キャトルイルミネーション|毎週ショートショートnote
コロラド州の広大な牧場で、ミラー氏は悦に入っていた。最新のIT管理システムを導入したのだ。
牛の体内に埋め込まれた微小なナノセンサーが、各臓器の健康状態を光で知らせる。心臓や肝臓が最高に健康なら青、不調なら赤。夜の牧場を丘から眺めれば、まるで地上の天の川のような美しさだった。
ところがある朝、ミラー氏は異変に気づく。
数頭の牛が無残な姿で倒れていた。特定の臓器だけが鋭利に切り取られ、周囲に足跡は一つもない。
かつての怪事件、キャトルミューティレーションだ。不思議なことに、奪われたのはどれも鮮やかに青く光っていた「最高に健康な部位」ばかりだった。
遥か上空、円盤の中では宇宙人がモニターを眺めていた。
「地球のサービスも向上したな。食べ頃をライトアップして教えてくれるとは」
「ああ。おかげで迷わず、極上の盛り合わせが手に入った。あの『キャトルイルミネーション』は、宇宙で最も親切なメニューだよ」
彼らは満足げに、透き通るような青い臓器を皿に並べた。
あとがき
みなさん、いかがでしたでしょうか。
今回の物語のモチーフとなった「キャトルミューティレーション」ご存知でしたか?
執筆しながら、ふと遠い日の記憶が蘇りました。
高校の時、学校の図書館になぜか、場違いな雰囲気で置いてあった雑誌『ムー』のことです。
当時は宇宙人や怪奇現象といったオカルトが一種の流行で、得体の知れない存在に不思議な憧れを抱いていたものでした。
かつての怪事件を現代のテクノロジーで解釈し直してみると、当時とはまた違った「不気味な合理性」が見えてくるから不思議なものです。
人間が良かれと思って進めた「視える化」が、もしも地球外の視点から利用されていたとしたら……。
そんな空想を、皆さんの日常の隙間でお楽しみいただけたなら幸いです。
ムーまだあるんですね。。
今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
たはらさんのこちらの企画になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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