイスラエル
イスラエルにはユダヤ教のコーシャ基準が存在する一方で、100年以上の歴史を持つ『イスラエル食』として独立した食文化は存在していません。イスラエルは1948年に建国された比較的新しい国家であり、現在も多くの国がイスラエルを国家として承認していないため、100年以上の歴史のあるイスラエル料理は論理的に存在し得ないのです。イスラエルが国家として成立しているかどうか微妙なことは、この記事を書く一日前の2024年5月14日にイスラエルのヒトラーの異名で知られるネタニヤフ首相が『われわれの独立戦争は続いている』と述べたことからも明らかです。独立戦争が続いているということは、多くの国がイスラエルを独立国として認めていない証拠です。
つまり、イスラエルにはパレスチナ料理はあってもイスラエル料理は存在していないのです。
つづく…
