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該当作梨|毎週ショートショートnote

K氏は三十年間描き続けた絵を、最後の望みを込めてスキャナーに通した。

この国では、中央評価局のAI「アポロン」がすべての芸術作品を分類する。千年の蓄積により、アポロンの分類体系は完璧とされていた。分類されない作品に価値はない。

「評価結果:該当作梨」

画面を見つめたまま、K氏は動けなくなった。「梨」? 問い合わせると、「該当なし」の表示エラーだという。つまり、分類不能。価値なし。

ところが翌朝、局長自ら電話をかけてきた。

「おめでとうございます。あなたの作品は新カテゴリー『梨』の創始者に認定されました。実は『該当作梨』は千年ぶりの表示なのです。アポロンが分類できないということは、既存の概念を超越した究極の独創性を意味します」

その日から、K氏の絵は「梨の父」として各地で展示された。評論家たちは「梨派」の特徴を熱く語り、美術学校では「梨論」の講座が開設された。


三年後。

K氏は魂を込めた完全な新作をスキャナーに通した。

「評価結果:梨-Ⅱ型」

K氏はその場で絵筆を折った。もう、何を描いても「梨」になるのだと悟った。

(453文字)


今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
こちらの企画になります。

https://note.com/tarahakani/n/n7f567b5fff68?from=notice

#毎週ショートショートnote
#該当作梨


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