障害者でも子どもを作ろう!

旧優生保護法によって強制的に避妊手術を受けた人たちがいる問題で、最高裁が違憲判決を決めた。
これで、強制的に避妊手術を受けた人たちが少しは救われる。
しかし、少しである。
避妊手術をすれば子どもを作れなくなる。
その損害というか悲劇はどうやっても拭えない。
旧優生保護法とは、戦後間もない1948年に制定され、48年間施行されていた「優生保護法」のことである。
1996年に改正されて、現在は「母体保護法」となった法律だ。
旧優生保護法の第一条には、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命・健康を保護することを目的とする」と定められている。
この法律により、障害等を持った人に国は強制的に避妊手術を受けさせた。
信じられない悪逆行為である。
人権無視どころではない。
死刑を宣告して人を殺すよりもひどいことではないか。
私が以前に通所していた障害者就労継続支援B型事業所には、「障害者は子どもを作るべきじゃない」と力説していた女性がいた。
「どこが障害者なんだ?」と思うくらい元気で、しかも生活保護を受けているから、よほど口がうまくて自治体職員を騙しおおせているのだろう。
彼女は、「障害者が子どもを作ればその子どもも障害者になる。その子どもの面倒を誰がみるの? 障害者は子どもを作るべきじゃない!」といつも言っていた。
それに対して私は、「障害者が子どもを作ってもその子が障害者とは限らないでしょ。もし障害者だったら、社会全体でその子を守っていけばいい」と言った。
しかし彼女は、「そんなの無理無理!」と受け入れなかった。
イジメについても、いじめっ子を肯定するようなことを言っていた。
「いじめられっ子はいじめられる原因があるからイジメにあう。いじられっ子はその点を直さなくちゃいつまでもいじめられる」と言ってはばからなかった。
私はイジメやパワハラは犯罪だと思っているので、「いじめっ子をまず潰すべきだ」と言っても話をそらしてまともに答えなかった。
自分に都合の悪い話題になると話を逸らすクセが彼女にはあるのだ。
彼女の娘は愛知の小さな国立大を出て作業療法士か何かになっていて、そのことを彼女はいつも自慢していたのだが、「国立大といっても偏差値の低いところがたくさんあるからね」と私が言うと、不利になるのを予感して話を逸らした。
彼女は職員にパワハラまでした。
それは凄まじいパワハラだった。
私は彼女に「パワハラしたのは事実なんだから職員に謝るべきだ」とLINEしたが、彼女はパワハラにはまったく触れず職員の悪口ばかりのメッセージを返してきた。
障害者就労継続支援事業所というのは障害者を雇うと国から莫大な給付金を毎月もらえるというおかしな存在だ。
そんな莫大な給付金を出す余裕があるなら、国や自治体が障害者就労継続支援事業所を作り、公務員が職員として働けばいい。
なのに国はそれをせず、そういうことは民間に丸投げする。
だからいろいろな問題が起きる。
パワハラおばさん(彼女のことを私はそう呼んでいる)のパワハラもそのひとつだった。
発端は些細なことだった。
しかし、パワハラおばさんは障害者就労継続支援B型事業所に対して常々不満を抱いていたから、それが爆発したのだ。
職員としては、障害者が通所してきてくれるおかげで給付金がもらえ、そこから給料がもらえる。
しかも通所してくるのはみんな何らかの障害者であり、障害者虐待などをしたら大問題になる。
それでつい障害者に甘くなる。
障害者がワガママを言ったりミスをしても怒ることもできない。
いわば弱い立場にいるのだ。
その弱い立場にいる職員に対して、パワハラおばさん強い立場から攻撃し罵倒しバカにしつづけた。
どうせ反撃されないだろうという安全地帯からのパワハラだった。
しかし追い詰められた職員は「じゃ、帰れば」と言ってしまった。
するとパワハラおばさんは思いもしなかった反撃をされ一瞬、言葉を詰まらせ、「あ、そう。じゃ、あたし帰る。送ってって!」と言ったが、その後もその職員を罵倒しつづけることをやめなかった。
ついには「あんた! 障害者についてなに学んでるの? どんな本読んだか教えなさいよ! 読んでないっしょ! バカじゃない!」とまで言った。
そして社長を脅して金を巻き上げて事業所を辞め、千歳から札幌に引っ越した。
そういうパワハラおばさんが障害者について詳しいかというそんなことはない。
その事業所にはリウマチで障害者手帳2級の人がいた。
その人のことをかげで「たかがリウマチのくせに!」とよく罵っていた。
リウマチのことを何も知らないんだなと思った。
知的障害の子もいた。
「あの顔みればわかるっしょ。頭は幼稚園」と彼女をバカにしたこともある。
事業所に来ても「眠い眠い」と言ってろくに作業しない人もいる。
障害のためか、それとも薬のせいでそうなるのだろう。
その人については「眠いんなら来るなってちゅうのよ!」と手ひどい。
そういう人だから、障害者について詳しいとはとても言えない。
なのに職員には上から目線で「あんた! 障害者についてなに学んでるの? どんな本読んだか教えなさいよ! 読んでないっしょ! バカじゃない!」とまで言ったのだ。
異常とも思える性格の持ち主なのだ。
障害が遺伝することがあるのは事実だ。
だからといって避妊手術を強制したり、子どもを作るなと言うのは人権的に見て暴挙である。
障害者であっても子どもを作ってほしい。
少し前、NHKで放映していたドラマに、ダウン症の子どもたちが出演していた。
河合優実が主演で、弟がダウン症で、その弟がダウン症仲間とともにレストランのウェイターとして働いていた。
演技が実に自然で、ダウン症の人にはこういう道もあるなと思った。
また障害者の中には、特定のことにものすごい才能を持つ人がいる。
サヴァン症候群という。
例えば山下清は知的障害なのに素晴らしい絵を残した。
また「SEKAI NO OWARI」のFukaseは何かの精神障害で入院したこともあるが、素晴らしい曲を作り、素晴らしい声で歌う。
イチローはアスペルガー症候群なのに世界一と言っていいベースボールプレイヤーになった。
アップルの創始者のスティーブ・ジョブスも、相対性理論を考えたアルバート・アインシュタインもアスペルガー症候群だった。
モーツァルトも、アスペルガー症候群であり、注意欠陥・多動症だったと言われている。
こういう例はたくさんある。
彼らは、障害を持っている(た)からこそ、強い集中力やこだわりを持ったり、ストイックな生き方などができる(た)のかもしれない。
そういう才能を持っていなくとも、障害者であっても立派な命であり人間である。
生まれて嘆く必要はないし、産んだ親が嘆く必要もない。
生まれた子どもが障害を持っていたら親は大変な苦労をするが、世の中にはその子どもたちに寄り添って大切に育てている親御さんがたくさんいる。
そうした親御さんをサポートする人たちもいる。
障害を持たない国民はどう見ているのだろうか?
またく関心を持たない人もいるし、前述した「パワハラおばさん」のように中にはバカにするようなひどい人もいる。
行政はどうだろうか?
障害児を持つ親御さんに、どういうサポートをしているのか?
そのサポートは十分か?
障害児が生まれたら、その子とその親を暖かく見守る仕組みを作らなければいけないと思う。
政府には、障害者とその家族を守る義務がある。
それに必要な施策をすぐにでも作って実行しなければならない。
そのために税金が余計にかかっても仕方ない。
北欧ではもうそのようになっている。
世界の潮流はそのようになっていくことは確実なのだ。
障害を持たない人は、障害者や障害児を偏見の目で見ることをせず、助けていこうと思って行動しなくてはならない。
ささいなことでもいい。
障害者やその家族をあたたかい目で見るだけでもいいのだ。
それさえできない、したくないという人は人間として失格である。
