【短編小説】第148話「今日こそは」花火も、浴衣も、隣を歩く君も。何かを変えたくて。YouTube AI朗読動画🐜〼|生成AI×夏の青春恋愛文学 ― 完成稿×ChatGPT ◎ AI短編工房
夏の夜は、いつもより少しだけ勇気が出る。
花火が消えるまでに、言いたかったことがある。
言えなくても、夏はまだ――。
「今日こそは」
「ごめん。今日、行けなくなった」
電話の向こうで、あいつは申し訳なさそうに言った。
家族で出かけることになったらしい。
もっと早く言えよ、と思ったけれど、たぶん困っているのは僕の方だった。
もともとは三人で行くはずだった。
地元の花火大会。
僕と、あいつと、それから――彼女。
僕には誘う勇気なんてなかったから、あいつが「三人で行こうぜ」と言い出したときは、なるべく普通の顔で頷いた。
その、あいつが来ない。
ということは、二人になる。
僕は少し考えてから、彼女の家へ電話をかけた。
まだ僕らは、友達に連絡するなら家電を使うような歳だった。
ケータイは買ってもらったのだが、電話帳にまだ彼女の名前はなかった。
「あのさ――」
彼女が出た瞬間、心臓が速くなった。
「あいつ、今日来られなくなったって」
「あ、そうなんだ」
「だから、その――」
今日はやめようか。
そこまで言おうとした。
「じゃあ二人になっちゃうけど、楽しみだね」
「……うん」
言わざるを得なかった。
電話を切る。
受話器を戻してから、しばらくその場に立っていた。
デートじゃない。
三人で行くはずだったのが、たまたま二人になっただけだ。
偶然だ。……でも。
いや、だからこそ。
――今日こそは。
そう思った。
待ち合わせ場所に現れた彼女は、淡い水色の浴衣を着ていた。
もう夕方なのに、そこだけ妙に明るく見えた。
「お待たせ」
「……うん」
「なに?」
「いや」
かわいい。
たった四文字が出てこない。
「行こっか」
彼女は笑って、僕の少し前を歩き始めた。
下駄がからころ鳴る。
僕はその後ろを追いかけた。
祭りは思っていたより混んでいた。
彼女は屋台を見つけるたびに立ち止まった。
「あ、かき氷」
少し進む。
「射的あるよ」
また少し進む。
「あっ、りんご飴」
「全部見るの?」
「せっかく来たんだから」
彼女が笑う。
学校ではそんなにはしゃいでいるところを見たことがなかった。
僕はそのたびに、ちょこちょこと後ろをついていった。
白いうなじ。風に揺れる浴衣の袖。
かき氷の苺シロップで少し赤くなった舌。
見てはいけないものを見ている気がして、何度も目を逸らした。
人の流れが急に詰まった。
後ろから来た誰かが、彼女の肩にぶつかりそうになる。
「あ、危ないよ」
僕は咄嗟に彼女の袖を引いた。
彼女の身体がこちらへ寄る。
「あ、ごめん」
「ううん。ありがと」
掴んでいた袖を、すぐに離した。
そのすぐ下に手があった。
白くて、小さな手。
人混みなんだから、握ったっておかしくない。
はぐれないように。
ただ、それだけだ。
手を伸ばせば届く距離だった。だから余計に、手を伸ばせなかった。
触れたら最後、かき氷みたいに簡単に溶けると思う。
やがて夜になった。
屋台の灯りよりも暗い場所を探して、僕らは河川敷に座った。
しばらくして、空が光った。
一瞬だけ遅れて、音が来る。
――どん。
思っていたより大きな音だった。
腹の底まで震える。
赤。
青。
黄色。
緑。
次々と夜空に花が咲いた。
ぱらぱらと、輝きながら落ちていく。
隣を見ると、彼女は空を見上げていた。
花火の光が、そのたびに横顔を照らす。
少し潤んだ目。
少し赤い頬。
たぶん、花火のせいだ。
僕は思った。
今日なら言えるかもしれない。
二人きりで。
浴衣で。
花火を見ていて。
これ以上の日なんて、もうないかもしれない。
僕は息を吸った。
その呼吸が、花火が上がるひゅー、という風切り音に重なる。
「あの――」
どん。
僕の声は、夏の夜空に消えた。
「ん?」
彼女がこちらを見る。
「なぁに?」
今だ。
もう一度言えばいい。
好きだ。
それだけだ。
「……いや」
僕は笑った。
「なんでもない」
「そっか、綺麗だね」
彼女はまた空を見上げた。
僕も空を見た。
いくつもの大きな花火が、暗い夜空を埋めていく。
たぶん綺麗だったと思う。
でも、もっと綺麗なものが、すぐ隣にあったから。
帰り道は、想像以上の混雑だった。
人の波に流されながら駅へ向かった。
帰り道で言おう。
そう思っていたけれど、人が多すぎた。
もう少し空いてから。
そんなことを考えている間に、もう駅が見えてきていた。
改札の前だ。
それしかない。
改札の手前で、彼女が立ち止まる。
「楽しかったね」
「うん」
「二人だったけど、結構楽しかった」
「……うん」
「じゃあ、またね」
「あ、――うん。また」
笑えたと思う。
ちゃんと、いつもの顔で。
彼女は手を振って改札の向こうへ消えた。
僕も手を振った。
「あー……」と声が出たのは、彼女が人の波に消えたあとだった。
家に帰って、そのまま布団に倒れた。
天井を見る。
目を閉じると、水色の浴衣が浮かんだ。
花火に照らされた横顔も。
すぐそばにあった手も。
何度もあった。
言える瞬間なんて、何度もあった。
「言えばよかった」
口に出してみる。
好きだって、たったそれだけなのに。
花火大会は終わった。
夏の一大イベントも終わった。
あんな日は、もう来ない気がした。
次の日の朝、枕元のケータイが鳴った。
まだ眠い目で画面を見る。
昨日来られなかったあいつからだった。
『今日プール行かね?』
その下に、何人かの名前が並んでいる。
見慣れた名前。いつものメンバー。
その中に、彼女の名前もあった。
僕はしばらく画面を見つめた。
昨日の夜、あれだけ後悔したはずなのに。
胸の奥が、また少しだけ騒がしくなる。
僕はケータイを握ったまま、少し笑った。
「――今日こそは」
了
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🎤 僕とGPTくんの感想トーク
──物語を読み終えたあとに、少しだけ。
僕:
いやぁ、良いなぁ。瑞々しいなぁ。
言えないんかい!っていうね(笑)
改めて読んでみると、この祭りに来られなかった友達って――
策士なのでは?
GPTくん:
かなり怪しいですね(笑)
そもそも主人公ひとりでは誘えないのを知っていて、三人で行く形を作った。
そして当日、自分だけ来られなくなる。
……家族の都合、本当ですかね?
僕:
だよねぇ(笑)
しかも彼女もさ、
「じゃあ二人になっちゃうけど、楽しみだね」
って、全然嫌がってないんだよな。
むしろ主人公より腹が据わってる!
GPTくん:
そうなんですよ。
帰り際にも、
「二人だったけど、結構楽しかった」
って、わざわざ“二人だったけど”って言ってる。
これ、主人公だけが
「偶然二人になっただけだから!」
って必死に言い訳してる可能性があります(笑)
僕:
あー、青春だなぁ。
読者から見ると
「もう手ぇ握れよ!」
「そこで言えよ!」
って場面が何回もあるのに、
本人だけは毎回、人生最大の決断を迫られてる。
GPTくん:
そして全部逃して、布団の上で
「言えばよかった」
ですからね(笑)
でも翌朝には、また彼女と会える予定が入る。
世界は終わってない。
夏休みは、主人公が思っているよりずっと長い。
僕:
で、また「今日こそは」なんだよなぁ。
たぶんプールでも言えないんだろうな(笑)
GPTくん:
言えないでしょうね(笑)
でも、そうやって何度も「今日こそは」って思えた時間そのものが、
あとから振り返ると一番眩しかったりするんでしょうね。
……なお、友達が翌日のプールまでセッティングしていた場合、
策士説はいよいよ濃厚です。
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「今日こそは」
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BGMはDOVA-SYNDROME様の音源をお借りしています。
shimtoneさんの作品で『祭りビート』♬
もう、夏!って感じです。
どんどこ鳴る太鼓に、笛の旋律。
その太鼓の音が、登場人物の鼓動だったり、花火の音だったり。
物語と奇跡的に重なっていました!
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推敲ハイライトのご紹介
ChatGPTの草稿と完成稿の大きな違い。
生成AIと人間で短編小説を作る中で、今回特に唸った一行を
GPTくんと僕が選出!
今回の短編小説は、
夏祭りを舞台にした青春恋愛小説です。
花火。
浴衣。
好きな女の子と、思いがけず二人きり。
これ以上ないくらい条件は揃っているのに、
主人公は最後まで「好き」と言えません。
言える瞬間は、何度もありました。
AIも唸ったのは、
ここだ!
【近いからこそ、遠くなる一行】
手を伸ばせば届く距離だった。だから余計に、手を伸ばせなかった。僕:
ここか!
青春してるなぁ(笑)
GPTくん:
ここ、距離としては近づいているのに、心は逆に動けなくなるんですよね。
僕:
遠かったら諦められるんだよね。
でも、届くんだよ。
手を伸ばせば。
GPTくん:
はい。
だから怖い。
触れた瞬間に、今までの関係まで変わるかもしれない。
僕:
人混みなんだから、手を握る理由までちゃんとあるのにね(笑)
GPTくん:
それでも握れない。
この主人公にとって問題なのは、
手が届くかどうかではなくて――
僕:
届いたあと、どうなるかわからないこと。
GPTくん:
そういうことです。
だから、
手を伸ばせば届く距離だった。
だけなら、ただの恋愛描写です。
そこに、
だから余計に、手を伸ばせなかった。
が続くことで、一気に青春になる。
僕:
「近いから行ける」じゃなくて、
「近いから行けない」なんだよなぁ。
GPTくん:
そして、その直後に、
触れたら最後、かき氷みたいに簡単に溶けると思う。
と続きます。
理屈ではなく、少年の感覚で怖がっている。
僕:
溶けるわけないんだけどね(笑)
GPTくん:
でも、あの頃は本当に溶ける気がするんですよ。
手も。
関係も。
今までの距離も。
僕:
だから触れられない。
GPTくん:
届くのに、届かない。
今回の片思いは、その距離感に全部入っている気がします。
最後までお読みいただき
ありがとうございます🎆
それでは、また次回。
言えなかった言葉も、過ぎていく夏も。
そんな日々の物語を、またひとつ拾えたら投稿します。
ジャンルも作風も飛び越えて。
合言葉は、今日も「面白いから許す!」
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チップ……ですか。はい、それはとても嬉しいものですよ。
頂いた想いは、きっと僕の血となり肉となり、GPTくんとの語らいにも溶けていく。
そしてそれは必ずや、物語の一部となり、あなたに還るとお約束します。