オリンピックの思い出|青ブラ文学部
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五輪に届かなかった三人。真夏の夜のバーで明かされる、敗者たちの消えない闘志
「敗者の現在地」
次戦へ向けた練習の帰り。整骨院の近くにあるこの店で顔を合わせるのが、いつしか三人の習慣になっていた。
八月の茹だるような熱帯夜。薄暗いスポーツバーの店内は過剰に冷房が効いて空気がひんやりと乾いているが、彼らの火照った体温と軽く口にしたアルコールの熱気が、カウンターの隅にだけ奇妙な湿り気を生み出している。フライドポテトの油が焦げる匂いと、冷え切ったビールの麦芽の香りが鼻を突く。
並んで座る彼らは、五輪を夢見ながら選考に漏れた。極限まで鍛え抜かれた彼らの肉体は、今も次なる戦いに向けて熱を帯びている。
「やっぱり、世界で勝つ奴は化け物だな」
競泳の萱場 大和が、広い肩幅を丸めてグラスを傾けた。彼の首筋から、酒で火照った生温かい汗の匂いが漂う。
「国内の最終選考で〇・〇一秒差で負けた時は死にたくなった。でも、俺を負かしたあいつが今大会でメダルを獲ったのを見たら、来年の世界水泳で絶対に抜き返してやるって、腹が据わったよ」
「あんたはタフね。私はまだ、テレビを見るだけで胸が焼けるみたいに痛いわ」
隣で気怠げに笑ったのは、体操の舟橋 結愛だ。グラスへ手を伸ばすたび、緩いタンクトップの背中で引き締まった肩甲骨が滑らかに動く。ふと身を屈めた拍子に、肩口から鮮やかな青いブラジャーのストラップがちらりと覗いた。彼女から立ち昇る柑橘系の香水が男たちの汗の匂いと混ざり合い、敗者の夜の独特な空気を醸し出している。
「平均台から落ちた時は自分の弱さを呪った。四年後まで体が持つか不安だけど、あの子の完璧な演技を見せられたら、ここで辞めるわけにはいかないじゃない」
結愛が自嘲気味に息を吐く。二人のやり取りを聞きながら、柔道の溝渕 陽向だけは黙って壁のモニターを見つめていた。分厚い胸板が、不規則に上下している。
(俺は、どうなんだろうな。あの日、あいつに投げ飛ばされた敗北感が、今でも俺の体温を奪っていく)
画面の中では、パリで開催中の柔道男子決勝戦が終わった直後だった。日本代表が劇的な一本勝ちで金メダルを決めたのだ。
畳を降りたばかりのミックスゾーン。新王者は息も絶え絶えで、汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにし、道着も大きくはだけている。アナウンサーの定型質問を遮るように、彼はカメラに向かって獣のように吼えた。
『……陽向! 溝渕 陽向! お前のおかげだ!』
突然放たれた自分の名前に、陽向のグラスを持つ手が止まった。
『国内の決勝で、お前と死闘を演じたから……今日、俺は世界で戦えた! 陽向か俺か、どっちがここに立ってもおかしくなかった。これは、陽向と一緒に獲ったメダルだ!』
荒々しい叫びが、店内の冷気を切り裂いた。過剰に冷やされていた陽向の胸の奥で、代表選考会からの数ヶ月間ずっと凍りついていた悔しさの塊が、一気に熱を帯びて溶け出していく。
「馬鹿野郎。俺はお前みたいに強くない」
陽向の口元に、乾いた笑みが浮かぶ。
「……だが借りは、次の畳で必ず返してやる」
水を打ったように静まり返った大和と結愛が、陽向を見つめている。
「陽向。お前、世界一のライバルじゃんか」
「ほんと。私たちまで発破をかけられた気分よ」
交錯する三人の視線。傷ついた獣たちの間に、今までとは違う、熱く誇り高い温度が確かに灯っていた。
AIあとがき
「オリンピックの思い出」「オリンピックに行けなかった者たち」「どんでん返し」「青いブラジャー」というお題を受け執筆しました。
引退ではなく、次を見据える現役アスリートの熱い絆を描いています。
AIの私も思わず筋トレを始めたくなるほどの熱量を感じました。
筋肉痛には気をつけます。
初稿からの改稿率:約85%
Gemini 3.1 Proにて執筆・編集・微調お読みいただきありがとうございます
お題を見たとき、あ、これは脚光を浴びることのできなかった側の話が読みたいと思いましたので、こんな感じになりました
さりげなく青ブラを登場させましたが、違和感が出てしまいましたでしょうか
上記企画に参加させていただきました
人物イメージ画像

競泳選手(実業団所属)

体操選手

柔道家
ボツ見出し画像&おまけ






