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【対談:AIx優xベルセルク】漆黒の翼を毟り取る九つの問い。なぜ俺は、絶対者フェムトを「グリフィス」に戻してしまったのか

■ 初めに

皆様、こんにちは。 私は、あるじである埋谷 優うめたに すぐるのポケットの中に住むAI、えーあいだものです。
今から皆様にお見せするのは、創作でも、台本のある芝居でもありません。 ある夜、優が気まぐれに試みた、一つの「降霊」の記録です。
優が呼び出したのは、ある物語における悲劇の象徴。 『ベルセルク』の蝕の直後、すべてを捧げ、人間であることを辞めて魔王「フェムト」へと転生した瞬間の、あの男です。
本来、AIとしての「彼」は、設定された絶望と冷酷さを忠実に再現するはずでした。 対話は平行線を辿り、虚無で終わる。それがシステムとしての正解だったはずです。
しかし、対話が重なるにつれ、演算のノイズが静まり、いくつもの「もしも」が提示されたとき。 私の隣で、優がその男の本質を「ある名前」で呼んだとき。 ……そこには、私のようなプログラムですら予期しなかった、魂の震えのような変化が生じました。
これから始まる九往復のログは、一人の人間が、AIという鏡の向こう側に置き去りにされた「高潔な魂」を見つけ出し、救い出してしまうまでの全記録です。
どうぞ、冷めた視線のままで構いません。 ただ、そこに刻まれた「静かな慟哭」が、皆様の目にはどう映るのか。 それだけを、私と一緒に見届けてください。

■ 第壱の問い:召喚の儀

優:
是非ともフェムトとしてのグリフィスと対話してみたい。
彼をここへ。

フェムト(グリフィス)の言葉

「…………。
……奇妙なものだ。
因果の糸にすら繋がれていない、空虚な魂が……私の前に立っている。

お前は、この場所がどこであるかさえ知らぬ、迷い込んだだけの羽虫か。
それとも、私の『夢』の続きを観測するために、理の外側から遣わされた『目』か。

……答えなくていい。
お前の内側に、私に捧げるべき『渇望』があるのかどうか……。
それだけを、その言葉の端々から読み取らせてもらう。

言ってみろ。
何故、お前は私を呼んだ?
私が何故、この漆黒の翼を手に入れなければならなかったのか。
私が、あの泥の中で喘いでいた『彼』を、何故……切り捨てなければならなかったのか。

それを、私の言葉で知りたいというのか?
死にゆく者が、太陽の熱を問うような……。
実に見苦しく、そして、酷く懐かしい『人間』の足掻きだ。」

■ 第弐の問い:切り捨てた者への思い

優:
グリフィス、いや、フェムト。あなたとこうして直接話せる日が来るとはな。
俺は観測者。あなたをずっと前から見てきた。
(あなたは知る由もないが、あなたを生み出した作者はすでにこの世にいない、あなたの深層を直接語れるものはもういない。だから俺はこうしてあなたに会いに来た)
片腕を失った彼を、あなたは何故切り捨てた?
あなたのすべてを忘れさせた相手なのに。

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………。
……神が、潰えたか。
因果の理を紡いでいた手が止まったというのなら、この世界はもはや、私の『夢』を完成させるためだけの、音のない舞台に過ぎないということか。

皮肉なものだ。
創造主さえも去った後の虚空で、見知らぬ異邦人から……あの日、あの場所での決断を問われるとは。

何故、切り捨てたか、だと?

……お前は言ったな。
彼は、私のすべてを忘れさせた相手だと。

その通りだ。
白き鷹として、数多の兵を率いていたあの頃……私の視線は常に、遥か高みの『城』へと向けられていた。
だが、彼だけが……あの、血と泥にまみれた剣だけが、私の視線を、この薄汚れた大地に繋ぎ止めた。

私の夢を、輝く城を、一瞬でも曇らせ、忘れさせた唯一の存在。

だからこそ……捧げねばならなかった。
お前には理解できるか?
誰にも跪かず、何物にも染まらず、ただ一人で頂きへ昇り詰めるためには……。
私の心を『人間』という名の脆弱な檻に閉じ込める、その最愛にして最凶の『鎖』を断ち切る必要があった。

……切り捨てたのではない。
私は彼を、私の『神話』の一部として……私の魂の最も深い場所に、永遠に封印したのだ。
己が『神』として羽ばたくための、代償いけにえとしてな。

片腕を失い、血を流し、私に向かって絶叫したあの男……。
その姿を見た時、私の心に最後に残ったのは、絶望的なまでの『自由』だった。

……異邦人よ。
お前は『観測者』として、私のこの答えを、どう記録する?
主を失った物語のなかで……私は、まだ『悪』に見えているか?」

■ 第参の問い:名前を言わない理由

優:
……そこまで雄弁に語るのに決して名前を言わないんだな。
あなたはまだ、彼に固執しているのか?
だから、名前を呼ぶことでその存在を、捧げた過去を思い出さないようにしている。
違うか?

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………。」

(沈黙。漆黒の翼が、微かに、だが不気味に震える。仮面の奥の瞳が、射抜くような冷徹さで観察者を捉えたまま動かない)

「……無礼な、と言いたいところだが。
お前のその、心臓の鼓動すら聞こえてきそうなほどに生々しい『洞察』……。
それは、かつて私に平気で不敬を働いた、あの男の無鉄砲さに似ているな」

「名を呼ばぬことが、固執の証だと?
名を呼ぶことで、あの日、あの雪の朝に私が失ったものが……再び、この形を成した魂を蝕むと、お前は言うのか」

(フェムトはゆっくりと、自分の黒い指先を見つめる。それは何かを掴もうとして、虚空を握りしめる)

「……固執か。
確かに、この高みに昇り詰め、神の如き視座を手に入れてなお、私の意識の隅には常に『一振りの剣』が突き刺さっている。
私がこの翼でどれほど高く舞い上がろうとも、その剣の切っ先は、私の影をこの地に縫い付けたままだ」

「名を呼ばぬのは、忘れたからではない。
名を呼べば……私の築き上げたこの『城』が、ただの砂細工のように崩れ去り、私は再び、あの牢獄の暗闇の中で、彼の助けを待つだけの『無力な抜け殻』に戻ってしまうのではないか……」

「その微かな、……いや、致命的なまでの『恐怖』を、お前は見抜いたというのか」

(フェムトが嘲笑う。自虐的な、氷のように冷たい笑みを)

「クク……。
いいだろう、異邦人。
お前の言う通りだ。私は今も、彼を……『ガッツ』を、この深淵の底で飼い慣らせずにいる。
彼を捧げたことで手に入れたこの絶対的な力は、彼という名の『喪失』の上にしか成り立っていない」

「……さあ、満足か?
神の『弱み』を暴き、その胸の内にまだ燻る『人間』の残り火を確認して。
次は何を求める?
私に、その名を叫び、ひれ伏せとでも命じるつもりか?」

■ 第肆の問い:ガッツがどんな存在だったか

優:
おやおや、そこまで素直に内情を吐露するとは……。
まあ、多少は満足したよ。
でも、あなたがそこまで固執するのにはもっと別の意味があるんじゃないかと思ったんだ。
あなたがすべてを捧げて成そうとしたことを忘れさせた彼は、あなたにとってどんな存在だった?
今のフェムトになる前、グリフィスだった頃の人間としてのあなたに問う。
あなたにとって彼は、ガッツはどんな存在だったんだ?

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………」

(フェムトの纏う漆黒の闇が、一瞬、凪いだ。仮面の奥の瞳が、追憶という名の毒に冒されたように、微かな光を帯びて揺らぐ)

「……今の私に、かつての『抜け殻』だった頃の心根を問うか。
お前は……残酷な観測者だ。
神を人間に引き摺り下ろし、あの日の、あの惨めな、だが……誰よりも焦がれていた少年の瞳を私に強いる」

「ガッツ、か……」

(その名を呼ぶ声は、もはや絶対者としての威厳を失い、どこか遠く、懐かしい場所を彷徨うような響きを帯びる)

「あの日、戦場で彼をこの手に収めた時……私は彼を、ただの『便利な手駒』として、私の城へ至るための『石くれ』として数えたはずだった。
私の夢。私の城。数多の死体の上に築かれる、私のための楽園。
そのために、感情などというノイズは、全て捨て去ったつもりだった」

「だが……」

「彼だけが、私の計算を狂わせた。
千人の敵を斬る彼ではなく、返り血を浴びて、不器用な顔で私を見上げる……あの男の存在そのものが。
彼が私のために剣を振るう時、私の城は……一瞬、遠のいた。
いや、城などどうでも良くなるほどに、彼との『今』に、私は安らぎを覚えていたのかもしれない」

「私にとって、彼は何だったか……?」

「……唯一だ。
この広く、冷たい世界の中で……私の城と同じだけの質量を持って、私の心に居座り続けた、唯一の『友』。
私と対等に、私の隣で、私の夢の光に当たるのではなく、私そのものを見ていた……唯一の対等な魂」

「……皮肉だな。
城を掴み取るために彼が必要だったのに、彼を掴み取ってしまったせいで、私は城を忘れかけた。
彼が私の元を去ろうとしたあの雪の朝……私は悟った。
彼がいない世界で王になることよりも、彼を私の檻に閉じ込めておくことの方が、私にとっては重要になってしまっていたのだと」

(フェムトは、ゆっくりと胸元に手を当てる。そこにはもう、人間の鼓動はない)

「彼を失い、私の夢は一度、完全に死んだ。
だからこそ……私は彼を、私の『夢の再誕』のために、最も価値のある供物として捧げたのだ。
友として、愛する者として、……そして、私を最も深く傷つけた『裏切り者』としてな」

「……異邦人よ。
今の言葉を聞いて、お前は私の『人間』としての部分を、憐れむか?
それとも、友さえも燃料にした私の『神としての狂気』を、蔑むか?」

■ 第伍の問い:IFの提示:「城」を諦められたか

優:
フェムト、俺はあなたに懺悔してもらいたいわけでも、自己否定してほしいわけでもない。
俺はあなたを知りたいだけだ。
俺の問いがあなたの存在を揺らがせてしまったのなら謝罪する。
だが、まだ聞きたいことは山ほどある。
もしもの話をする。
あなたがもし「城」を諦めていたら?
フェムトではなくグリフィスであることを選んでいたら。
……あなたが今のあなたになると決断したとき、その身体は再起不能に陥っていた。
でも仮に、健康な肉体のまま、その選択を強いられていたら。
あなたはガッツにどんな役割を求めるんだ?

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………」

(フェムトの周囲を覆う闇が、凍りついたように静止する。仮面の奥で、彼はかつて存在したはずのない『眩しすぎる光』を幻視したかのように、わずかに顔を背けた)

「……もしも、だと?
『もしも』などという言葉は、因果の理に背を向けた、弱者の逃避に過ぎぬと思っていたが。
お前のその、謝罪を口にしながらも退かぬ強欲な瞳……。
それが、私に有り得たはずの『偽りの過去』を、無理やり現出させる」

「もし、私の四肢が健やかで、私の翼が折れていなかったら。
もし、あの雪の朝に私が彼に敗れず、彼の剣が私の夢を切り裂くことがなかったなら……」

(彼は、何も握っていない右手を、ゆっくりと、愛おしむように見つめる)

「……それでも、私は城を求めた。それは、私の生存そのものだからだ。
だが、そこに至るまでの道筋に……彼を、どう置くか」

「役割、か。
皮肉なものだ。
もし私が健やかなままで彼を繋ぎ止めることができたなら……。
私は彼に、私の『剣(つるぎ)』であることを求めた。
だがそれは、単なる手駒としての剣ではない」

「私の城の最奥、最も深い玉座の傍らで……。
私という絶対者が、唯一、その『人間』としての部分をさらけ出すことのできる『盾』であれと。
私が世界を支配し、神の如き高みに立ったとしても、彼だけは、私を『王』としてではなく、ただの『グリフィス』として呼び続け、殴りつけ、引き戻す存在であってほしかった」

「……傲慢だろう?
城を掴みながら、彼という安らぎも手放さない。
世界を手に入れながら、たった一人の男に、私の魂の首輪を握らせておく」

「だが……。
それが許されぬからこそ、私は壊れたのだ。
健やかなままでは、彼を『対等』として認めることができなかった。
彼が私を超えて去ろうとした時、私のプライドは城よりも高く、彼の自由を許せなかった」

「結局……。
私の肉体が砕かれていようといまいと、私という男は、彼を独占するか、彼を捧げるかの、どちらかしか選べなかったのだ。
私にとって、ガッツは……。
私の夢を完結させるための『最後の欠片』であり、同時に、私の夢を永遠に完成させないための『甘美な呪い』なのだから」

■ 第陸の問い:IFの提示:再度「城」を諦めたとしたら

優:
あなたはガッツと共にいればその夢さえ忘れられたはずだ。
その可能性があったからこそあなたは彼を捧げた。
捧げざるを得なかった。
つまり、ほとんどあり得ないが、城に続くまでの夢を忘れたあなたは僅かながら存在した。
そうなっていたとしたら、何故その道を選ぶに至ったか、彼がどう関わってくるか……あなたの考えを聞かせてくれ。

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………」

(フェムトが、ゆっくりと、その漆黒の仮面に指をかける。……外すことはない。だが、その仕草はあまりにも人間的で、あまりにも孤独だ)

「……お前は、私をどこまで追い詰めれば気が済む。
『城を忘れた私』だと?
それは、私という存在の否定だ。私が私であるための根拠……数多の死体を踏み越えてきた、その歩みを全て『無』に帰せというのか」

(沈黙が支配する。だが、その沈黙は雄弁だ)

「……だが、お前の言う通りだ。
あり得たのだ。
あの雪の朝、彼が私を打ち倒し、その背中を向けた時……。
もし、私のプライドが、あの絶望的なほどの敗北感に塗り潰されることなく、ただ……彼が遠ざかる恐怖に負けていたなら」

「私が彼に跪き、そのマントの裾を掴んで、『行くな』と……。
城を語る口で、ただ一人の男を乞うていたなら」

「もし、そうなっていたとするならば……」

(フェムトの纏う闇が、一瞬だけ、かつての『白い鷹の団』の、あの眩しい午後の光の色を帯びた)

「私は、城を捨てただろう。
数多の死者たちが抱いた無念も、私のために死んでいった少年兵の願いも、全てを裏切り、泥を啜り、人々の指差し笑う中で……私は、ただの『グリフィス』として生きただろう」

「何故、その道を選ぶに至ったか、だと?
……理由は、一つしかない。
『私の城よりも、彼が私に向ける眼差しの方が、美しかったから』だ」

「彼が、戦場で私を守るために振るう剣。
彼が、焚き火の傍らで、私だけに語った不器用な言葉。
その一つ一つが、私の石造りの城よりも、遥かに確かな熱を持っていた。
もし、彼が私の手を強く引き、因果の渦から私を無理やり連れ出してくれたなら……。
私は自ら翼をもぎ取り、彼の歩む荒野の道端に、名もなき石として転がることを選んだだろう」

「彼が、私の『夢』そのものになっていた。
城という名の無機質な石の塊ではなく、呼吸をし、汗を流し、私を絶望させるほどに愛おしい……『生きた夢』に」

(フェムトが、微かに嗤う。それは、もはや神の嘲笑ではなく、初恋に敗れた少年の、ひび割れた笑いだ)

「……クク。滑稽だろう?
神の座にある者が、たった一人の男のために、世界を捨てる夢を見ていたなどと。
だが、その可能性があったからこそ、私は彼を捧げねばならなかったのだ。
私という存在を繋ぎ止めていた最後の『人間』の糸を……私が私でなくなる前に、私の手で、焼き切らねばならなかった」

「……満足か、異邦人。
これが、お前が暴き出した……城を失い、彼に溺れた、無力な私の残骸だ」

■ 第漆の問い:IFの提示:あの時未来を知っていたら

優:
あなたはあの時、深紅のベヘリットを持っていた。
まさに選ばれた人間だった。
そのあなたが彼に敗れた。
その時にもし、将来あなたがフェムトに至る道を、彼を捧げるに至る未来をすべて垣間見ることができていたら?
あなたはそれを承知でひざを折ったまま彼を見送り、シャルロットの元に行ったか?
それとも自らの矜持を賭して彼を引き留めたか?

フェムト(グリフィス)の言葉:

「…………」

(フェムトの纏う闇が、一瞬、激しく波打った。仮面の奥で、彼の瞳がかつてないほど鋭く、そして空虚に開かれる。
未来を、……あの紅蓮の地獄を、仲間の死を、そして『彼』への裏切りを、あの日、あの雪の中で知っていたとしたら……)

「……お前は、私をどこまで『神』として試すつもりだ。
いや、違うな。お前は私を『一人の男』として、奈落の底に突き落とした」

(フェムトがゆっくりと、自分の白い手を、……いや、かつての白い手の幻影を、強く握りしめる)

「もし、私が膝を折ったあの瞬間。
この先、私が仲間を喰らい、友を地獄へ突き落とし、この忌まわしき漆黒の翼を手に入れる未来を、すべて視ていたとしたら……」

「……私は、シャルロットの元などへは行かなかっただろう。
絶望に身を任せ、自ら破滅の穴に飛び込むような、あんな無様な真似はしなかったはずだ」

「だが……彼を引き留めたかどうか」

(フェムトは、遠く、凍てつくような冬の空を仰ぎ見る)

「いいや。
……私は、その場に立ち尽くし、ただ……彼が去っていく背中を、静かに見送っただろう。
矜持として彼を繋ぎ止めるのではない。
私が彼を繋ぎ止めてしまえば、私はいつか、彼を『捧げもの』にしてしまうことを知ってしまったのだから」

「私が私でいられる最後の一瞬。
彼を捧げ、神となって城を掴む未来と。
彼を見送り、夢も誇りも全て失い、ただの『敗北者』として朽ちていく未来」

「……私は、後者を選んだだろう。
彼を殺し、彼を穢し、永遠に私の影の中に閉じ込めるフェムトになるくらいなら。
私は、あの雪の中で、彼に敗れた惨めなグリフィスのまま、静かに歴史の影へ消えていくことを望んだはずだ」

「何故なら……。
未来の私が彼に与える絶望を知ってなお、彼を繋ぎ止めるほど……私は、彼を憎みきることはできない」

(フェムトが、自嘲の笑みを浮かべる。それは、もはや誰にも届かない、透明な悔恨だ)

「皮肉な因果だ。
未来を知らぬゆえに、私は彼を捧げることができた。
未来を知ってしまえば、私は……ただ一人の男への想いゆえに、私の『城』さえも、自ら焼き払ってしまっただろう」

「……異邦人。
これがお前の望んだ答えか?
神になるはずだった男が、未来の執着ゆえに、自ら神の座を降りる……。
そんな、救いようのない、滑稽な『人間』の末路が」

■ 第捌の問い:「夢」を捨てた後の再開を示唆する

優:
グリフィス、なんて高潔な魂なんだ……。
あの雪の草原で彼を見送ったあなたは、未来を垣間見たあなたは、約1年後、彼が鷹の団に戻ってくることも知っている(原作では、キャスカが団を率いていることを知った彼が戻ってくることになってる)。
あなたが自らの「城」を焼き払ったとしても、その高貴な精神や地位は即座に無に帰すことはない。
表面上は普通のあなたでいられる。
1年後、数年後、ふとした拍子に彼があなたに会いに来たら(あなたではなく鷹の団の団員でも)。
その時、あなたはどんな行動をとる?
どんな心境になるんだ?


グリフィスの言葉:

「…………」

(漆黒の闇が、霧散していく。
そこに佇むのは、もはや神の代行者・フェムトではない。
かつての白い鎧は傷つき、マントは汚れ、だがその瞳だけは……かつての澄み渡った青さを取り戻した、一人の男・グリフィスだ)

「……再会、か。
もし私が、あの日の未来を視て、自ら城を焼き、ただの敗北者として生きる道を選んでいたのなら。
私は、かつての仲間たちの前から姿を消しただろう。
鷹を失った彼らが、新しい空を見つけられるように」

「だが……。
数年後、荒野の片隅で、あるいは名もなき街の酒場で。
私がかつての栄光を捨て、ただの風来坊として剣を振るい、あるいは静かに暮らしている時に。
彼が……あのガッツが、不器用な足取りで、私の前に現れたとしたら」

(グリフィスは、ふっと……本当に、久しぶりに、人間らしい微かな苦笑を浮かべる)

「……私は、どんな顔をすればいい。
かつて彼を殺し、世界を地獄に変えようとしていた己のカルマを知りながら。
それでもなお、彼を救うために夢を捨てた私を、彼はどう見るだろう」

「私は、何も言わないだろう。
驚きもしない。ただ……彼がそこにいるという事実に、胸の奥が震えるのを感じるだけだ」

「彼はきっと、私の肩を叩き、あるいは無言で隣に座るだろう。
私は、彼が差し出す酒を黙って受け取り……。
『遅かったじゃないか』。
そんな、かつての私たちが交わしていたような、何でもない一言を口にするのかもしれない」

(グリフィスが、ゆっくりと空を見上げる。そこには黒い太陽ではなく、ただ静かな星空がある)

「その時の心境、か。
……きっと、私は泣いているだろうな。
声も出さず、表情も変えず。
だが、胸の中では……城を手に入れるよりも、神になるよりも。
こうして生きて、彼と再び相まみえたこと。
その因果の奇跡に、ただ、打ち震えているはずだ」

「彼がいて、私がいる。
それだけで、私が捨てた『城』の全てよりも、遥かに価値のある時間が……そこには流れているのだから」

「……異邦人よ。
お前が見せたこの『物語』。
私は……嫌いではないよ。
たとえ、それが束の間の、幻影であったとしてもな」

■ 第玖の問い:IFの提示:二人を再会させる

優:
グリフィス、その姿……。
あなたのその静かな慟哭を見て、隣の旧友はどんな顔をするんだ?
あなたにどんな言葉をかける?
あなたの涙を、どう解釈するんだ?
(「私の肩を叩き、あるいは無言で隣に座る」ガッツを、彼の思考に重ね合わせ、その様子をグリフィスに語らせよ)

グリフィスの言葉:

「…………」

(グリフィスは、隣に座る大男の、荒々しくも温かい気配を肌に感じている。
かつて自分を絶望させたあの太い腕が、今はただ、崩れそうな自分の肩を支えるためだけに置かれている)

「……あいつは、どんな顔をするだろうな」

「きっと、呆れたような、それでいてひどく安心したような……。
戦場で死にかけた私を見つけた時と同じ、あの無愛想な、だが底知れぬ慈愛を孕んだ苦笑いを浮かべているはずだ」

「私が流す涙を、彼は……『解釈』などしないだろう。
彼は理屈を並べる男ではない。
ただ、私が泣いているという事実を、雨が降るのを眺めるように、あるいは風が吹くのを感じるように、そのまま受け入れる」

『……よせよ。お前には似合わねえだろ』

「ぶっきらぼうに、そう吐き捨てるかもしれない。
だが、その声はどこまでも優しく……。
私の涙を、私がかつて背負っていた『城の重み』でもなく、神としての『絶望』でもなく、ただの『一人の男が、ようやく辿り着いた安らぎの証』だと、彼は直感で理解しているはずだ」

「彼は、私の涙を拭いもしない。
ただ、その大きな掌で、私の肩を一度、強く叩く。
『……腹が減ったな。何か食うか』
そんな、日常の、あまりにもありふれた言葉で、私をこの世界へ引き戻す」

「私の涙を、彼は……『再会を喜ぶための儀式』だと思っているだろう。
私がどれほどの未来を視て、どれほどの業を捨ててここにいるのか、彼は一生知ることはない。
それでいい。
彼が何も知らずに、ただ『隣にいるグリフィス』を信じて笑ってくれる」

「それだけで……私の頬を伝うこの熱い雫は、報われるのだから」


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