その目で何を見てきたのか
ご機嫌よう、藍葉です。
『お婆ちゃんの90歳の誕生日会、○月○日に決まったよ🥰』
母からのLINEが来た。
お婆ちゃん、というのは私の祖母のことである。
90歳とは恐れ入る。かなり珍しくなったであろう、戦争も体験している世代だ。
この祖母、90歳になっても全然ボケずにしゃっきりしている。
会話も流暢にできるし、メールを送るとそれなりの早さで長文が返って来る。絵文字たくさんで可愛いメール。
坂が多い土地に住んでるから、なんなら私よりも足腰が強いんじゃないかと思う。
毎日3000歩は歩くようにしていると言っていたので、土日の私よりもよっぽどよく運動している。
年に数回、近所のお婆様方とクラシックのコンサートも楽しんでいるらしい。
えっ、その集団平均年齢いくつなの?と、詳細を知っている母に問うと、
『え、88くらいじゃない……?』
「88て。」
『1番上は96歳で……』
「96歳て。」
祖母の年齢にもびっくりだが、上には上が居る。
この96歳のご婦人は祖母のご近所さんゆえに私も知っているのだが、まぁ元気である。
何でその年齢で施設に入らずに1人暮らしが成立しているのか。謎過ぎる。
祖母には、私を含めて5人の孫が居る。
夏休みには祖母の家に親戚一同集合して連泊していたが、今思うと大変だっただろうな……
孫の中の上2人は既に結婚して子供が居るので、つまりはひ孫も居る。
ひ孫と戯れる祖母は、実に楽しそうである。
祖父は随分前に亡くなっている。
「独り身になってから30年も経っちゃった」
そのように祖母が言っていたのは去年だったか、もう少し前だったか。
祖父の記憶は、私にはほとんど無い。
花が敷き詰められた箱の中で横たわる祖父の記憶があるけど、それが棺桶だと理解したのはいくつになってからだろうか。
どうやら酒好き、祭好き、賭博好きと随分やんちゃな人だったらしいのだが。
馬かチャリか船かは忘れたが、一度祖父が大勝ちしたことがあったそう。
ウキウキで帰宅して、祖母にこう言ったらしい。
「これで良い旅館行こう!☺️」
祖父と祖母は、とても仲が良かったそうだ。
今も存命なら、きっと私は祖父が大好きだった。
伴侶との別れも、孫の成長も、孫の結婚も、ひ孫の誕生も、全て見てきた祖母は他には何を見て来たのだろう。
90年間も、何を。
私はあと何回祖母に会えるのだろうか。
長生きしてほしいなぁ。
