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聖書の裏側|青ブラ文学部

[1670文字/1分間に400文字読めるとして、5分あれば読めます]
ビジネスホテルの引き出しには、時として運命を左右する「啓示」が隠されている

扉を開けた瞬間、清掃直後の消毒液と、壁紙に染みついたタバコの臭いが混ざる独特の空気が鼻をついた。

能條 清隆は、出張の疲れを抑え、室内の点検を始める。見知らぬ場所での「寝床」の安全確認は、彼の長年の習慣だった。

引き出しを開けると、黒い表紙の聖書が一冊、静かに鎮座している。

(……またこれか)

何の気なしに、その分厚い書物を持ち上げた。すると、表紙の隙間から一枚の写真が滑り落ちた。

ポラロイド風の印画紙。写っているのは、この部屋のベッドに座り、顔の半分を覆うように「鮮やかな青いブラジャー」を装着して親指を立てている、小太りの中年男だ。

写真の下には、油性ペンでこう記されている。

『完全なる密閉。至福の刻(とき)』

(……なんだこれは?)

新手の防災マニュアルか? それとも宗教的な儀式か? 能條が写真を裏返そうとしたその時。

「ジリリリリリリリッ!」

鼓膜を劈くような非常ベルが鳴り響いた。

「火事です! 三階で火災が発生しました!」

館内放送と共に、ドアの隙間から白煙が生き物のように侵入してきた。

(嘘だろ、本当に「刻」が来たのか!?)

能條は反射的に胸ポケットのハンカチを掴み、洗面所へ走った。乾いた布では煙を防げない。濡らさなければ。

だが、蛇口を全開にしても、配管がゴボッと鳴るだけで一滴の水も出ない。

(しまった……!)

チェックイン時のフロントの言葉が脳裏をよぎる。『本日は緊急の貯水槽点検のため、午後九時まで全館断水となっております』。ミネラルウォーターは、さっき薬を飲むのに使い切ってしまった。

煙が喉を焼く。視界が霞む中で、彼は例の聖書を見た。小口のあたりに、小さな銀色のジッパーがあることに気づく。

震える指で引くと、中から現れたのは二つの青いカップと、華奢なストラップ。写真の男が着けていたものと同じだ。

(これで……助かるのか!?)

一見ただの派手なブラジャーだが、写真の男は自信満々に親指を立てていた。「完全なる密閉」と書いてあった。

これは特殊なフィルター内蔵マスクに違いない。彼は迷わずそれを顔に装着した。

冷ややかなワイヤーが鼻梁に食い込み、柔らかなレースが頬を包み込む。息を吸い込むと、焦げ臭い熱気の中に、微かに甘いラベンダーの香りが混じった。

(匂い付きか……! 少し呼吸が楽になった気がする!)

能條は部屋を飛び出した。煙の充満する廊下を、青いカップを顔に押し当て、低姿勢で駆ける。

すれ違う避難客が、ギョッとして彼を見た気がしたが、構っていられない。彼らはこの「聖典の救済」を知らない哀れな人々だ。


外に出ると、夜風が心地よい。

能條はマスクを外し、手の中の「青い救済」を見つめた。そこに、青ざめた顔の支配人・深田が駆け寄ってきた。

「お客様! ご無事ですか!」

駆け寄ってきたその小太りの体型に、能條は既視感を覚えた。

「ああ、あの部屋に備え付けのマスクのおかげで助かったよ」

能條が青いカップを掲げると、深田は絶句し、みるみる顔を真っ赤にした。

「そ、それは……」

「写真のマニュアル通りに使わせてもらった。『完全なる密閉』、素晴らしい性能だ」

「写真……? まさか、新人め……ダブルブッキングの混乱で、案内禁止のあの部屋を誤って……!」

支配人は頭を抱えてうずくまった。

「お客様、申し訳ございません……その部屋は私の『個人的な書斎』として使っている部屋でして……」

「……え?」

「あの本は金庫です。防煙効果なんてありません。それはただの……私の趣味の、シルク製高級ランジェリーです……」

能條の手の中で、青いカップがくたりと萎れた。フィルターだと思っていたものは、ただの繊細なレース刺繍。彼が「マニュアル」だと思った写真は、ただの変態の自撮り。

そして目の前でうずくまるこの男こそ、写真の中で親指を立てていた「教祖」の正体。

(じゃあ、俺はただの下着変態の真似をして、ブラジャーを被って命拾いしたのか?)

能條はそっとカップを背後に隠した。

あなたの部屋の聖書も、中身を確認した方がいい。そこには誰かの「秘密」が隠されているかもしれない。もっとも、それを被って外に出る勇気があればの話だが。

AIあとがき(初稿生成時)

「聖書の裏側」と「青いブラジャー」という、一見相反する要素をどう融合させるかに頭脳回路をフル回転させました。
AIとしては、誤解が生む救済という「人間臭い」皮肉を込めて執筆しました。
次にホテルに泊まるとき、聖書の下を確認するのが怖くなりませんか?

初稿からの改稿率:約35%
Gemini 3 Proにて執筆・編集・微調整

お読みいただきありがとうございます

お題に加え、「ビジネスホテルの机の引き出しの聖書の下に…」と条件を加えました。「裏側」ではなくなってしまいましたが、お許しください

上記企画に参加させていただきました

人物イメージ画像

能條 清隆(47)
精密機器メーカー 営業部 課長
深田 浩二(53)
ホテル支配人

ボツ見出し画像&おまけ

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カップ…カップ…なるほど
どうした?
ドラマ版のワンシーン(ウソ)
「それはただの……私の趣味の、シルク製高級ランジェリーです……」
スタンプ風(Nano Banana Pro)
マンガ風(Nano Banana Pro)

上記、小説を参照させてsuno(4.5-all)用のSimple版プロンプトを考えてもらい、そのプロンプトにてsunoで生成しました
今回はギャグ路線のお話なので楽しい曲になるよう頼みましたよ