第2章【開発記】:促されるままに入れたClaude Desktopが何者かを設定ファイルから確かめた
■ はじめに
まだ前回の記事を見ていない方はこちらも。
第1章【開発記】:インフラエンジニアが「Claude Code」という言葉に惹かれてAIエージェント基盤を作り始めた話
第1章では、シリーズ全体の方針とゴールを整理しました。 第2章はその続きとして、「促されるままに入れた」Claude Desktopが、いったい何者なのかを正面から確認します。
加えてSNSで最初に興味を持った「Claude Code」と、その他の「Claude」と名のつくサービス群を整理します。
最後は実際に設定画面を開き、設定ファイルの場所と中身を確認します。ここから画面を触る作業が始まります。
■ 今回やること
第2章でやることは2つです。
①「Claude」と名のつく4つ(Claude.ai、Claude Desktop、Claude API、Claude Code)を区別する。
②自分の手元のClaude Desktopで、実際に設定画面を開き、設定ファイルの場所と中身を確認する。
理屈の整理と、画面を開く作業の両方を含みます。
■ 今回出てくるツールと役割
第1章でも名前は出していますが、第2章では比較対象になるものをもう少し詳しく説明します。
■ 比較:今回の選択肢
①Claude.ai
Webブラウザで使用する。ちょっとした会話、調べ物、文章のたたき台作成用。ブラウザ単独ではローカルのMCPサーバーには繋がらない。今は使わないが今後併用する。早く言えば皆いつも資料作りなどに使っている「Claude」のこと。ChatGPT、Gemini、と並ぶもの。
②Claude Desktop
PCにインストールするアプリ。Claude.aiと同じ動きもできるが、それに加えてローカルのファイルやツールにアクセスさせることができる。設定ファイルにMCPサーバーを記述して使うもの。今回はMCP動作確認の最初の場所として採用する。
③Claude API
HTTPSのAPI、開発者向け。自分のアプリにClaudeを組み込むのにしようする。API直接呼び出しなのでMCPの「クライアント」役は自前で書くことになる。当面採用しない。理由は、最初の動作確認には範囲が広すぎる。
④Claude Code
ターミナルから使うAI開発エージェント。コードを読みながら作業を進めるもので、MCPサーバーを呼び出すクライアント役にもなれる。MCPサーバー開発が本格化する第7章あたりで活用する。開発用エディタに見えるため、最初は日本語で指示を出す時に「ここに書いていいの?」と戸惑う。
■ 今回選択したツール
今回、MCPの最初の動作確認場所として「Claude Desktop」を選びます。 理由は3つあります。
1つ目は、設定がシンプルだからです。Claude Desktopは、JSONファイル1つに使いたいMCPサーバーを書くだけで動きます。コードを書かずに設定ファイルへの追記でMCPの動きを確認できる、というのが他のClaude製品にはない強みです。
2つ目は、対話画面ですぐ結果が見えるからです。MCPサーバーを設定して、Claude Desktopで「ファイルを読んで」と頼めば、その場でMCPサーバーが呼ばれる様子が分かります。挙動の確認に向いています。
3つ目は、自分が既に入れているからです。第1章で書いたとおり、私はSNSで「Claude Code」を見て、それを試そうとしてClaude Desktopを入れました。手元にあるものから始めるのは、学習を止めないコツでもあります。
Claude Codeも候補に挙がります。Claude Codeはコード作業向けの強力なエージェントで、後の章で本格的に使います。しかし最初のMCP動作確認では、Claude Desktopの方が手数が少ないため、まずはこちらから入ります。
Claude API直接も候補ですが、これは「自分でMCPクライアントの動きまでコードで書く」話になり、最初の動作確認には範囲が広すぎます。第10章あたりで触れる可能性のあるテーマです。
■ 実際に作るもの
第2章では、まだコードもMCPサーバーも作りません。 代わりに、次の2つを「自分の手元で確認する」のがゴールです。
1つ目は、設定画面の場所です。Claude Desktopの中で開発者向けの設定にどう辿り着くか。
2つ目は、設定ファイルの場所と中身です。実際にファイルが置かれているフォルダのパスと、中に何が書かれているか。
第3章以降でMCPサーバーを書く時、ここに自分が書いたものを設定する形になります。今のうちに、その「置き場所」を把握しておきます。
■ コードまたは設定例
実際の手順と、見たものを並べます。
手順は次のとおりです(私の環境はWindows、Claude Desktopは日本語表示の状態)。
Claude Desktopを起動する。
画面の「設定」を開く。
設定の中の「開発者」タブを選ぶ。
「設定の編集」ボタンを押す。
私の手元では、上記の操作でWindowsのエクスプローラーが起動しました。 エクスプローラーが開いた場所は、次のパスでした。
C:\Users<ユーザー名>\AppData\Local\Packages\Claude_pzs8sxrjxfjjc\LocalCache\Roaming\Claude
このフォルダの中に claude_desktop_config.json というファイルがあります。 中身は次のとおりです。
{
"preferences": {
"coworkScheduledTasksEnabled": false,
"ccdScheduledTasksEnabled": true,
"coworkWebSearchEnabled": true,
"remoteToolsDeviceName": "pc-01",
"epitaxyPrefs": {
"starred-local-code-sessions": [],
"starred-cowork-spaces": [],
"starred-session-groups": [],
"dframe-local-slice": {
"pinnedOrder": [],
"customGroupAssignments": {},
"customGroupOrder": {}
}
},
"sidebarMode": "chat"
}
}preferences キーの下にUI関連の設定が並んでいます。 これは私がClaude Desktopをこれまで使ってきた過程で、アプリが自動的に書き出していた設定です。
注目すべきは、ここに mcpServers というキーが「まだ無い」ことです。 第3章以降でMCPサーバーを書いた後、このファイルに次のような形で mcpServers を追記することになります。
{
"preferences": {
...(既存の設定)...
},
"mcpServers": {
"my-local-tools": {
"command": "python",
"args": ["パスを指定"]
}
}
}今は中身を変えません。次章以降の準備として、この場所と構造を頭に入れておきます。
参考までに、私の環境のClaude Desktopのバージョンは 1.7196.0 (2dbd78) でした。 バージョンは「ヘルプ → このアプリについて」で確認できます。
■ 分かりにくかった点
第2章で実際に画面を触ってみて、引っかかった点を残しておきます。おそらく同じ人もいると思います。
①「Claude」と名のつく4つを、最初は同じものだと思っていた。Claude.aiとClaude Desktopは「使う側」、Claude APIとClaude Codeは「開発する側」、という大きな分け方に気付くまで時間がかかった。
②「設定の編集」ボタンを押したら、てっきりメモ帳のようなエディタで設定ファイルが直接開かれると思っていた。実際にはエクスプローラーが起動し、ファイルの置かれているフォルダが表示された。最初は「これは何が起きたんだ」と思った。
③エクスプローラーで表示されたフォルダを「Claude Desktopのインストール場所」だと勘違いしかけた。実際にはこれは設定ファイルの場所であって、アプリ本体の場所ではない。LinuxやUNIXでいう、/usr/bin/ と ~/.config/ の関係に近い。
④Windowsだとインストール方法によって、設定ファイルの置き場所が2系統ある。
→ AppData\Roaming\Claude\
→ AppData\Local\Packages\Claude_xxxxx\LocalCache\Roaming\Claude\
私の環境はMicrosoft StoreまたはWinGet経由の後者だった。
ネット上の手順書は前者を前提に書かれているものが多く、コピペでパスを使うと迷子になる。
⑤設定ファイルの初期状態には mcpServers キーが無かった。これからこのキーを足す側になるのだ、と分かるまで「どこに書くんだろう」と思ってしまう。
⑥preferences 配下にあったキー(coworkScheduledTasksEnabled、ccdScheduledTasksEnabled、epitaxyPrefs など)は、Claude Desktopが内部で使っている設定値で、ユーザーが直接触る必要は基本的にない。ただし、こういう「中身を覗いた時に出てくる謎の文字列」を恐れず、「これはアプリ側の都合で書かれているもの」と判断できる感覚は、インフラエンジニアの強みになる。
■ 次章でやること
第3章では、MCPサーバーを書く言語を選びます。
候補は次の3つです。
・Python
・TypeScript
・JavaScript
MCPサーバーはこれらのどの言語でも書けます。 それぞれの強みと、自分にとっての入りやすさを比較した上で、最初の選択を決めます。
予告すると、最初はPythonを選びます。 ネット上にある情報はほぼ全部と言っていいほどPythonで利用しています。
TypeScriptとJavaScriptはNext.jsを使う後半の章で再登場します。 最終成果物の構成図でいう「Next.jsで作る実行履歴ビューア」側で本格的に出てきます。
第3章ではPythonをPCにインストールするところまで進めます。 ここで初めて、コマンドプロンプトまたはPowerShellを開く作業が入ります。
■次回
第3章【開発記】:MCPサーバー用の言語にPythonを選び、Windowsで「python --version」と打って首をかしげた
