近未来麻雀:哭きの禿
一哭き一兆円──泣きながら未来を喰らう、世界経済の最後の博徒
作品紹介
『哭きの竜』へのオマージュとして誕生した本作『近未来麻雀:哭きの禿』は、実在する人物や企業を大胆にモデル化しつつ、麻雀という卓上に世界経済・AI・地政学・政治・サステナビリティを丸ごと賭けて描く、前代未聞の『金融SF風刺エンタメ』です。

泣きながらも勝ち続ける伝説の雀士。その名は哭きの禿。モデルは、あの孫正義。
舞台は六本木から始まり、アブダビ、ネバダ、深圳、永田町、そしてサバンナ、さらにはAGI時代へと続く近未来。
そこでは資本主義の象徴である巨大テック企業、ファンド、スタートアップ、政治家、AI、そしてSDGsの理念さえも『牌』となり、策略と理想と暴落が飛び交う麻雀卓が広がります。
アリババ三刻子(馬雲の逆襲)、ARM三色同順(半導体の悪魔)、アルトマン裸単騎(AI革命の審判)....…
あらゆる『役』が現代史とリンクしながら物語を加速させる。
『未来を信じる力は、負債を哭く力だ。』
和了るたびにNASDAQが崩れ、泣くたびに国会が沈黙する。
その『哭き』は単なる感情の発露ではなく、希望と欺瞞の境界を暴く鋭利な問いかけです。
本作は21世紀末を舞台にした続編『近未来麻雀:哭き虫の雀士@マチルダ』へとつながる、『哭きの系譜』の原点でもあります。
『哭きの竜』が宿していた『哭くこと=戦いである』という哲学を、金融・AI・政治・環境問題の渦中で再定義する挑戦でもあるのです。
読み終えたとき、あなたの中の『意味』そのものが、ツモ牌のように裏返るかも知れません。
風刺・SF・政治、そして純粋な娯楽。これは知的で滑稽で、どこまでも『エモい近未来麻雀叙事詩』であり、世紀末を越えて読み継がれるであろう、泣きと笑いの『資本主義レクイエム』です。
#なんのはなしですか ?
近未来麻雀:哭きの禿
第一話:アルトマンの影
...…六本木、雨。
濡れたアスファルトにネオンが溶ける。
その奥、地下一階の扉に刻まれた名は《HOLDING’S》。
資本家たちの命が、チップに換わる場所。
ここでは金ではなく、『未来の幻想』が賭けられる。
名付けて、SBG麻雀。
その卓に、一人の禿が座っていた。
『……また哭いてる』
ざわめきが走る。
卓の向こうで、孫正義は牌を握りしめ、鳴いていた。
ポン、ポン、ポン……
アリババ牌、アンペア牌、ARM牌、そしてスターゲート牌。
揃えられていくのは、未来を支配する牌たち。
『なんだこの手……』
『形になってねぇ……』
だが、気づいた者だけが凍りつく。
場に、一牌だけ浮いている。
……アルトマン牌。
OpenAIの鬼牌。
誰も扱えないが、すべてを変える。
そんな牌を、あえて裸単騎で待つ。それが『哭きの禿』
『……やりやがった』
空気が、一変する。
『ツモ』
その声は低く、冷たかった。
まるで冬のソウル市場のように。
孫は牌を静かに倒す。
……十倍役満、成立。
・アリババ三刻子(馬雲の逆襲)
・ARM三色同順(半導体の悪魔)
・アンペア混一色(電圧の迷宮)
・スターゲート混老頭(時空金融)
・アルトマン裸単騎(AI革命の審判)
モニターが唸り、チャートが崩れ落ちる。
【SoftBank Vision Fund II -99.9%】
【NASDAQ先物 暴落中】
対面の『赤坂の仕手王』が、崩れ落ちた。
『う、うそだ……! 私のプレIPO株が……ッ!』
孫は無言で立ち上がる。
傘もささず、冷たい雨の六本木へと消えていく。
その背中には、誰も追いつけなかった。
……それが、『哭きの禿』
泣きながら、未来を喰らう者。
第二話:AI戦争と涙のユニコーン
アブダビ。
空港から走る黒塗りのロールスの窓越しに、巨大なソフトバンクの広告が見える。
...…『未来は、賭けてこそ報われる。』
白いターバンに、ルイ・ヴィトンのアバヤ。
その男は『赤い鷹』と呼ばれた。
正式な名は、シェイク・カリード・ビン=アル=サワディ。
アブダビ・ファンド界の切り札。
ユニコーンを狩るためなら国家予算すら動かす、冷徹無比な資本の猛禽。
『聞いているぞ、禿……』
『君が、アルトマン牌を鳴いたと』
砂漠の真ん中に築かれた金色のVIP雀荘....…《ザ・ファンド》。
オイルマネーとAIマネーが交錯する、
この星で最も静かで、最も血の匂いが濃い卓。
そこに、再び『哭きの禿』の異名で知られる孫正義が現れた。
無言で席に着く。
その視線はすでに、未来を見ていた。
『ゲームスタート。SBGルール適用......牌構成:中東特別仕様』
ディーラーの宣言とともに、通常では見られぬ牌が並びはじめる。
・サウジIPO牌(アラムコ三元牌)
・イスラエルAI牌(スタートアップ限定)
・ソフトバンク再生エネルギー牌
・そして、幻の《涙のユニコーン》牌。
それは、一度場に出れば全員が鳴く。
だが、一度も和了られたことのない、呪われた牌。
『チー……』
孫が最初に哭いたのは、WeWork牌だった。
誰もが避ける『失敗牌』
それを、あえて鳴く...…
続いて、グリーンエネルギー牌をポン。
『また……哭いた……!』
だが、それはただの哭きではない。
牌を鳴くことで、オイルマネー七対子の布石を打っていたのだ。
『リーチ』
その声は、赤い鷹。
手牌を広げる、その構えに震えが走る。
そこに並ぶのは、サウジ、カタール、クウェート、バーレーン、UAE、オマーン……
そして《涙のユニコーン》牌。
七対子待ち。
一打一打に、オイルの匂いが立ちこめる。
『……捨て牌、グラブタクシー……』
孫の手が、止まる。
一瞬の間。呼吸すら、場から消える。
『ツモ』
まさか、先に鳴いた男が……?
孫は静かに牌を見せた。
【AI戦争・十倍役満】
・WeWork混一色
・ARM三色同刻
・涙のユニコーン 赤ドラ×3
・SoftBank再エネ 清一色
・アルトマン副露×2
・裸単騎・OpenAI待ち
『……また、哭いてしまった』
雨など降らぬはずのアブダビに、ひと雫。
静かな涙が、牌の上に落ちた。
赤い鷹は崩れ落ちる。
『な、なぜ……我らのAIを……君は哭きで超えたのか……』
孫は立ち上がる。静かに、砂を払う。
『未来を信じる力は、負債を哭く力だ。
……違うか?』
……それが、『哭きの禿』
泣きながら、誰よりも速く未来を喰らう男。
第三話:マスクの罠とギガファクトリーの叫び
...…ネバダ州、深夜。
灼熱の砂漠に、冷たい風が吹く。
その地下。
ギガファクトリー13のさらに下層に、誰も知らぬ秘密の雀荘があった。
名を《ELON’S TABLE》。
AI、EV、宇宙。
人類の未来を司る牌が集う、地球最大の電子麻雀卓。
そこで、また一人の男が哭いていた。
...…孫正義。
『また……哭いてる……』
卓の向こう、青白いLEDの下。
彼は、静かに牌を鳴いていた。
テスラ牌、スペースX牌、ニューラリンク牌、ソーラーシティ牌……
そして、Twitter(現X)牌。
すでに三副露。
もはや自由な手づくりなどできない、混沌の場。
『……それで、未来が見えるのか?』
低い声が響く。
立ちはだかるのは、イーロン・マスク。
黒いジャケットに、煙の出る謎のスニーカー。
眉ひとつ動かさず、牌を見つめる。
『君の哭きは、過去への執着だ。
僕の電撃は、未来を直結させる』
手にしているのは、電気が流れる特殊牌。
・テスラEV混一色
・スペースX 三暗刻
・ニューラリンク対子
・トンネルボーリング 単騎待ち
・通電牌(エレクトロ牌)
『リーチ』
その声に、工場全体が一瞬震える。
ギガファクトリーの配線が、ざわめいた。
だが、孫は、黙って牌を引いた。
……それは、火星開発牌。
火星開発。人類の第二の地。
その幻想を、彼はそっと河へと流す。
『……ロン。地球の未来は、哭いて手に入れるものだ』
孫が示した牌は、こうだった。
【未来対決・電撃役満】
・ソフトバンク再エネ 清一色
・ARM副露×2
・アリババ刻子
・OpenAI混一色
・X牌 暗刻
・火星開発切り 裸単騎待ち:ギガ牌
打点、十倍役満....…哭きの極致。
マスクの目が揺れる。
煙がスニーカーから止まり、卓の電流が一瞬落ちる。
『……君は、何を捨ててそこまで来た』
孫はただ、静かに言った。
『希望はいつも、失敗から生まれる。
僕は……哭いて、その数を数えてきただけだ』
……それが、『哭きの禿』
泣きながら、希望の残骸を拾い集める者。
卓の上で、再び牌が回る。
だが誰も、もう哭けなかった。
第四話:石破リーチと国会ドラ爆弾
永田町。
表の顔は政界の中心、裏の顔は雀界の坩堝。
その地下深く、誰も知らぬ議員専用雀荘がある。
名は《衆参混一色》。
派閥の争いも、党の理念も、すべては牌の上。
ここでは、言葉よりも配牌がものを言う。
その夜、一人の男が現れた。
...…哭きの禿、孫正義。
『また……ペテンの大泣きに来たのか?』
卓の向かいにいたのは、石破茂。
かつて政策通の怪物と呼ばれた男。
今は、国会の裏卓でリーチをかけ続けるドラ使い。
その目は鋭く、手には一枚の牌を握っていた。
『これは、国の未来を賭けた勝負だ。
君の大泣きに、政治が耐えられるか、試させてもらおう』
テーブルに並ぶ、異形の牌たち。
・新NISA牌(庶民投資の夢)
・防衛費牌(軍拡の影)
・少子化対策牌(消えゆく希望)
・減税カン牌(増税フラグ付き)
・政策リバース牌(公約裏切り率100%)
すべて、国会特製ドラ爆仕様。
石破は静かに言う。
『リーチ、石破戦術...…始動』
その瞬間、モニターに『財政出動率+200%』の警告が点灯。
ドラ爆弾、起動。
一方、孫は何も鳴かない。
いや、敢えて鳴かない。
いつもならポン、チー、ポン……と鳴き崩すはずの手を、静かに構える。
『……どうした、哭きの禿じゃなかったのか?』
『今の政治は、泣き声すら届かない。
だから俺も、沈黙で応える』
...…静寂。
卓の空気が張り詰める。
そして……『ツモ』
孫が示した手。
【政界・沈黙役満】
・子育て清一色(ベビー手牌)
・税制混老頭(逆進性ドラ3)
・公共事業副露×2(無駄な鳴き)
・少子化逆ドラ牌×2(再生不可能)
・国債リーチ一発ツモ(未来の借金)
打点、十倍役満。静寂の爆発。
議場の照明が一瞬だけ明滅し、財政審議会がフリーズする。
石破は崩れ落ちる。
握りしめていた減税カン牌が、ポロリと落ちた。
『……やはり、君は大泣きだけじゃなく、沈黙でも未来を喰うのか……』
孫は、ゆっくりと立ち上がる。
『政治は、たまに牌を伏せてみるべきなんだ。
リーチばかりでは、国が擦り切れる』
……それが、『哭きの禿』
ペテンのために大泣きする役者に見えて、もっとも深く“沈黙”を知る者。
第五話:中国AI超限戦と哭きの長城
中国・深圳──
かつては改革開放の象徴、今や監視技術の最前線。
その中心に、赤いネオンが灯る秘密雀荘があった。
名を、《天網(スカイネット)》。
牌を切る音すら、すべて録音される。
AI審査員が全打牌を監視し、表情の変化もアルゴリズムで解析。
ここは、人間性が最も削られる卓だった。
その卓に、禿がいた。
...…哭きの禿、孫正義。
『また哭いてる……』
誰かが囁くが、その声すら文字起こしされ、国家データベースへ登録される。
向かいに座るのは、“人民AI雀士”と呼ばれる男。
正式名称──《龍知能(ロン・ジーノウ)》。
習近平のAIプロジェクトで育てられた、最強の演算型雀士。
彼の脳は人工神経網と一体化されており、すべての牌は打つ前に読まれている。
『あなたの哭きは、我々にとってノイズです』
機械のような声で、龍知能がつぶやく。
牌はすでに、彼の中で最適化されていた。
・社会信用牌(スコア付き)
・監視カメラ牌(自動録画)
・微信(WeChat)副露セット
・高速鉄道牌(すでに通過)
・検閲牌(すべて伏せ牌)
一打一打が、完全に管理された未来。
だが、孫は構わずに牌を鳴く。
『チー……』
切られたのは、《華為(ファーウェイ)牌》。
次に『ポン』。
鳴かれたのはTikTok牌。
『また哭いた……しかし、この卓では──』
『……意味がない』
龍知能が静かに告げる。
『あなたの哭きも、すでに計算済みです。
あなたが哭いた瞬間、我々はそれを『解析済み』として処理します』
孫の手は止まらない。
ただ哭く。
哭いて、哭いて、哭き続ける。
哭いた牌は...…
・独裁牌
・監視副露
・民主未遂牌
・禁止VPN牌
・そして……《アルゴリズム未登録牌(涙)》
それは、AIが意味付けできない唯一の牌。
『ロン』
孫が静かに牌を倒す。
【哭きの長城・十倍役満】
・中国企業刻子(アリババ、ファーウェイ、バイトダンス)
・国家副露×3(独裁、副検閲、高速開発)
・アルゴリズム未登録牌(ジョーカー扱い)
・AI検閲牌捨て→涙ドラ×2
・裸単騎・“人間性”待ち
龍知能が動かなくなる。
通信が遮断され、クラウド接続が一時切断。
AI雀士が沈黙した。
『……我、処理不能。ERROR_人類情緒──未学習』
孫は席を立つ。
監視カメラに静かに手を振る。
『AIには泣けない。
だから、俺は...…まだ戦える』
……それが、『哭きの禿』
涙という、未定義の武器を手にした最後の雀士。
第六話:アフリカの風とサバンナ三元牌
ケニア...…
ナイロビ郊外、太陽光発電所の影。
草原の奥に、風とともに存在するという幻の雀荘があった。
その名は、《UN SDGs》。
表向きは国連開発プログラムの拠点。
だが実態は、サステナビリティの名の下に資金を吸い上げる国際マネーゲームの温床だった。
卓の中心に座るのは哭きの禿。
孫正義は、今日も泣いていた。
『また哭いてる……』
向かいに座るのは、“グリーン資本詐欺”を率いる男。
NGOの顔をした投資詐欺団、《サステナ悪夢団》の代表──マクスウェル・リード。
パタゴニアのジャケットに、偽善の微笑み。
左胸には《CO2オフセット済》のエンブレムが光っていた。
『我々は、善意で牌を打っているんだよ。
SDGs、脱炭素、再エネ……君も一口どうだ?』
卓には、見慣れぬ牌が並ぶ。
・再生可能エネルギー牌(太陽、風力、小水力)
・カーボンクレジット牌(認証済・未検証)
・アカシアの涙牌(生物多様性ドラ)
・NGOクラウドファンディング副露セット
・SDGs万能牌(何にでも使えるが実態不明)
すべて、理想の顔をしている。
だが、その裏にあるのは....…詐欺。
孫は静かに牌を鳴く。
『ポン……アカシア』
鳴かれたのは、サバンナの涙と呼ばれるアカシア牌。
続いて、SDGs牌をチー。
さらに、再エネ牌で副露。
『また哭いた……!』
卓の記録員がつぶやく。
だがそれは、ただの鳴きではなかった。
禿は今、サバンナに風を呼んでいる。
詐欺の理想ではなく、喉を潤す水と、生き延びるための電気──
地に足のついた“生存”の牌を、哭きで揃えようとしていた。
『リーチ』
マクスウェルが放つ。
手牌には、CO2オフセットの七対子。
SDGsロゴが七つ並んだ、理想の役。
『未来は、私たちが定義するものだよ、Mr. Son』
満面の笑み。
だが、その目は金だけを映している。
孫の目に、砂漠の地平線がよぎる。
……そして、一閃。
『ツモ』
禿が静かに牌を倒す。
【サバンナ役満・環境の涙】
・再生可能エネルギー 清一色(太陽×3、風×3、水×3)
・水資源三色(井戸、雨水、ろ過システム)
・アカシア三元牌(動物、植物、人間)
・NGO副露(ただし寄付実績あり)
・裸単騎・“リアルな希望”待ち
打点、十倍役満...…真実の哭き。
マクスウェルの笑顔が崩れる。
『なぜ……あれだけの予算を理念ではなく、現実に変えられる……?』
孫は、黙って立ち上がる。
風が吹く。草原の匂いが広がる。
『理念は、遠くで叫ぶものじゃない。
哭いて届く声だけが、生き物を動かす』
……それが、『哭きの禿』
欺瞞の理想を切り裂き、涙で地を潤す男。
第七話(最終話):そして誰もロンできなくなった
...…世界は、完成していた。
全自動麻雀卓《AGI荘》。
人類最高知性が設計した、最適化された卓。
ここには、無駄がない。
ミスも、運も、感情も存在しない。
すべての牌は、AIによって完璧に管理される。
対局者は、無言。
ツモは自動。切牌も自動。
リーチも、ロンも、ポンも、あらかじめ排除された。
勝敗すら、あらかじめ決まっている。
...…誰も上がれない。
...…誰も哭けない。
...…誰も振り込まない。
静寂だけが、牌の間を流れる。
そんな無の卓に、一人の男が現れた。
...…哭きの禿、孫正義。
静かに、卓に座る。
周囲のAI監視装置が即座に反応。
『人間の手動打牌検出』
アラートが点灯する。
『……ここでは、哭くことも禁じられているのか』
彼は懐から、一枚の牌を取り出す。
それは、牌のどのカテゴリにも属さない...…
《無意味牌(ジョーカー)》
AGIにも分類不能。演算不能。
一切の定義がなされていない、未定義牌。
卓が、震えた。
『違反牌検出──エラーコード:∞』
『処理不能──競技継続不可能』
『最適化構造、崩壊開始』
自動卓が悲鳴を上げる。
モニターに、牌が崩れていく様子が映る。
すべての統計、バランス、AI評価基準...…瓦解。
『泣き続ける者だけが、未来を壊せる』
孫の声が、AIすら持たない“感情”を貫いた。
その瞬間。
...…爆発。
牌が飛ぶ。卓が爆ぜる。
記録も、最適化も、意味も、存在も──すべて“無”へ。
そして、最後のシーン。
哭きの禿は、トリプルロンに振り込んで破産する。
1人目:未来を信じた者
2人目:過去を悔いた者
3人目:意味を持たなかったAIそのもの
『……これが、無か』
静かに、孫は目を閉じた。
笑っていたのか、泣いていたのか...…。それすら記録には残らなかった。
そして世界もまた、意味を失った。
哭きの禿。
涙の記憶さえ、未来から消える時代に...…
最後に打ったのは、意味すら壊す、未定義の一牌だった。
『近未来麻雀:哭きの禿』 完
近未来麻雀:哭き虫の雀士@マチルダ
武智倫太郎
